工場計画情報
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内
File58

日本政策投資銀行、21年度大企業の国内設備投資は全産業で12.6%増


2021/8/31

 (株)日本政策投資銀行は、2020・2021・2022年度設備投資計画調査をまとめた。これによると大企業(資本金10億円以上)の21年度の国内設備投資は、製造業(18.6%増)、非製造業(9.7%増)とも増加し、全産業で12.6%増となる見通しである。

 20年度の国内設備投資額は、新型コロナウイルスの影響により、全産業(10.2%減)で9年ぶりの減少となった。製造業(11.6%減)では、石油が増加したものの、一般機械、自動車、鉄鋼など多くの業種で減少し、7年ぶりの減少となった。非製造業(9.5%減)では建設、不動産などで増加した一方、運輸、電力、卸売・小売などが減少し、9年ぶりの減少となった。

 今回調査に基づく21年度の国内設備投資の業種別動向をみると、製造業では、電気機械や化学などでEV関連の投資が増加するほか、デジタル化の加速を受けたデータセンター向けなどの投資も増加する。非製造業では、運輸で昨年見送った安全対策投資が実施されるほか、不動産が物流施設や都心部を中心とした国際ビジネス拠点開発などにより増加する。

 22年度の国内設備投資計画は、製造業が6.0%減、非製造業が17.5%減、全産業では13.4%減となっているが、21年度計画に比べると回答企業が少なく、現時点では未確定な部分が多い。

 21年度の海外における設備投資(20・21年度共通回答会社数681社)は、前年度比17.2%増と20年度の減少から反転する。製造業(14.9%増)では、自動車や化学が全地域で増加するなど、多くの産業において増加に転じる。非製造業(32.0%増)では、鉱業がその他の地域で増加し、不動産も北米と欧州で増加する一方、運輸がその他の地域で減少する。地域別では、すべての地域において増加する。

 企業行動に関する意識調査にも基づいた、中堅企業や地域も踏まえた特徴は、新型コロナの影響については、製造業の設備投資はコロナ前の水準を超える一方、コロナの影響が大きい運輸やサービスなど非製造業は、コロナ前の水準に復さない計画となっている。さらに、中堅企業は、宿泊業などが下押しして21年度も減少の計画となるなど、K字回復の様相となっている。

 脱炭素に向けた動きは、ビジョン策定も含め総じて準備中の企業が多い中、まずは今取り組まなければならない喫緊の投資(EV、省エネ、再生可能エネルギー関連など)を実施する動きがみられる。一方で、脱炭素に向けては、技術面での課題が多く、イノベーションの必要性が高まっており、エネルギー転換などの研究開発の動きがみられる。さらに、コロナ禍で加速した、遠隔非接触化や自動化に向けたAI、IoT関連のイノベーションの動きも多く計画されている。

 新型コロナも機に見直しが加速するサプライチェーンは、これまでも内外の災害を受け強化が図られてきたが、改めて半導体不足など地政学リスクも意識され、海外での拠点や調達先多元化の動きがみられる。

 地域別の特徴としては、先端技術開発をはじめイノベーションの取り組みが大都市圏中心にみられるほか、EV・再エネなどに関連した喫緊の投資や災害対策の動きが各地域でみられる。
サイト内検索