商業施設新聞
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第519回

(株)福屋 営業部長/福屋広島駅前店 店長 鈩前浩二氏


福屋広島駅前店
百貨店×SCの大改装が完了
駅と接続効果で来館客数大幅増へ

2026/4/21

(株)福屋 営業部長/福屋広島駅前店 店長 鈩前浩二氏
 (株)福屋(広島市中区)は、「福屋広島駅前店」で段階的に改装を行っており、3月5日にグランドオープンを迎える。同店が入居する「エールエールA館」とともに改装を行うもので、百貨店のMDを刷新するほか、賃貸借契約を導入し、SCとしての魅力も持つ施設「デパートメントモール」とする考えだ。(株)福屋の営業部長で、福屋広島駅前店の店長でもある鈩前浩二氏に話を聞いた。

―― 広島駅前店の客層や、立地的な特徴から伺います。
 鈩前 1999年の開業で地域に愛される百貨店として成長してきたが、開業から27年が経ち、お客様の年齢層やライフスタイルなどが大きく変わった。近年、広島駅の周囲にはホテルやオフィスの増加に伴いワーカーが増え、従前の年配のお客様から年齢層が若返り、多種多様なお客様が歩いている。
 また、開業当時は八丁堀が街の中心で、それは今も揺らがないが、通過地点だった広島駅前エリアが、市民球場の移転や市街地再開発で街としての厚みを持つようになった。広島駅ビルの建て替えで、さらに駅前エリアの集客に期待を寄せている。

―― 広島駅前店の足元の状況は。
改装中の福屋広島駅前店。2~3階がクローズしている
改装中の福屋広島駅前店。2~3階がクローズしている
 鈩前 2階全体、3階のほとんどを改装でクローズしているため、前年度の実績には届かないものの、計画数値は達成できており、既存店の売り上げも好調だ。好調なカテゴリーは、先行して改装を行った食品フロア、レディースファッション、アフォーダブルラグジュアリーなどが挙げられる。
 特に地下1階の食品フロアは、周辺マンションの住民やオフィスワーカーの利用を意識し、できたてや即食などシズル感を意識したラインアップとした。ご褒美スイーツや、昼食や野球観戦でもテイクアウトできる惣菜なども強化している。惣菜コーナーは倍の面積に増やした。「いつもここで買ってるよ」と自慢でき、対面でお客様の顔が見えるデパ地下を目指したい。


―― 続けて、リニューアルの概要と戦略を教えて下さい。
 鈩前 広島駅ビルと当店の2階がペデストリアンデッキで接続するため、新しい玄関口が誕生する。この2階をグランドフロアに位置づけ、“おしゃれを彩るプロムナード”をコンセプトに、婦人雑貨やデパコスを移設するほか、家具や身の回り品を揃えた住空間を提案するセレクトショップなどライフスタイルを彩るフロアとする。また、デッキからつながる館内通路にカフェも配置する。
 さらに新たな試みとして、賃貸借契約を導入し、各フロアの特徴を生かしながら、百貨店とSCの区画をワンフロアで計画的に配置し、回遊性を高める。「百貨店の強み×SCの楽しさ」といった双方のメリットを融合する、当社にとって新たな店づくりを行っていく。特に3階はファミリーカジュアルの専門店を導入し、8~10階に移転する「広島市立中央図書館」や「広島駅ビル」と親和性のあるフロアとし、図書館や駅ビルに来る親子連れなどのシャワー効果を得られる専門店を誘致した。5階は広島に住む人には欠かせないスポーツの大型専門店と、11階のレストラン街も約半分で定期借地契約に取り組み、幅広いお客様の利用を促す。
 SCのスタイルを取り入れる一方で、百貨店らしさは、デパ地下、デパコス、ワールドブランド以外でも発揮する。4階は“大人ファッション&ギフト”をコンセプトに、百貨店で培ってきた自主編集と専門店でトータルコーディネートの買い回りを提案する。加えて、ギフトサロンも充実した大人フロアを目指す。1階の催事スペースも百貨店のノウハウを生かしたイベントを積極的に開催する。さらに、5階にはマツダスタジアムショップに次ぐ規模のカープグッズ売り場を自主運営する。ここにしかないオリジナル商品も開発し、存在感を出していく。

―― 新たな福屋広島駅前店が目指す姿は。
 鈩前 従前のブランドに加え、新たに30を超える福屋新ブランドを誘致するなど、この館に来る理由が沢山あるようにしたい。リニューアル後の福屋のフロアは地下1階~5階と11階となり、営業面積は約2万2000m²と従前より減床するが、回遊性と質を高め、地場の百貨店企業としての役割を果たしていきたい。テナントやブランド任せにせず、一緒に汗をかいてより良い店づくりを行う考えだ。
 駅ビルに路面電車が乗り入れ、各方面にデッキが誕生することで、広島駅、福屋広島駅前店、八丁堀方面をつなぐ大きなルートが作られるため、各方面の入り口から、徒歩やバスで移動してきた人を取り込みたい。図書館の利用客や、1日18万人の広島駅の利用客を考えると、デッキの直結で、4万~5万の入館客を期待している。

―― 八丁堀には本店もあります。すみ分けや差別化について。
 鈩前 八丁堀本店は百貨店の王道として、ラグジュアリーを極め、これまでどおり地元広島はもとより、四国や山陰からの広域商圏を見込む。対する広島駅前店は、足元のお客様や広島駅の利用者を想定し、広島駅ビルでまかないきれないメンズやキッズも充実させるなど、日常の暮らしを彩る使い勝手の良い百貨店を目指す。

―― 今後の展望は。
 鈩前 入居する館は、3月5日のリニューアルを機に、「エールエールHIROSHIMA」と名称を改め、呉、東広島、岩国方面へと商圏を広げ、百貨店、SC、図書館が入る広島駅前の新たなランドマークとして歩み出す。広島駅前店も広島駅前の街づくりに関わりながら、地元に愛され、地元の百貨店としてできることを引き続きやっていきたい。



(聞き手・サリョールサラ記者/今村香里記者)
商業施設新聞2636号(2026年3月3日)(3面)

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