「マルシェ」が大流行り、だと思う。といっても、最近オープンした商業施設の食のゾーンに「××マルシェ」とネーミングされたもののことなのだが。
「マルシェ」はフランス語で市場の意味。マルシェとつくと、何かパリの市場に多くの食材が一堂に揃い、料理家などがとれたての旬な食材を求めて足しげく通うイメージがある。マルシェというネーミングに、人が集まり、賑わう場所になってほしいという思いが込められているのだろう。語感もいい。
ベトナム ホーチミンの「ベンタイン市場」。
ちなみにベトナム語で市場は「チョ」
次はどんなのものが来るのか。イタリア語、スペイン語、ロシア語、中国語。日本人は外来語を巧みにネーミングする術に長けていると思う。そんなことが気になり、今後流行りそうな“市場”を調べてみると、おもしろい。「市場」は、スペイン語では「メルカド(mercado)」、ドイツ語では「マルクト(Markt)」。英語では、「マーケット(market)」のほか「マート(mart)」もある。Marketはラテン語の「marcatus(商う)」が直接の語源とか。
新設される商業施設の食のゾーンのネーミングにどうだろうか。「××メルカド」「××マルクト」。聞き慣れないせいかもうひとつピンとこない。マーケットやマートはスーパーやコンビニの店名にも使われているので、やや新鮮味に欠けるかもしれない。
ついでに、アラビア語圏では「スーク(suq)」といい、インドや中東では、ペルシャ語で「バザール(bazar)」。「スーク」は食雑貨にいいかもしれない。ちなみに中国語は「シンチェン(shi chang)」だそうだ。
「市場」は何も食に限ってはいないはず。ラグジュアリーブランドを集積したゾーンとするのであれば「ブランドマルシェ」はどうだろうか。私だけかもしれないが、やはり食、それも何か高級食材を想像してしまう。
そんなおり、エイチツーオーリテイリングが今年2月にエキュート品川にオープンした「阪急フルーツギャザリング」は、コスメや雑貨を集積した新コンセンプトショップ。「ギャザリング(gathering)」は集合や集結、採集の意味。なお、「阪急フルーツギャザリング」という店名は、アジア人として初のノーベル文学賞を受賞したインドの詩人、ラビンドラナート・タゴールの詩集「フルーツギャザリング(邦題:果実採集)」に由来しているのだという。個人的にはギャザリングに新しさを感じた。ギャザリング、くるか。