商業施設新聞
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第531回

(株)大垣書店 代表取締役会長 大垣守弘氏


京都中心に50店以上を展開
麻布台ヒルズは児童書など好調

2026/7/21

(株)大垣書店 代表取締役会長 大垣守弘氏
 (株)大垣書店(京都市北区)は、京都を代表する書店チェーンだ。イオンモールなどの商業施設を中心に50店以上を展開している。ECが隆盛を極めている中で、2023年には「麻布台ヒルズ」に出店して東京にも進出。また、「お酒の美術館」とコラボするなど新たな取り組みを進めている。今後の展開などを含め、同社代表取締役会長の大垣守弘氏に話を聞いた。

―― 貴社の概要から。
 大垣 1942年に現本社の近くで私の祖父が書店を開業し、当社の事業が始まった。当初は京都市にある独立系の書店として、長く運営してきたが、流行りの書籍がなかなか手に入らないなどの弊害が生じてきた。そこで実績づくりのため、京都市内での多店舗化戦略を実施し、商業施設を中心に店舗を開業していった。現在では50店以上を展開する書店チェーンにまで拡大している。

―― 店舗づくりの特徴は。
 大垣 主な店舗フォーマットとして小型店と大型店がある。小型店の基準は約50坪で、蔵書数が1万5000冊以上となる。京都駅や京都市営地下鉄内にある店舗がこれに該当する。イオンモールなどに出す大型店の基準は約300坪で、蔵書数が15万冊~としている。1店である程度のジャンルを網羅しようとすると15万冊以上は取り扱いたい。

―― 他の書店の業務委託にも注力されていますね。
 大垣 地方の独立系書店を残すために、FC化や運営委託など様々な形で参画し、埼玉県や静岡県、愛知県や広島県内の書店で業務委託に取り組んでいる。地方の独立系の書店ではこれまで、学校指定の教科書販売で一定の売り上げを確保していたが、生徒数の減少などで採算が見込めないことから、閉店するケースも多くなっている。そこで当社が店舗の運営を受託し、販売する書籍は当社が一括仕入れを行う。店名はその地域で100年以上続く書店のケースもあるので、そのままで運営するパターンにも対応している。

―― 出店エリアにおいては2023年、東京に初進出しました。
「麻布台ヒルズ店」で東京に初進出した
 大垣 麻布台ヒルズを開発された森ビル(株)の担当者が、「京都本店」と書店兼アート&ギャラリーの「堀川新文化ビルヂング店」を視察されて、オファーがあり、出店を決めた。周辺のマンションに住む富裕層にとっては、SNSなどで様々な情報が手に入るが、何が真実なのか判断しなければならない時に、学者などが書いた本を読んで考えたいなど、富裕層が多いエリアこそ書店のニーズがあるそうだ。
 「麻布台ヒルズ店」では当初、通勤するビジネスパーソンや経営者層の利用が多いと見越し、マネジメント系の書籍を充実させていたが、売れ行きは思ったよりも伸びなかった。しかし、児童書や中高生向けの参考書の売り上げが好調だ。周辺に住む中高生や、子どもに本を読ませたいと親御さんが実物を見て選びながら購入したい、このような思いに対応できているから好調なのだと分析している。

―― お酒の美術館とのコラボ店についてはどうですか。
 大垣 お酒と書店の相性は以前からマッチするのではないかと思っていた。京都本店はバー、麻布台ヒルズ店ではカフェバーが隣接しており、好評だ。買った本をすぐ読みたいというお客様のニーズに対応できている。書籍の売り上げが伸びるなど効果はこれからだと思うが、設置した店舗の滞在性は強化されていると思う。

―― 今後の展開については。
 大垣 既存店については改装に注力する。特にカフェは子どもたちの勉強する場としてニーズが高まっている。増床してカフェを併設することで利用客の利便性を強化していく。
 京都市内では「京都市男女共同参画センター(ウィングス京都)」の一部活用事業者に選定されたので、今秋の開業を目指して開発を進める。具体的には書店とコミュニティスペースを整備し、書籍に囲まれながらお茶を飲んだり、会議ができるような複合施設を構想している。
 当社は書店で本を売ることがメーンだが、コミュニティスペースを設けることにより、地域の賑わいを創出する。こうした新しい事業スタイルにもチャレンジしていきたい。



(聞き手・北田啓貴記者)
商業施設新聞2647号(2026年5月26日)(6面)

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