商業施設新聞
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第304回

野村不動産(株) 都市創造事業本部商業事業部事業一課長 荘司恭平氏


SOCOLA事業
29日に過去最大の「南行徳」開業
NSCとして食の充実で集客へ

2021/11/2

野村不動産(株) 都市創造事業本部商業事業部事業一課長 荘司恭平氏
 様々なアセットを開発する野村不動産(株)。その中でも最近積極的に開発しているのがNSC(地域密着型ショッピングセンター)ブランドの「SOCOLA」(ソコラ)だ。2020年に1号施設を開業して以来、今月には早くも5号施設がオープンする。来年には首都圏外で初の案件も開業し、事業は堅調に拡大している。都市創造事業本部商業事業部事業一課長の荘司恭平氏に事業について話を聞いた。

―― 事業の概要から。
 荘司 20年に1号施設として「ソコラ若葉台」を開業した。その後、横浜市の日吉、東京都の武蔵小金井、用賀で開業しており、4施設体制となった。NSCの開発・運営は当社として初めての事業。「ちょっとそこら(ソコラ)でお買い物」として、1km商圏を中心に、3km商圏の方も取り込みたい。

―― 規模はどれくらいでしょうか。
 荘司 施設によって異なり、最近フルオープンしたソコラ用賀はコンパクトで計6店。一方でソコラ武蔵小金井クロスは、大型再開発の低層に整備した施設で、店舗数は約50店、商業施設専有面積は1万1000m²を超える。武蔵小金井は「H&M」などのファッション店や、家電の「ノジマ」など核店舗も複数ある。

―― 各施設の共通点として食に力を入れています。
 荘司 まずは日常的に利用してもらうためにも食が大事だと思っている。若葉台は「SANWA」、武蔵小金井は「Foodway」などその場所に適するテナントを誘致している。

―― 武蔵小金井は特に食が充実しています。
 荘司 (株)フードウェイとともに、Foodway内に青果・鮮魚・精肉の専門店を設けた売り場を一緒に作り上げた。加えて食品フロアにはグロッサリーストア「Daily Table KINOKUNIYA」も誘致した。武蔵小金井は競合のスーパーもあるので、こだわりのある食物販を求める声が住民の方からも多く、実際多くのお客様にご利用いただいている。

―― 足元の状況は。
 荘司 各施設ともスーパーを中心に堅調だ。週に何度も来ていただいており、コロナ禍でも生活必需品のニーズは変わらないことを実感している。NSCということもあり、まずはスーパーやドラッグストアなどに来ていただき、そこから日常使いのファッションなどにも買い回っていただいているし、買い回りはもっと増やしていきたい。最近のトピックスでは、用賀にペットショップの「コジマ」がオープンし全店が揃ったが、これが非常に盛況。コロナ禍でペット需要が高まっていると聞くがそのとおりの状況だ。

―― 今月、千葉に新施設がオープンします。
 荘司 10月29日に千葉県市川市に「ソコラ南行徳」がオープンする。南行徳はファミリー層だけでなく単身者、DINKSが多い。さらに若い世代の入れ替えも多い立地で、競合SCも少ないためポテンシャルが高い。もともとイオンのGMSがあった施設で、ここをフルリノベーションして約60店のSCとしてオープンする。

―― かなりの規模ですね。
 荘司 延べ3万6000m²以上あり、ソコラとしては過去最大規模となる。地下にはスーパーマーケットとして「イオン」が出店するほか、コーヒーや冷凍食品が特徴のグロッサリーショップ「ファディ」、ワインと日本酒を中心に展開する新業態「KAKUYASU SELECT」などを誘致した。
 ファッションでは「ユニクロ」と「ジーユー」を同フロアに配置し、約280席のフードコートなども設ける。新しい取り組みとして1階に「SOCOLAテラス」を設ける。(株)クルトンが運営し、ポップアップショップ、貸会議室、レストスペースが一体となったスペースだ。

―― SOCOLAテラスはどのように活用していきますか。
 荘司 イベントやワークショップなど色々なことをしていきたい。NSCは生活利便施設なので、ある程度の集客はしやすいかもしれない。ここにプラスアルファの楽しみがあると「便利」なだけでなく「好き」になってもらえる。例えばお子さんにお母さんの絵を描いてもらい、それを飾れば、家族はそれを見に行くだけでうれしくなる。こうした「好き」になれるアセットは商業施設ならではの魅力だ。

―― 兵庫県尼崎市に新施設が開業します。
 荘司 22年秋に「ソコラ阪急塚口クロス」として開業する。住宅の建て替え事業であり、低層に商業施設を整備する。施設周辺には住宅が広がっており、裕福な方も多い。近隣にRSCがあるものの、NSCとしてすみ分けられると思う。規模としては30店程度を予定し、スーパーやグロッサリーなど食を充実させつつ、日常使いのテナントも導入する。

―― 開発のロードマップは。
 荘司 毎年1案件ずつ事業化していきたいと思う。これまで土地を買う、再開発、リノベーションなどの手法で開発しており、同じように様々な手法で開発機会を得たい。改めてNSCは街の役割として重要だと感じる。当社は「プラウド」として上質な住宅ブランドも展開しているが、プラウドの住民にも頻繁に通っていただいている。今後も地域密着型として毎日のように来ていただける施設を作っていきたい。


(聞き手・編集長 高橋直也)
※商業施設新聞2415号(2021年10月5日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.357

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