商業施設新聞
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第279回

(株)ドムドムフードサービス 代表取締役社長 藤崎忍氏


独自の商品、取り組みで復活
高級バーガー業態も計画

2021/5/11

(株)ドムドムフードサービス 代表取締役社長 藤崎忍氏
 日本発のハンバーガーチェーン「ドムドムハンバーガー」を運営する(株)ドムドムフードサービス(神奈川県厚木市中町2-13-1、Tel.03-6865-1050)。かつてはダイエーの子会社が展開し、主に全国のダイエーに出店していたが、ダイエーの業績悪化とともに、低迷期を迎えた。その後、2017年の事業譲渡を経て、新たなスタートを切った。以来、個性的なメニュー展開などで復活を遂げ、昨年50周年を迎えた。そして高級バーガー業態を計画するなど、次の50年へ向けて走り出している。同社の代表取締役社長の藤崎忍氏に聞いた。

―― ブランドの沿革から。
 藤崎 ドムドムハンバーガーは50年前に誕生した日本初の最も長い歴史を持つハンバーガーチェーン。かつてはダイエーの子会社が展開していたが、熾烈な競争で長らく低迷期にあった。私は事業譲渡後の17年11月に入社し、18年8月に社長に就任した。就任後もスーパーバイザー(SV)を兼任しつつ、全国の店舗を回り店舗体制の強化に注力し、20年3月には社長業1本に絞り事業に邁進している。
 3月末時点で全国に計27店を展開している。20年度はブランド誕生から50周年の節目の年であり、一緒に歩んでくださった多くのお客様に感謝している。

―― 個性溢れるメニューが特徴的です。
 藤崎 ドムドムハンバーガーは「美味しいこと、楽しいことにチャレンジする」をコンセプトとしている。「丸ごとカニバーガー」や「かりんとう饅頭」「ごぼうスティック」などを筆頭に、様々なメニューを開発している。「ハンバーガー店だからかりんとうはダメ」などは全くない。また“美味しいこと”はお客様との最低限の約束だと思っており、“美味しい”の上を行くメニュー開発を心がけている。ほかにもアパレル店とコラボレーションも行っており、色々なことにチャレンジしている。こうしたことで競合が多い中でも支持を得て、復活の道筋をつけることができた。

―― コロナ禍において、足元の状況は。
20年にオープンした浅草花やしき店
20年にオープンした浅草花やしき店
 藤崎 2月までの既存店売上高は、休業店舗も含めて前年度比97%前後だった。マスク不足を解消しようと提供したマスクが大変好評で、結果物販など含めた全体の売上高は前年度比約110%に押し上げた。店舗休業や時短営業などを鑑みても、良い結果となった。
 店舗展開においては、20年9月に、東京・浅草の花やしきに新店をオープンした。当初は、ドムドムハンバーガー50周年を記念して、花やしきと何らかのコラボレーションを予定していたが、新型コロナを受けて東京や日本を元気にしたいと考え、出店に踏み切った。花やしき店オープン記念として、19年に大ヒットした「丸ごとカニバーガー」を全店で再販し、これが大ブレイクした。こういった施策が重なり、コロナ禍においてもおおむね好調に推移したと考えている。

―― 出店計画について。
 藤崎 21年度は、新業態店を含み2店の出店を予定している。中長期的な目標数値はないが、年間2~3店出店していきたい。ありがたいことに、現在多くのオファーをいただいており、精査したうえで出店計画を練っていく。出店に際しては、一過性の売り上げだけを考えるのではなく、“どういう意味を持って出店するか”を重視している。
 出店形態については、現在は商業施設内への出店がほとんどであるが、例えばロードサイド店など、ほかの形態も視野に入れたい。また、日本発のバーガーショップということに着眼し、新業態の開発も行っている。

―― 新業態について。
 藤崎 19年に期間限定店舗で高級バーガーを販売し、これがとても好評であったことを受けて、高価格帯の商品を扱う新業態を計画している。和牛や米粉など、日本の食材によりこだわったハンバーガーを作りたい。新業態店は都心部への出店を計画しており、平均価格帯は1000円前後を見込み、アルコールの提供なども検討している。
 ハンバーガー業界は2極化しており、既存のドムドムハンバーガーがいる低価格帯は最大手がリードしている。だがドムドムハンバーガーは、もともと独自性のあるメニューや固定概念にとらわれないイベントなどを実施しており、低価格帯に縛られる必要はない。

―― 今後の抱負など。
 藤崎 ドムドムハンバーガー50周年ということを受けて、「なぜ50年間続いてきたのか」と考えた。「生まれて初めて食べたハンバーガーはドムドムハンバーガー」という思い出を持っている人や、ブランドに対する愛着を持ってくれている人がとても多い。そういった方々がドムドムハンバーガーを守ってきてくれたのだと気が付いた。この愛着はブランドとしての大きな強み。さらに50年続けるために、ブランドを育むことが必要であり、そのブランドはお客様やスタッフの人生に寄り添い共存共創することで構築していきたい。


(聞き手・特別編集委員 松本顕介/新井谷千恵子記者)
※商業施設新聞2392号(2021年4月20日)(8面)
経営者の目線 外食インタビュー

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