日本政策投資銀行は、2012・2013・2014年度設備投資計画調査をまとめた。これによると大企業(資本金10億円以上)の13年度国内設備投資は、製造業が10.6%、非製造業10.1%とともに増加し、全産業で10.3%増、除く電力10.0%増と2年連続の増加となる。
大企業の12年度国内設備投資実績は、製造業が2.7%増と5年ぶりの増加となり、非製造業も3.1%増と増加に転じたことから、全産業でも2.9%増と5年ぶりの増加となった。
製造業は、12年度調査時点では19.1%増と増加の計画であったが、国際経済情勢の混乱などから先行きが見通せず、投資の先送りなどを行い、すべての業種で計画を下回ったため、大幅な下方修正となった。非製造業でも不動産をはじめとして多くの業種で投資の先送りがみられたことから、下方修正となった。
13年度の国内設備投資額は、特徴として以下の点が挙げられる。
第一には、コンビニなどの新規出店、再開発などの不動産開発や物流施設整備などの設備投資が大幅に増加し、非製造業が計画段階で22年ぶりに2桁の増加となったこと。消費マインドの改善や消費形態の変化に伴い、商業施設だけではなく物流施設など関連分野への広がりが見られる。
第二には、製造業で維持・補修が最大の投資動機になったこと。今回、維持・補修のウエイトが過去最高となり、「能力増強」のウエイトを上回り、最大の投資動機となっている。「合理化・効率化」も鉄鋼、石油などの業界で伸びており、ウエイトは上昇。他方、今回「能力増強」の投資金額自体は増えているものの、相対的にそのウエイトは低下している。
第三には、設備投資のマインドに一部明るい兆しが見えたこと。13年の設備投資額を増加させる理由として3割程度の企業が中長期的な期待収益率の改善を挙げている。設備投資は引き続きキャッシュフローの範囲内にとどまる見通しだが、企業の投資環境に係る認識に変化がみられつつある。
次に産業別にみていくと、製造業は鉄鋼を除き石油や自動車、化学などすべての業種において前年を上回る。石油は製油所やサービスステーションの再編・合理化など、自動車、化学はエコカー関連の投資連鎖などによる増加。
非製造業は、鉄道の安全対策や不動産開発、空港施設道路貨物・倉庫の物流施設整備がある運輸が増加するほか、首都圏で再開発プロジェクトが継続する不動産、コンビニなどの新規出店が増える卸売・小売などにより増加する計画である。
14年度の国内設備投資計画は、製造業が12.4%減、非製造業が9.0%減、全産業では10.0%減となっているが、13年度計画に比べると回答企業が少なく、現時点では未確定な部分が多い。