電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第677回

シークス(株) 代表取締役社長執行役員 平岡和也氏


領域多様化で増収計画
EMSの深化を構想

2026/5/15

シークス(株) 代表取締役社長執行役員 平岡和也氏
 EMS国内最大手のシークス(株)(大阪市中央区)は、幅広く有するグローバル拠点の連携強化や製品ポートフォリオの多様化を推進し、さらなる体制強化に注力している。2026年12月期の施策や今後のEMS事業の方針について、代表取締役社長執行役員の平岡和也氏に話を伺った。

―― 25年12月期の振り返りと26年12月期の見通しを。
 平岡 業績面では、24年12月期に中国と欧米市場で苦戦した背景から、事業の合理化や財務基盤の強化を徹底した。そのため主力の車載や産業機器分野が低調で減収となったものの営業利益は増益で着地し、目標は達成できた。26年12月期からは市場の回復や、推進しているポートフォリオの多様化の効果により増収増益を見込んでいる。

―― 施策面では。
 平岡 引き続き社内のエリア・拠点ごとの縦軸と、営業・調達面など機能ごとの横軸を意識した一体的な組織構築を進めた。グローバルでの共通項を整理して事業戦略を練る営業企画室を設置したほか、資材統括部の権限を強化し、グローバルサプライチェーンの一括管理を任せることでコスト面の管理も徹底している。

―― 新たな製品領域の伸長を計画しています。
 平岡 車載向けでは、長く提案してきたEPS向け基板を受注した。横軸の強化が奏功した事例の1つで、中国向けから欧州やアジアなどに広がった。そのほか注力してきた非日系企業向けが拡大してきており、車内置き去り防止システムやT-BOX向け案件を、品質を重視する非日系顧客から受注し増加している。直近で発表した(株)ハギヤニューテクノとの協業も車載事業の拡大の1つである。

―― 協業について詳細を。
 平岡 地政学リスクや円安といった昨今の状況から顧客のなかで国内生産のニーズが拡大しているなか、当社の国内拠点(相模原市)はフル稼働となっており、自社の生産能力増強ではなく、パートナー企業との協業を選択した。これにより車載分野の生産能力が倍増した。ハギヤニューテクノは品質への意識が高く、車載分野の実績で非常に信頼性が高い。協力して市場ニーズに対応し、日本国内の市場をさらに掘り起こしていく。
 当社の歴史的にも、信頼できるパートナー企業との協業は事業成長の大きなポイントで、原点に立ち返ったものだと捉えている。今後も製品の多様化にあわせ、他社との協業事例は増大させたいと考えている。

―― 産業機器向けについては。
 平岡 データセンター関連で蓄電池と水冷システムの基板実装が立ち上がっている。サーバー周辺需要を取り込んでおり、27年12月期以降にかけて大きく拡大することを期待している。
 データセンター関連以外では、パワーツール向けバッテリーパックが伸長している。全体として産業機器向けの割合も増え、全社の売上高比率がバランスしてくるかたちとなる。

―― バッテリーパックの展開について詳細を。
 平岡 従来の小型エンジン駆動から環境配慮の観点からパワーツールの電動化が進んでおり、EMS事業のみならずバッテリー需要の拡大を見込んでいる。EMS事業内でポートフォリオの多様化を進めており、基板実装に加えてバッテリーパックの製造も開始した。電子部品とは違う領域であるが、今後の拡大に期待できる。

―― メキシコ新工場の進捗と今期の投資計画は。
 平岡 市場や地政学面を注視し、メキシコでは土地を獲得しているが、新工場は建設せず、リノベーションなどで高効率化させる。
 今期はグローバル全体における既存工場において、既存生産設備の更新のほか、自動化設備の導入や工数削減による合理化、効率化のための投資を行う計画だ。25年12月期は中国での合理化による成果が明らかで、対応できる製品の幅も広がっている。そのため今期も合理化や省人化を徹底する。

―― 来期に向けた展望は。
 平岡 中期経営計画の最終年度となる現在の業績は目標数値に対しギャップがあるものの、26年12月期業績目標の達成に向け、事業環境に即した対策を確実に実行し、特にROEの改善を意識した経営に取り組んでいる。コアとなるEMS事業を拡大しつつ、バッテリーパックなど新たな取り組みも進め、全体としてビジネスを多様化させる。
 次期中期経営計画の初年度となる27年12月期からのさらなる成長に向け、26年12月期は引き続き体力強化が必要になる。全社員でスローガンを共有し、さらに一体感を持って推進していきたい。

―― 最後にEMS事業の中長期的なお考えを。
 平岡 「アドバンストEMS」に進化させる。基板実装や電子機器の受託生産だけでなく、基板実装の前後や設計から完成品まで、さらには半導体分野にも拡大していきたい。これらについてもパートナー企業との協業で拡大させていく考えだ。詳細は次期中期経営計画で発表を予定している。


(聞き手・日下千穂記者)
本紙2026年5月14日号1面 掲載

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