商業施設新聞
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第326回

パソナ・パナソニック ビジネスサービス(株) 代表取締役副社長 岩月隆一氏


コモレビズで職場を快適空間に
生産性、創造性など向上へ

2022/4/12

パソナ・パナソニック ビジネスサービス(株) 代表取締役副社長 岩月隆一氏
 パソナ・パナソニック ビジネスサービス(株)は、総務BPOソリューション、マーケティングBPOソリューションの2事業を手がけている。2017年には新サービスの「COMORE BIZ」(コモレビズ)をローンチ。同サービスはオフィスなどの働く様々な場所を、自然が感じられる快適な空間へ変えることで生産性、創造性、集中力向上が期待でき、導入企業からの評判も高い。同社代表取締役副社長の岩月隆一氏に聞いた。

―― コモレビズとは。
 岩月 もともと、アブセンティーイズム(病欠、病気休業、出勤不能状態)、プレゼンティーイズム(何らかの疾病や症状を抱えながら出勤し、業務遂行能力や生産性が低下している状態)という言葉があり、プレゼンティーイズムに問題を抱えている人が非常に多いというデータがある。そんな中、オフィス空間を自然に近い形へと変えることにより働く人の健康に寄与できるサービスとしてコモレビズを開発した。
 これからのセンターオフィスに必要なのは「従業員のウェルビーイングを実現する環境」と考え、肉体的、精神的に満たされた状態を目指している。また、Z世代やその親の世代は就職に関して「従業員の健康や働き方に配慮している」ことを重視している。30年にはZ世代が労働者の半分を占めると言われ、その世代が健康への配慮を重視するとなれば、企業として対策が必要だ。

―― コモレビズの核は。
 岩月 “バイオフィリックデザイン”だ。バイオ=生き物や自然、フィリア=愛を意味し、生き物や自然を愛すること。つまり、自然を愛する(自然に近い)デザインとすることがコアで、バイオフィリアの概念をオフィスデザインに落とし込むと、幸福度が上がったり、生産性や創造性が向上するというデータもある。
 コモレビズは視覚(緑)、聴覚(ハイレゾ自然音)、嗅覚(香り、森林成分)、触覚(樹木、オリジナル木材家具、プランター)などの要素で総合的なバイオフィリックデザイン空間をつくる。例えば視覚(緑)では、空間内にエビデンスに基づいた植物配置をすることでストレスを軽減し、生産性の向上が期待できる。エビデンスはストレス軽減効果のある緑視率10~15%、最適な植物配置などで、これにより様々なサービスを提供する。

―― オフィス以外への展開は。
 岩月 最近では、新築マンションのコワーキングスペースへ導入を行った。そして、まだ我々がアプローチしきれていないというところもあるが、商業施設へのニーズも感じている。商業施設内で緑を感じるところは、実はカフェくらいしかないという話もあるので、例えば商業施設内のコワーキングスペースなどは大いに可能性がある。加えて、図書館や学校なども想定できる。特に図書館は知識のインプットがメーンの場所であるため、当然、緑があったほうが集中力は高まる。こうしたパブリックシーンなどへもアプローチしていきたい。

―― 今後の展開は。
 岩月 17年のサービス開始から順調に成長しており、コロナでいったん落ち着いたものの、現在、20年度比で問い合わせが約1.5倍伸び、今後もさらに伸ばす計画だ。また、バイオフィリックデザインという言葉の検索も増えているため、もっとメッセージを発信していく。さらに、施設の設計段階から事業に参画できるようにするなど、積極的なサービス展開を行っていきたい。

(聞き手・副編集長 若山智令)
商業施設新聞2440号(2022年4月5日)(6面)

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