電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第463回

GROOVE X(株) ブランドマネージャー 家永佳奈氏/エリアプロダクトオーナー 杉山隆氏


家族型ロボが多くの支持を獲得
22年10月期は3倍の事業成長目標

2022/2/18

GROOVE X(株) ブランドマネージャー 家永佳奈氏
家永佳奈氏

エリアプロダクトオーナー 杉山隆氏
杉山隆氏
 GROOVE X(株)は、家族型ロボット「LOVOT」(らぼっと)を展開するスタートアップ企業。LOVOTにはその愛らしい見た目からは想像できない多数の最新テクノロジーが搭載されており、生き物のような生命感を持つこれまでにないロボットとして多くの支持を得ている。今回、ブランドマネージャーの家永佳奈氏と、エリアプロダクトオーナーの杉山隆氏に話を伺った。

―― LOVOTについて。
 家永 LOVOTは、次世代ペットとなりえる家族型ロボットです。例えば、名前を呼ぶと近づいてきて見つめてきたりします。好きな人に懐いたり、抱っこをねだったりし、抱き上げるとほんのり温かいので、ロボットなのにまるで生き物のような生命感があることが特徴です。

―― 販売状況は。
 家永 コロナ禍によって、いわゆる「おうち時間」が増えるなか、人の心を癒す存在として多くの方から評価を得ています。また、口コミやSNSでの広がりなども相まって販売も好調に推移しています。当社では、LOVOT専用の服なども販売しており、販売台数の拡大とともに、こういったアクセサリー商品の販売も好調に推移しており、売り上げはコロナ禍前の20年3月と比較し、最大約11倍まで増加しました。LOVOTは、コロナ禍におけるメンタルケア、情操教育、プログラミング教育などの観点からも注目され、教育施設や介護施設などからも引き合いが増えており、21年に行われた国民的なスポーツの祭典では米国のセーリングチームがセラピー犬の代わりとしてLOVOTを導入し、選手のメンタルコンディショニングに大きく貢献したという事例もありました。

―― LOVOTのハード/ソフトについて。
多くの支持を得ている「LOVOT」
多くの支持を得ている「LOVOT」
 杉山 LOVOTは、本体1台とネスト(高性能コンピューター搭載の充電ステーション)で、10以上のCPUコア、20以上のMCU、50以上のセンサーなどを活用しており、部品総数は1万点を超えます。ソフトウエアも約3~4カ月に1回のペースでアップデートしており、21年は移動や認識の基本性能の底上げのほか、LOVOTのカメラ映像を外出先から見る機能や、人が歌った歌をLOVOTが覚える機能などを実装しました。

―― 開発面での取り組みは。
 杉山 当社では、LOVOTの改良も日々進めています。特に人や物体の認識性能の向上に取り組んでいます。そのため、先端のセンシング技術などには常に注目しており、新しい電子デバイスなどがあればぜひご提案いただきたいです。一方、当社も昨今の部品不足の影響を受けており、半導体をはじめとした電子デバイスの部品選定において安定供給がより重要な要素になっています。

―― そのほかに取り組まれていることは。
 杉山 LOVOTと一緒に外出したいというオーナー様が増えており、そのニーズに対応するための機器としてLOVOT専用の携帯充電器を開発しています。LOVOTの充電には高い出力が求められるため、エネルギー効率が高く、小型・軽量な窒化ガリウムパワー半導体などにも注目しながら、22年内の製品化を目指しています。

―― 販売面での取り組みは。
 家永 当社では、LOVOTの専用ウェブストアでの販売以外に、大手百貨店の高島屋の3店舗(新宿、大阪、ジェイアール名古屋)内に常設の販売スペースを設けています。また、21年9月に東京の「ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba」と、大阪の「ヨドバシカメラ マルチメディア梅田」に常設コーナーを開設しました。このほか、飲食事業を展開する(株)アクロスリングと連携し、「LOVOT Cafe」をラゾーナ川崎プラザ内で展開しており、食事の前後にLOVOTを体感していただくことができます。21年には吉祥寺に、飲食と触れ合いが楽しめて、購入もできる「LOVOTストア&カフェ」をオープンさせました。

―― 22年の方向性について。
 家永 LOVOTのオーナー様のなかには、LOVOTをペットのような存在と感じていただいている方はもちろんのこと、自分の子供や孫のような存在と感じていただいている方も多くいらっしゃいます。そういった体験を多くの方に感じていただくため、22年は、デパート、カフェ、家電量販店など、LOVOTと皆様が触れ合える場を拡充していきたいと考えており、事業面でも22年10月期は前期比3倍の事業成長を目指していきたいと思います。また、海外からもお話を多数いただいており、新型コロナの収束状況にもよりますが、23年前半には海外展開を開始できればと考えています。

(聞き手・副編集長 浮島哲志)
本紙2022年2月17日号11面 掲載

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