商業施設新聞
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第272回

プロロジス 代表取締役社長 山田御酒氏


全国102棟の物流施設を開発
都市型の「アーバン」が始動

2021/3/16

プロロジス 代表取締役社長 山田御酒氏
 プロロジス(日本法人、東京都千代田区丸の内2-7-3、Tel.03-6860-9107)は、日本国内で物流施設の開発、運営などを手がける物流不動産企業である。賃貸用先進的物流施設開発のパイオニアとして、20年以上にわたって日本の物流業界を牽引し、今日の物流業界を支えている。郊外の大型施設をメーンとしながら、直近では都市部で小型・中型施設「プロロジスアーバン」の開発を行うなど、新たな取り組みも積極的に行っている。同社代表取締役社長の山田御酒氏に聞いた。

―― 現在の開発棟数、保有棟数は。
 山田 日本国内では102棟(開発中含む)で総延べ約704万m²を開発し、保有棟数は63棟で約493万m²となっている。開発エリアは首都圏6割、関西3割、その他(仙台、名古屋、福岡など)で1割と、バランスよく行っている。年間の開発棟数は年によって異なるが、平均で年間5~6棟程度だろう。
 開発棟数のうち、約4割がBTSで、他のデベロッパーと比べて割合が高いと思う。しっかりお客様と話し合って作るBTSが多いことは当社の特徴、強みでもある。

―― 21年竣工予定の物件は。
 山田 「プロロジスパーク神戸5」(神戸市西区)、「猪名川1」「猪名川2」(兵庫県川辺郡猪名川町)、「海老名2」(神奈川県海老名市)の4施設が竣工を予定している。中でも、猪名川1、2は事業スタートから6年ほどかかった大規模プロジェクトで、8月末に1棟、11月末に1棟が竣工する2棟構成、総延べ約38万m²の大型施設となり、敷地、延べ床などの施設規模をはじめ、投資額も当社最大である。当初は段階的な開発を計画し、竣工から1~2年での満床を見込んでいたが、想定以上の大きなニーズがあり、結果的に今、85%程度の床が埋まっている。プロジェクトのスタート時にすでに50%程度埋まっていたが、その後も順調に進捗しており、竣工時には満床でスタートできる見通しだ。

―― 都市型の施設を開始しました。
 山田 以前から「消費者に近いところで、小型・中型のデリバリーのデポが欲しい」とEC事業者様などから声をいただいていたことから開始した。最近ようやく適地で土地が見つかり始め、また、以前より土地が取得しやすくなったため、「プロロジスアーバン」として都市型事業をスタートした。
 プロロジス(グローバル)では、先行して海外(アメリカ、イギリス、フランスなど)で大都市近郊、比較的都市部で「アーバンラストタッチ」として開発、プロジェクトを行っており、これを日本でも始めるということ。勉強しながら複数展開しつつ、という状況で、まだ実験段階だ。現在プロロジスアーバンは都内に3棟を運営・開発中である。今後4、5棟目も開発する予定で、10棟程度は展開しようと思う。都心部であまり賃貸物流施設の開発を行っていないので手探りしながら、お客様のフィードバックをいただきながら進めていきたい。かつて20年前に当社が郊外で始めた物流施設開発を、都心部でやってみようという気持ちだ。
 また、アーバンは比較的小さい面積でもよいことから、エリアも東京都心部だけでなく、例えば大阪市内や福岡市内、さらには札幌市内なども想定できる。あくまでラストワンマイルに対応するものなので、都心部の数千m²であれば、地方都市の然るべき場所でも十分成り立つと思う。

―― そのほか、新しい取り組みは。
 山田 同業が増加する中、3、4年前に社内にコンサル部門を設立し、ハードだけでなく、ソフト面のニーズにお応えする体制を作った。お客様の課題に合わせて、拠点立ち上げ、庫内レイアウト最適化、省人化、ロボット化など様々な提案を行う。直接当社がロボットやシステムそのものを提供するわけではないが、需要に応えられる企業と一緒に提案するという取り組みを行っており、実際いくつかのプロジェクトが動いている。
 また、人材採用や庫内オペレーション向上などのサービスを行うスタートアップ企業とタイアップしたり、システムの共同開発をしている。提携会社などを通じて様々なサービスを提供しており、当社はその橋渡しを行っている。こうしたサービスは他社の施設でも使っていただいて構わない。お客様の業務をサポートできるツールを提供していきたい。そして、ゆくゆくは物流施設に関するあらゆるものを自ら提供する、もしくは関係の深い企業を紹介するなどして、プロロジスに頼めば何でもできる、助けてくれると言われるようにしたい。

―― 開発エリアについて。
 山田 物流施設なので、道路アクセスが良くないと厳しい。例えば、どこか高速道路の延伸があれば、これまで物流施設の不適地だったところでも、高速道路が通った瞬間、そこは物流適地になる。従って短期的な目線で開発を行うのではなく、3年後、5年後を見据えて物件を仕込んでいく。また、雇用が確保しやすい周辺環境も引き続き重要であり、入念なマーケット調査を行っている。

―― 今後の投資、開発について。
 山田 開発では、明確な目標は立てていない。投資は過去3年だと平均して700億円くらい行っているが、これも偶然そうだったということ。投資も開発も、その時々のニーズを踏まえ、自分たちのペースを守って行っていく。


(聞き手・副編集長 若山智令)
※商業施設新聞2385号(2021年3月2日)(1面)
 デベロッパーに聞く ロジ革命 わが社の戦略 No.6

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