商業施設新聞
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第349回

(株)K-ブランドオフ 代表取締役社長 山内祐也氏


買取・販売を各地で展開
FC展開開始、3年で100店へ

2022/9/27

(株)K-ブランドオフ 代表取締役社長 山内祐也氏
 (株)K-ブランドオフ(石川県金沢市)は金沢に拠点を置き、ブランドバッグなどの買取、販売を行う「ブランドオフ」を国内外で展開している。2019年にはコメ兵ホールディングスグループに入り、21年からはFC店舗を展開するなど市場の開拓に余念がなく、コロナ禍でも成長し続けている。同社代表取締役社長の山内祐也氏に話を聞いた。

―― 事業概要から。
 山内 ブランドオフとして、国内20店のほか香港、台湾で11店を展開している。香港、台湾で小売りをしているのはブランドオフのみで、グループ化した目的の一つでもある。コメ兵のブランドに頼ることなく、ブランドオフの知名度を活かしたマルチブランド戦略を行っている。

―― ブランドオフの特徴は。
「ブランドオフ」を展開している
「ブランドオフ」を展開している
 山内 ブランドリユース業界は3大ブランドと呼ばれるルイ・ヴィトン、シャネル、エルメスの流通が中心であるが、ブランドオフは特にエルメスの取り扱いに強みを持つ。

―― 足元の状況は。
 山内 グループとしては22年3月期の売上高が前期比約140%となるなど堅調だ。コロナ以降、世の中として富裕層による高額品の消費が底堅く、当社もオンライン・海外を中心とした販売、買取が堅調。その分競合も増えてくるが、市場が広がるメリットのほうが大きいし、ブランドオフとしては、「そこまでやられたら勝てない」と思わせるところまで徹底したい。例えば、商品センターでのメンテナンス、コールセンターに買い取りに精通したスタッフを配置するなど商品の流通量と質を高めていく。

―― FC展開を開始しました。
 山内 21年3月に店舗戦略を加速するためFC展開を開始した。現在8店を運営しており、年内に20店まで増やしていく予定。金沢本社の社員の中には地元で働きたい人もおり、グループとしてもローカルエリアをさらに強くしたい思いもあった。そこで各エリアの人たちの協力を得てローカルでの仕入れ力を高め、それを「グローカル」として全国や海外でも販売していく。
 また、我々のビジネスの特性上、仕入れ以上に売ることはないのでオークションや買取センターに加え、買取を中心としたFC事業の立ち上げに至った。FCの展開にあたっては買取における研修、AI査定、コールセンターなどのサポート体制を構築した。

―― FC店舗を拡大するようにリアルを重視しているそうですね。
 山内 リユースを体験したことがあるのは人口の半分以下だと言われていて、ブランドオフとして市場の利用者を増やしていきたい思いがある。そうした中、買取の7割は店舗で行われ、リアルは我々にとって欠かせない。
 出店立地でいうと、わざわざ売りに来てもらうためにショッピングセンターなど生活導線への出店が重要になる。特にスーパーなどとの親和性は高いので、新たな利用者やリピーターが増えるきっかけになれば嬉しい。
 実際、リアルはリピーター獲得にもつながる。買取において金額など経済的な面も大事だが、リアルでの対応により納得のある説明や、丁重な接客によるファンづくりができる。こうしたことは2度目の来店に向けてとても重要になる。

―― オークションについて。
 山内 3種類のオークションを開催している。オンラインで毎週、東京で月末の最終日、金沢では日本一の規模で行っている。時代の流れとしてオンラインが主流になりつつあるが、今後残っていくものの一つにわざわざでも訪れたいリアルがあると思っている。そこで金沢にエース級の商品を集めわざわざ行きたいと思ってもらえるようにしている。

―― コロナ禍の影響は。
 山内 コメ兵グループに入った際、利用者の約6割がインバウンドであったこともあり、大きな影響を受けたが、国内客からの買取やオンライン販売に注力した。コロナ禍でも旺盛な需要があった台湾・香港での営業も強化することで、グループ合わせての黒字化を図り、昨年は各国で黒字化まで持っていくことができた。コロナ禍でも海外での商品ニーズは落ちることがなかったことにいち早く対応できたことがよかった。

―― 今後の展開は。
 山内 現在、FC出店は募集の問い合わせベースで月に50~60件あるのでFC展開を積極的に行い、3年間で100店の出店を予定している。FCビジネスを全力で推進することでグローバルに目を向けて今のローカル強化をFCパートナーと一緒に邁進していきたい。
 このほか、直近の動きとしては10月に銀座店を移転する。新たな銀座店はコミュニケーションを積極的に取るなどリアルでしかできないサービスでエルメスが日本一売れる店舗を目指していきたい。
 まだまだ市場自体伸びると思う。リユース業界は競合他店の参入も多いが、力強く市場が成長している業界だと思う。リユース業界は日本の産業として世界で戦えるポテンシャルがあると思っている。海外のチャネルが真似できないところまでサービスを展開し、クオリティも担保していきたい。

(聞き手・編集長 高橋直也、鈴木さやか記者)
商業施設新聞2462号(2022年9月13日)(5面)
 ズームアップ!注目企業インタビュー

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