商業施設新聞
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No.855

写真を撮るのは難しい


新井谷千恵子

2022/5/10

 記者という仕事上、写真を撮る機会が多い。今まではiPhoneでパシャパシャと撮影するだけだったが、最近やっとデジタルカメラを購入した。iPhoneは画質も良く、持ち運びも簡単なため、正直に言って今まではiPhoneだけで事足りる場合が多かった。しかし自分の中で「せっかくだから綺麗に写真を撮りたい」という願望が少しずつ出てきており、今回の購入に至った。

 購入にあたって、カメラや写真について調べてみると、かなり奥が深いことが分かった。まずは「価格」。いろいろな写真や動画を見てみて「この人と同じような写真を撮りたい!」と思い、その人が推奨するカメラを見てみると、値段は簡単に10万円を超える。しかもそれで初心者向けときたものだ。筆者の父親も、その昔高額なカメラのレンズを購入して母親に激怒されていたが、当時父親が言っていた「良い写真を撮るためには、値段が高くなるのは仕方ないんだ!」という意見にもある意味納得してしまった。

自分が感動したものを撮影する、をモットーに日々精進中!
自分が感動したものを撮影する、をモットーに日々精進中!
 次は「写真を撮影する難しさ」だ。これは本当に難しい。編集部内で写真撮影下手ランキングのトップ3に入る筆者にとって、構図や明暗の塩梅など、とにもかくにも課題が多すぎる。しかも、カメラで撮影するときは、露光やISO、F値といった設定も追究しないといい感じにならない。周囲の人にアドバイスを貰うと、とにかく回数を重ねて写真を撮るのが一番良いと言われ、とりあえず扱いやすそうで手ごろな価格のデジカメを購入して、たくさん写真を撮ってみることにした。

 そして、色々と撮っていくうちに、自分のセンスの無さを痛感した。他の人は一本の木に意味を持たせたり、ストーリーを感じさせるような写真を撮っているのに、筆者ときたら「なんとなく撮った」という写真が大部分を占めている。勉強のためにと六本木の「FUJIFILM SQUARE」でフォトコンテストの入賞作品を拝見したが、どの作品もストーリーや撮り手の意思を感じさせる、素晴らしいものばかり。しかし、フォトコンテストの審査員コメントには「撮る人がまずは感動することが大事」といった趣旨のことが書いてあり、「良い写真を撮影したい!」ということだけに意気込んでいた筆者は目から鱗が落ちたのだった。

 最近では、自分が感動したものを撮影しようと、街を歩くときも周りを見渡すようになった。道端で咲いている花や、生き生きとした木々から葉っぱが落ちる瞬間まで、世界には様々な“瞬間”があふれている。毎日を過ごす中で、素敵と感じる瞬間をカメラで切り抜いて、人生の思い出に足せたら、それだけでも良いことなのかもしれない。最初は仕事から始まったカメラも、良い趣味になりそうだ。夏にはミラーレス一眼を購入しようと思いつつ、今日も街を歩いて写真を撮っていく。
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