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国際協力銀行、製造業企業の海外事業展開調査報告発表、中期有望国はインドが3年連続首位


2025/1/14

 (株)国際協力銀行(東京都千代田区大手町1-4-1、Tel.03-5218-3100)は、わが国製造業企業の海外事業展開の動向に関するアンケート調査を実施し、結果を発表した。今後3年程度の事業展開先国はインドが3年連続で首位を維持。中国は前回調査の3位から6位に順位を落とし、有望国としての中国離れが鮮明になった。

 今回の調査は、2024年7月に調査票を発送し、同年9月にかけて回収したもの。対象企業数は936社、有効回答数は495社、有効回答率52.9%となっている。海外事業を行う日本の製造業企業の海外事業展開の現況や課題、今後の展望を把握する目的で1989年から実施しており、今回で36回目となる。

 24年度の調査では、23年度の海外生産比率(36%)および海外売上高比率(40%)ともに上昇基調を維持し、海外売上高比率は過去最高の水準となった。一方で、今後の海外事業展開にかかる強化・拡大姿勢については、コロナ禍からの上昇基調がマイナスに転じた。世界的な需要の鈍化や中国経済の減速、米中対立を含む地政学リスクの高まり、他国・地場企業などとの競争激化などが背景にあると考えられる。

 今後3年程度の有望な事業展開先国については、インドが得票率を23年度から10ポイント以上伸ばし、2位以下をさらに引き離して3年連続の首位となった。23年度3位の中国は大幅に票を落とし、それがインドに流れる形となった。脱中国の受け皿としても期待が寄せられるベトナムは2年連続で2位を維持。米国は、足元の労働コストの上昇も懸念され得票率を落とすも、マーケットに対する評価やイノベーションの中心地としての期待などから3位となった。

 経済合理性の追求や米中対立を含む地政学リスクの高まりなどを背景に、製造業企業の間にサプライチェーンを見直す動きが拡大。製造・販売拠点や原材料などの調達先に関して、「脱中国」を進めつつ日本や他国を組み入れることによりサプライチェーン強化を図る動きがみられた。他方、一部の業種ではコスト削減の必要性や中国国内の需要への対応から、日本から中国に製造・販売拠点や原材料などの調達先を移管する企業もあった。

 回答企業の約9割が、ビジネスの変革に向けた取り組みを行っている。3割超の企業が海外の企業や研究機関、スタートアップとの連携やM&Aを通じて変革を目指す。特にスタートアップとの連携では米国の事例が最も多く、AIを用いた最新技術や再生エネルギー関連の協業の例が見られ、イノベーションのフロンティアとしての認識が拡がっていることを確認。その他、中国、ASEANでも商圏の拡大や現地化に向けたM&Aや研究機関との連携がみられ、企業の広範な取り組みがみられた。

 約65%の企業が製品の省エネ化などを通じた脱炭素への取り組み、約45%の企業がリサイクルなどを通じた循環経済への移行にかかる取り組みを実施。ただし、海外での取り組みは2割程度と限定的で、コスト増の受け入れ、補助金の少なさなどが海外での取り組みの障壁となっていることが判明。製造業の各企業は、今後の脱炭素社会・循環経済への移行も意識し、自動車・蓄電池、バイオマスなどの資源循環、再エネ、水素・アンモニアなどの分野を成長機会として期待。他方、生物多様性や人権問題への取り組みは、23年度からの進展は見られず、企業の規模によって取り組みに差があった。

 24年度調査では、非製造業企業の海外事業展開に関する調査も実施。非製造業における今後3年程度の有望な事業展開先国については、インドが40.6%の得票率で首位、2位はインドネシア、3位はベトナム、4位は米国、5位はフィリピンとなった。


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