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介護業界団体「お泊りデイサービス協会」設立


78社160事業所で開始

2013/8/27

中央が会長の藤田英明氏
中央が会長の藤田英明氏
 7月19日に設立された一般社団法人 お泊りデイサービス協会(東京都文京区千石4-46-8 ハンズガーデン千石)では、8月28日に設立総会を開催し、新たな介護業界団体として活動を開始する。会長の藤田英明氏は、会見の席上、「東京都と大阪府が作成したサービス基準を遵守する一方で、議論を重ねて当団体独自の基準案策定を目指す。広報・PR活動を通じて、社会に正しく情報発信し、すべての事業所のサービス品質向上に寄与する研修会を継続して開催する」と述べた。
 お泊りデイサービス協会は、(株)日本介護福祉グループ(東京都墨田区)、(株)アクロス(大阪府吹田市)、(株)家族介護(東京都中央区)、ケア・トラスト(株)(東京都豊島区)、(株)女性能力開発研究所(埼玉県川口市)のデイサービス事業者5社が設立発起人となり、すでに78社・160事業所(2013年8月4日現在)が加盟している。同協会は、初年度の会員獲得数として1000事業所、3年後には2000事業所を目指す。会員費用は、夜間対応型お泊りサービスを提供する通所介護事業所1カ所当たり月額1000円、年間1万2000円。
 お泊りデイサービス協会の活動目的は、(1)東京都、大阪府による基準案の遵守を推進し、議論を重ねて団体独自の基準案の策定を目指すこと、(2)通所介護事業所でのお泊りサービスモデルの広報・PR活動を通じて、社会に正しい情報発信をすること、(3)通所介護事業所でお泊りサービスを提供する事業所全体のサービス品質向上に寄与できる活動を行うこと。
 藤田会長は「当団体は、介護事業の競争相手と共に設立することになるが、1社の利害だけではなく、ともに地域社会を支える担い手と考えたい。まず5社が主体となって開始したが、今後は門戸を広く開放して会員数を増やしたい。団体創設は、12年末ごろから準備してきた。お泊りとは夜間対応型を意味し、在宅と福祉施設の中間施設のこと。利用者には自宅介護か、高齢者福祉施設を選ぶかの二者択一でなく、その家族のために一時的に預かる場所としてのサービスを提供したい。リハビリなどをして機能回復も図る。利用者本位の在宅支援を提供し、安心、安全と思われるサービスを提供したい。業界の基準案は議論を重ねて作成し、14年8月の年次総会で素案を提示したい」と話す。
 少子高齢化が進む中で、相互扶助の精神に基づいて2000年に介護保険制度が開始された。利用者による選択の機会を提供し、民間事業者による介護事業への進出が加速している。持続可能な制度となるように試行錯誤が繰り返され、地域包括ケアモデルの確立が目指されている。このような状況の中で、現在の介護保険サービス内では満たすことができない高齢者要望の一部を実現するために、また高齢者が住み慣れた地域で自分らしく過ごすことができる社会の実現のために、介護保険制度に基づく「通所介護事業所」に、自主サービスとしてお泊りサービスを提供する新サービスモデルが現れ、認知症高齢者を中心とする要介護者の多くから支持を得て、日本全体で事業所が急速に拡大している。全国の事業所数は2000とも3000とも言われ、正確な統計はない。
 通所介護事業所でのお泊り(夜間対応)サービスは、介護保険制度適用外の自主サービスであるため、法令による規定・基準が存在せず、それによって発生する事故や困難に対して社会的関心が高まっている。そのため、11年には東京都、12年8月には大阪府が自治体独自の基準を作成するなど、サービスの必要性が認識されつつある。
 しかし「一部では『通所介護事業所』でのお泊りサービスを提供する事業全般を懐疑的に見る傾向や、誤った情報に基づく議論が展開される状況にもある。このような状況を打開し、『通所介護事業所』でのお泊りサービスを提供する事業所間で連携を図り、社会に正しい情報を発信するとともに、利用者に必要とされる介護サービスを提供できるように、各事業所が情報交換して研鑽する機会を提供することを目的とした業界団体の設立を発起した。介護業界は、サービス内容の質が批判されることがあるため、共通の教育・研修を強化して問題を払拭したい。利用者には、求めるサービスを断らずに提供したい。社会福祉法人は税金から補助金などを受けられるが、株式会社は事業利益の中から税金を支払わなければならない。となると防災用スプリンクラーを設置せずに費用削減を図る施設も出てくる。法整備が無い中で、夜間対応型施設が今のように無秩序に増えることは好ましくない」(副会長の原田健市氏)。
 同団体は今後の活動として、東京と大阪の2会場で、協会会員に向けた継続的な勉強会を開催し、お泊りデイサービス業界全体のサービス品質向上を目指す。勉強会の年間日程は別表の通り。同団体の役員(敬称略)は、会長が(株)日本介護福祉グループ代表取締役会長の藤田英明、副会長は(株)日本介護福祉グループ取締役副社長の斉藤正行、(株)アクロス代表取締役社長の原田健市、理事は(株)家族介護代表取締役社長の糀谷博史、ケア・トラスト(株)執行役員の高野敏宏、(株)女性能力開発研究所 代表取締役会長の矢嶋 明、監事は(株)家族介護 執行役員の近藤貴史。


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