商業施設新聞
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第368回

(株)大創産業 執行役員 店舗開発本部 本部長 渡邊有和氏


Standard Products、新たな客層取り込む新業態
23年度中に全都道府県出店へ

2023/2/14

(株)大創産業 執行役員 店舗開発本部 本部長 渡邊有和氏
 2021年に新たに誕生した、(株)大創産業(広島県東広島市)の新業態「Standard Products」の商品は、シンプルで使いやすいデザインや使い心地が好評だ。国内外で着々と出店を続け、現在約40店まで拡大した。カテゴリーレスやオールターゲットを掲げ、新たな客層を取り込み、売り上げも好調という。同社執行役員店舗開発本部本部長の渡邊有和氏に話を聞いた。

―― 事業概要から。
 渡邊 当社は「ダイソー」「Standard Products」「THREEPPY」の3ブランドを国内外27の国と地域で展開しており、店舗数は6400店以上となる。

―― Standard Productsについて。
 渡邊 Standard Productsは「ちょっといいのが、ずっといい。」をコンセプトに、これまでのダイソーだけでは取り込めなかった客層へアプローチすべく立ち上げた。また、時代の変化として質と使い心地が良い商品を長く使う需要が増えた。そこでよりシンプルに、華美なデザインはそぎ落とした使い勝手の良い商品を意識したブランドコンセプトとなった。当社らしさである、価格以上の価値や驚きをより幅広く表現している。

―― 足元の状況は。
 渡邊 予想以上の滑り出しで驚いている。どの店舗もデザイン性、品質ともに高評価をいただいている。特にSCへの出店は想定より反響が大きく、「ららぽーとEXPO CITY店」は週末に行列ができるほど集客している。また、渋谷や銀座などは平日の夕方の来店が多い印象で、立地ごとの面白さも感じる。また、ららぽーとEXPO CITY店は初のSC出店で、家族連れが多く、車での来店により、家族分の商品を買って帰るお客様が多いと感じる。そのため、購入単価が路面店に比べ高い。また、おうち時間の充実を図る世の中の流れも味方するなど時代や出店場所との親和性が好調につながった。

―― 商品づくりのこだわりは。
 渡邊 華美ではなくシンプルな見た目など老若男女が使いやすいデザインにこだわっている。ほかに、商品をカテゴリーレスに組み合わせて揃えられるよう商品のトーンバランスをシックに整えるため、キーカラーのホワイト、グレー、ネイビーに加え、季節感のある色味をプラスした商品を意識している。また、商品の約7割が300円に設定されているため、いかに300円で高品質なものを提供できるかに注力している。「こんなものが300円で買える」と思ってもらいたい。
 加えて、価格以上の高品質、デザイン性の高いものを意識している。日本各地の地場産業の職人とコラボレーションした商品開発にも力を入れていて、各地の名産品をStandard Productsの商品として落とし込み、閑散期に製造するなどの工夫をし、品質はそのままに低価格を実現させている。

―― 店づくりの工夫は。
マロニエゲート銀座店
マロニエゲート銀座店
 渡邊 低い什器の使用や通路に対し斜めに陳列するなど空間や世界観を意識した。ダイソーのボリューム陳列ではなく、商品間を間引くイメージで陳列を行っている。ダイソーとの差別化が図れ、ダイソー隣接店では、店内の回遊率向上にもつながると考えている。

―― 他社との差別化については。
 渡邊 正直なところ、あまり他社を意識することはない。というのも、お客様のニーズに応えたい気持ちが強いからだ。あくまで当社として“感動価格、感動品質”を意識している。ただ、地場産業とコラボレーションした商品は強みの一つだと捉え、今後も拡大していきたい。
 ダイソーやTHREEPPYといった他ブランドとの複合型出店は、他社にはない戦略だと思う。出店場所によるが、3ブランドを組み合わせることで回遊性などが上がり効果的だ。まだ他社ではできないこの方法を積極的に取り入れた出店を今後も視野に入れる。

―― 値上げの影響は。
 渡邊 原材料の高騰は否めない。だが、Standard Productsに限らず、値上げはしないよう企業努力を続けており、出店や商品開発の手は緩めない。例えば、コンテナにより多く積めるような包装の工夫や、商品を組み立て式にして生産コストを下げるなどの価格維持の工夫はこれまでも、これからも変わることはない。
 このほかセルフレジを導入することで、店舗の人員を売り場のメンテナンスに割くなど人件費の工夫も行っている。人員を減らすのではなく、人員配置を工夫した店舗づくりを意識している。

―― 今後の展望は。
 渡邊 23年度中に47都道府県へ出店するべく、100店以上の出店を行いたい。早い段階でメディアに取り上げてもらいスピーディーに周知できたことで、近くに店がなくてもブランドを知っている見込み顧客の存在が大きい。だからこそ未開拓地への出店を優先的に計画したい。
 環境配慮型の商品の開発や地場産業コラボレーション商品の生産量アップなど課題もあるが、3ブランドの組み合わせという大きな武器をうまく活用し、効果的に出店を進めていきたい。
 ダイソーのいいところは継承し、洗練させるところは洗練していく、まさに新業態を突き進んでいきたい。また、リアル店だからこそ商品を直接手に取って試せるよう、より一層店舗や商品の魅力を高めていきたい。

(聞き手・鈴木さやか記者)
商業施設新聞2482号(2023年2月7日)(5面)
 ズームアップ!注目企業インタビュー

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