(株)WithGreen(東京都中央区)は、サラダボウル専門店「Withgreen」を展開している。“主食になるサラダ”のサラダボウルはファンが多く、店舗数も順調に伸びるなど成長を続けている。3月には「名古屋ラシック店」(名古屋市中区)を開業して中部エリアに初出店を果たし、今後も積極出店でさらなる拡大を目指す。同社代表取締役社長の武文智洋氏に聞いた。
―― 事業概要から。
武文 当社はサラダボウル専門店のWithGreenを展開する企業で、2016年5月に創業し、1号店の「神楽坂店」(東京都新宿区)を開業した。2カ月目から店舗黒字になるなど好調で、17年3月には2号店もオープンした。店舗展開は、創業当初から“全国展開・店舗数50~100店の多店舗化”を目指し、エリアも関東、関西、中部と着実に広げている。
―― コロナ禍を含む直近3年間を振り返って。
武文 20年は休業要請やオフィスビル店舗の苦戦などで厳しい状況だったが、21年からは人流の回復、時短協力金のサポートなどもあり、徐々に上向いてきた。22年はコロナ前の水準まではいかないものの、既存店の売上高や客数は7~8割まで戻ってきた。
―― 足元の状況は。
武文 23年は、前年の回復基調を背景にこれから伸びていくだろうと見ている。当社の業態は性質上、冬が弱い傾向があるが、2月の状況は良いので、このまま暖かくなってくれば、さらに良くなると思う。
―― 現在の店舗数は。
「WithGreen日本橋高島屋S.C.店」の外観
武文 「日本橋高島屋S.C.店」(東京都中央区)、「有楽町イトシア店」(東京都千代田区)など商業施設の出店を中心に関東14店、関西3店、中部1店の計18店を展開している。中部は旗艦店と位置づける名古屋ラシック店を3月に開業し、同エリア初進出を果たした。また、4月中には都内で「ラクーア店」(文京区)と「丸井吉祥寺店」(武蔵野市)を開業する予定だ。
―― 店舗のモデルは。
武文 小型と中型の2モデルがあり、小型はフードホールなどに出店するタイプで5坪前後、中型はイートインスペースを含めて10~15坪程度。基本的に店内飲食ができるよう座席を設置しており、席数は店舗によるが、15席程度は設けたいと思っている。これに加え、都内では「恵比寿店」(渋谷区)、「新宿三丁目店」(新宿区)などの路面店もあり、テナント出店、路面店とどちらにも対応できる。
―― メニューについて。
武文 メニューは定番8種類+2カ月ごとに変わる季節のサラダ2種類で、ほかにスープ、ドリンクなども提供している。季節のサラダは全オーダー数の約3割を占める人気があり、WithGreenは季節の美味しい野菜が食べられることの表れだと思う。
―― WithGreenの特徴は。
武文 国産野菜を100%使用するという国産食材にこだわり、日本の生産者に貢献している。例えば、アボカドが欲しいという声があっても、日本でアボカドはほとんど採れないので使えない。代わりにサツマイモ、トマトなど日本で採れるものでメニュー作りを行い、提供している。おそらくこの取り組みをやっているサラダ専門店はほかにないと思う。
―― 出店戦略は。
武文 コロナ禍にオフィスビル店舗を撤退、一方で駅や商業施設は戻りが早いと判断して出店を進めていく方向に戦略を切り替え、今後も商業施設を中心に店舗展開を加速していく。出店数は年8~10店を目標に、店舗数は23年末に25店前後、24年中に30店超とし、5年後に50店体制を達成したい。コロナ禍でオフィスビル店舗は退店せざるを得ない状況だったが、今後は退店数を減らし、店舗数を増やしていく。
―― 出店エリアについて。
武文 今回中部に初進出し、東名阪に店舗展開できた。現在は関東に店舗が集中しているが、人口の多い都市圏ではサラダボウルを受け入れてもらえると思っているので、今後は札幌、仙台、福岡など未進出の大都市圏に出店したい。実際、お話をいただいているケースもある。出店立地、タイミングが合えば積極的に出店を行っていく。
―― 創業時から多店舗化を目指した理由は何でしょう。
武文 サラダボウル専門店が受け入れられるか正直分からなかったが、サラダボウルに“価値”があると信じられたからだ。外食は炭水化物が中心で、少し重たいものが多い中、サラダボウルのようなヘルシーな食事の選択肢を提供することで健康づくりや日本の生産者への貢献にもつながる。それは多店舗化することで、さらに価値が高められる。
―― 最後に抱負をお願いします。
武文 WithGreenを、日本を代表するサラダボウル専門店にしていきたい。また、可能であれば私たちのサステナビリティの取り組みなど、日本の他の飲食店に少しでも良い影響を与えていける存在になれたらと思う。今、フードロスやフードマイレージなど飲食に関わる課題は山積している。当社はこうした社会問題の解決の一翼を担い、少しでも世の中に良い影響を与えられる存在になっていきたい。
(聞き手・副編集長 若山智令)
商業施設新聞2490号(2023年4月4日)(8面)
経営者の目線 外食インタビュー