医療産業情報
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内

獨協医科大学日光医療Cが移転、最新設備と199床備える中核病院に(1)


主軸動線「日光モール」、ホール型レイアウトの病棟など随所にこだわり

2022/12/27

移転新築した獨協医科大学日光医療センター
移転新築した獨協医科大学日光医療センター
 (学)獨協学園 獨協医科大学日光医療センター(栃木県日光市高徳632、Tel.0288-76-1515)は、栃木県日光市内で移転新築し、2023年1月1日に新病院を開院する。新病院は来院者主軸動線「日光モール」、ホール型レイアウトを採用した病棟など設計デザインに強いこだわりを持った病院となったほか、病床数は従前の199床を維持、診療科目は患者から要望の多かった眼科、救急・総合診療科を追加(新設)した21科目とし、医療機能の強化を図った。「安心・安全を届ける基幹病院」をコンセプトに、すべての人にやさしい医療、質の高い医療を提供する。

 新病院の所在地は日光市森友145-1、土沢146-3ほかで、日光宇都宮道路の土沢ICから約5分。従前の日光医療センターは県を含む関連4団体からの要望を受け、獨協学園が病院機能を継承し、数回におよぶ整備を行ってきたが、建物や設備の老朽化が進んでいることに加え、敷地が狭く新築が難しいことなどから今回の新築移転に至った。移転にあたっては市から7.5haの無償貸与、県からの補助金を受けた。

 敷地は約7万4937m²、施設はRC+S一部SRC造り延べ約2万1838m²で、設計監理は(株)久米設計、施工は清水建設(株)が担当した。病院に連なる形で研修棟も建設したほか、隣地には教職員宿舎「ヴィラージュ日光」も整備した。

 病床数は従前の199床を維持し、HCUや重症病床も導入。診療科目は21科目を標榜する。駐車場は約520台を収容、敷地内にはヘリポートも設けた。ヘリポートにより、ドクターヘリで搬送後すぐに治療が始められ、さらに高度救命救急センターにも迅速に搬送できる。

左:太陽光パネルを設置したカーポート付き駐車場、右:敷地内のヘリポート

 病院のフロア構成は、1階に総合案内、内視鏡センター、リハビリテーション部、放射線部、外来受付、化学療法室、救急外来、相談室、レストラン、コンビニエンスストアなど、2階に健診部、お薬窓口、生理機能検査、手術部、地域連携・入退院支援センター、HCU、透析室、ラウンジなどを配置し、3、4階を病棟とする。

 設計コンセプトは、(1)「日光モールを主軸とした明快な平面設計」、(2)「看守りやすく安心感のあるホール型の病棟」、(3)「日光の景観に調和する外観デザイン」とし、(1)では建物を東西に通貫する来院者主軸動線の日光モールに面して患者利用機能を配置し動線が分かりやすく明快な平面設計、(2)ではスタッフステーションを中心に四周に病室を設けたホール型の病棟とすることでスタッフの看守りやすさと患者の安心感向上、(3)では軒や庇の連なる日光の街並みや雄大な山並みのある風景に調和する伸びやかな水平ラインを強調した外観デザインとした。病院内はユニバーサルデザインに配慮したサインとし、高齢者に配慮した文字サイズ、フォント色、ピクトグラムの併用、利用者の目線に配慮した情報の表記などを行っている。

左:設計デザインのポイントでもある日光モール、右:日光モールに面する総合受付
左:設計デザインのポイントでもある日光モール、右:日光モールに面する総合受付

左:個室の様子、右:特別個室
左:個室の様子、右:特別個室
左:個室の様子、右:特別個室

 病室は個室、多床室を中心に、重症患者向け2人用の病室も設置。個室は陰圧室もあり、新型コロナウイルスなどの新興ウイルス感染患者にも対応するほか、特別個室も設けている。多床室は4人部屋で、一部には可動式の棚が間仕切り代わりとなるような病室も設けた。また、ベッドにはパラマウントベッドのスマートベッド導入。ベッドが患者の睡眠状態、呼吸数、心拍数などを検知し、それをスタッフステーションで確認することができるため、よりきめ細やかで安全な看護を実践する。また、各ベッドに設置されたモニターには、患者に必要なもの、不必要なものなどが表示され、患者の状況が一目で分かるようになっており、これらはスタッフの労働力軽減に貢献する。さらに、スマートベッドの情報はスタッフステーションや電子カルテサーバーなど様々な情報システムと連携可能で、システムによって効率良く患者の把握ができ、省人化や効率化にもつながる。

左:重症患者向けの2床室、右:多床室の様子
左:重症患者向けの2床室、右:多床室の様子

左:多床室には大型の可動式棚を設置する部屋も、右:スマートベッドシステムのモニター
左:多床室には大型の可動式棚を設置する部屋も、右:スマートベッドシステムのモニター

 医療機器は(株)フィリップス・ジャパンの血管撮影装置 Azurion7 B12、128スライスCT Incisive CT、シーメンスヘルスケア(株)の磁気共鳴診断装置(MRI)MAGNETOM Solaなど最新設備を導入する。ほかにもAI問診やアミボイス(職員の音声を文字としてスマホに自動入力できる自動音声入力システム)など、問診から診察、入院に至るまで最新医療設備の導入により医療の質の向上、患者やスタッフの負担軽減を図る。

左:HCUの様子、右:HCUには電動ベッドも導入
左:HCUの様子、右:HCUには電動ベッドも導入

 環境にも配慮し、カーポート型太陽光パネル(1413枚)の設置も行った。再生可能エネルギーである太陽光を活用し、病院で使用する電力の一部(約20%)を賄う。

救急外来の様子
救急外来の様子

 1階のリハビリテーション室は約300m²を展開し、言語聴覚療法室2室、診察室1室を設けた。これまで同病院のリハビリテーション部は急性期病院での365日リハビリ介入、透析患者への運動療法、神経難病患者へのリハビリ、スポーツ少年へのサポート、日光市と「地域介護予防事業」の共同実施、デイサービスと連携した遠隔リハビリテーションなどを行ってきたが、今回、さらなる強化を図り、スマートシステムによる事務作業の軽減、新設のHCUへのリハビリ介入による早期離床の促進に取り組む。また、リハビリマシンの実施データが自動で電子カルテに出力され、管理しやすくする。

左:リハビリ室のマシンエリア、右:併設のアイン薬局
左:リハビリ室のマシンエリア、右:併設のアイン薬局


若山智令記者
(この稿続く)

サイト内検索