医療産業情報
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内

木下グループ、さいたま市で全国15施設目のPCR検査センターを開設


累計500万件以上の実績、グループの和光会が監修し川崎臨港病院などと連携

2021/8/31

新型コロナPCR検査センター大宮店の外観
新型コロナPCR検査センター大宮店の外観
 (株)木下グループ(東京都新宿区西新宿6-5-1 新宿アイランドタワー9階、Tel.03-5908-2222)は8月16日、JR大宮駅近くに店舗来店型の「新型コロナPCR検査センター大宮店」を開設した。同店は、唾液採取(所要時間3分)によるPCR検査を行う施設で、検査報告書を検査日の翌日24時まで(最長翌々日24時まで)に本人にメールで通知する。同社による「新型コロナPCR検査センター」の埼玉県への出店は初めてで、全国で15施設目となる。


唾液採取用のキット(左は容器、右はストロー)
唾液採取用のキット(左は容器、右はストロー)
 所在地はさいたま市大宮区大門町2-82の西岡ビル1階で、大宮駅から徒歩2分の歩道に面した便利な場所にある。施設内は、検体とする唾液採取用の5~6ブースと受付が並ぶ程度の広さで、同社が全国で15施設を展開する中、大宮店はそれほど大きな施設ではない。検査料金は2300円/人で、団体検査は1900円/人。予約は5日前から受け付けており、開業当日は雨天の中で早くも20人以上が行列を作って順番を待っていた。

唾液採取と容器に保存するためのブース
唾液採取と容器に保存するためのブース
 この店舗型PCR検査サービスは、感染症予防の一環として定期的PCR検査を行う必要があるなど、医療行為が不要であるにもかかわらず検査が必要な人を対象に負担を軽減する目的でサービス提供している。検査方法は、信頼性の高い検査キットによる唾液検査を採用。利用者は、予約して検査センター来場後に、まずクレジットカードや電子マネー、交通系ICカードで料金支払いを済ませ(現金不可)、その後個別ブースで検体(唾液1.5mL)をプラスチック容器に入れて受付窓口に提出する流れ。検体採取は約3分で終了する。この際に、検査結果が陽性であった場合の医療機関受診について「誓約書/同意書」に署名・提出することが、厚生労働省の協力要請により(3月29日から)求められている。検査結果は、翌日24時までに本人にメール通知される。

◆和光会監修で川崎臨港病院などと連携
受付窓口
受付窓口
 この検査事業は、木下グループ内の(医)社団 和光会(川崎市)が監修しており、検体は川崎市にある総合川崎臨港病院(診療11科、199床)や、東京都新宿区にあるキノクリニック高田馬場(内、外、人工透析内科)の検査施設に送られて検査される。各医療施設には、検査器械(ロシュ製)などを2台備える。1台は通常の検査を行い、陽性反応が出た際には再度別の1台の器械で検査・確認することで、誤検査を防いでいる。1日あたり7万件の検査が可能で、2020年秋から検査事業を開始して以来、累計500万件以上の検査を実施してきた。同社広報担当の三谷俊介氏は「8月上旬の陽性率は3%で、7月の1.3%から上昇している。検査処理能力にはまだ余力がある」と説明する。
 同社は、法人向けサービスを20年秋から開始し、その後「木下グループ 新型コロナPCR検査センター」として、東京で新橋店と新宿店を20年12月に開設したのを皮切りに、21年2月には渋谷、秋葉原、池袋と東京都内に累計5店、また空港には4月以降に羽田空港第1ターミナル店、同第2ターミナル店、福岡空港店、伊丹空港店と合計4店を開設。さらに札幌、仙台、山形、秋田、大宮への出店で8月までに合計15店(沖縄での支援施設含む)を開業。今後も需要が大きな地域で、出店場所を確保できれば進出を検討していく。採算性は大きなものを求めておらず、社会貢献の意義が大きいと捉えている。その一方で、ワクチン接種が国民全体に行き渡り、検査需要がなくなり、サービス供給の役割が終わったと判断すれば事業撤退する。

 検査施設の形態は、大宮店のような店舗型のほかに、空港内設置型、秋田のように市役所内に設置して行政と協同して行う3パターンがある。空港内設置型では検体の検査機能も併設している。

◆プロスポーツや高齢者施設を支援
 木下グループでは、21年2月のプロ野球春季キャンプに合わせて読売巨人軍が沖縄・那覇に開設したPCR検査センターの運営を支援、9球団のほかにJリーグの4チーム、現地球場やホテルスタッフ、報道関係者など合計8000人以上のPCR検査を実施した。また、ANAセールスと共同でPCR検査付きの旅行パッケージも展開。そのほか日本財団による「高齢者施設で働く方への定期的な無料PCR検査」(1日約5000件)の運営サポートなども行っている。さらに、店舗に行くことができない人向けに自宅用の「PCR検査キット」の販売も4月1日から開始した。

 「木下グループ 新型コロナPCR検査センター」は、木下工務店、木下不動産、木下のリフォーム、木下抗菌サービス、医療法人社団 和光会など、グループ内の事業ノウハウを結集して実現した。建物内部をまるごと噴霧・塗布して抗ウイルス・抗菌を施すサービス(キノシールド)を提供している事業の延長上で、PCR検査サービスを開始した。

 新型コロナウイルスは、ワクチンの供給が徐々に進んでいるが、国民全体まで行き渡るには一定の時間を要することが予想されている。コロナ禍での経済活動の活性化は喫緊の課題であり、「木下グループ 新型コロナPCR検査センター」は、そのような課題解決の一助になるという目的で開設している。

(笹倉聖一記者)

サイト内検索