商業施設新聞
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第269回

三井不動産(株) ロジスティクス本部長 常務執行役員 三木孝行氏


業界に新風吹き込む
年5物件以上の開発を維持
店舗・EC・物流の三位一体検討

2021/2/22

三井不動産(株) ロジスティクス本部長 常務執行役員 三木孝行氏
 三井不動産(株)の物流施設事業は2012年から始動した。当初は商業施設本部の一部門だったが、15年にロジスティクス本部として独り立ちし、事業を拡大した。以来、「三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)」「三井不動産インダストリアルパーク(MFIP)」シリーズを積極開発するとともに、従来にない発想を物流施設業界に持ち込んだ。今後は商業施設などとの連携も視野に入れる。ロジスティクス本部長の三木孝行氏に聞いた。

―― 足元の物流施設マーケットから。
 三木 ECの台頭などで需要がひっ迫している。当社の物件は大半が竣工前にテナント企業が決まるなど、物流施設空室率が1%以下という業界のトレンドを実感している。国内のEC化率は19年で6.8%だが、コロナ禍による巣ごもり需要などが牽引し、20年度は大幅に伸びるのではないか。また食品はネットに馴染まないといわれていたが、SM各社が取り組み始め、需要を押し上げるだろう。

―― 現在の施設数は。
 三木 公表済みの国内外40物件に加え、現時点で新規開発案件4物件が決定しており、計44物件となる。総延べ床面積は約110万坪に達している。21年は4物件の竣工を予定している。

―― 施設の特徴は。
 三木 デザインやラウンジ設置など、物流施設とは思えない、従業員にとって快適な仕様が特徴のひとつ。また、MFIP羽田では、感染症対策として非接触型エレベーターを導入した。他の施設にも横展開を検討したい。そのほかフラッパーゲート導入などによる施設セキュリティ強化やトイレ空室状況の見える化など、従業員の方が快適に働けるように腐心している。
 当社の商業施設は空間づくりに心を砕いている。物流施設でも品質の高いものをつくる考えは商業施設を開発運営していることが下地にあり、この業界を変えたと自負する。従業員の方は気持ちよく働け、結果リピートにつながる。
 また、BCPの観点から、大規模施設では72時間非常用発電設備や免振構造を採用する。広いスペースを活かし屋上には太陽光発電設備を設置している物件もある。今後は、環境に配慮した自然エネルギーとして自ら使用していく方針だ。

―― 施設のサイズは。
 三木 日本最大規模の延べ約8万1000坪を筆頭に、都心立地型では延べ3000坪まで多彩に揃える。

―― 強みは。
MFLP船橋II
MFLP船橋II
 三木 入居企業の物流課題を共に解決すべく、物流ソリューション提供を行っている点だ。MFLP船橋内に物流ICT体験型ショールーム「MFLP ICT  ABO 2.0」を設置し、最先端の物流ICT機器を体感・見学できる。物流ICT機器導入に伴ったコストパフォーマンスの算出や物流拠点分析などの物流コンサルティングが受けられるため、大変好評だ。

―― 貴社ではECサイト「Mitsui Shopping Mall&mall」を展開しています。相乗効果は。
 三木 &mallは会員数が300万人に達している。当社が運営する「ららぽーと」や「三井アウトレットパーク」など商業施設とも連携した「リアル店舗」「EC」「物流」を三位一体とする新たなプロジェクトを検討中で、さらなる相乗効果を生むものと期待している。ここ1、2年での展開を目指す。

―― 立地戦略は。
 三木 現在は、船橋などの千葉、海老名や厚木の神奈川県での開発実績が多いが、今後は都内でも開発を増やしたい。地方では関西や名古屋、広島にも展開しており、九州では福岡県や佐賀県で開発を計画している。機会があれば仙台、札幌でも開発したい。

―― 用地取得は容易ですか。
 三木 競争は激しい。ただ当社の強みに土地オーナーとの共同事業がある。単に用地を取得するだけでなく、共同プロジェクトとして、資産を残していただくスキームだ。

―― 物流REITを立ち上げています。すべて売却しているのですか。
 三木 基本的には物件売却を行っているが、一部物件は保有している。三井不動産の他のアセットと同様、施設管理運営はすべて自社で行っている。

―― 中長期目標は。
 三木 物流施設事業開始から約9年で計画中案件も含めて44物件に達している。年5物件を開発するペースであり、今後この水準を最低限維持していく。大小規模含めて年間5物件以上の取得を目指したい。

―― 今後の物流ニーズをどう見ますか。
 三木 冒頭申し上げたように需要はさらに高まる。今後は、冷凍冷蔵倉庫のニーズも増えるだろう。

―― ラストワンマイルのニーズも高まります。
 三木 米国に「マイクロフルフィルメントセンター」なるものがあり、地下や店舗の上に倉庫をつくっている。日本でも将来的には中小オフィスビルや、商業施設の空きスペースにこうした倉庫需要が生まれるかもしれない。物流の新たな可能性を広げるもので、大変興味深い。

◇  ◇  ◇


 コロナ禍はEC市場を押し上げた結果、物流倉庫需要の高まりや新潮流が生まれている。こうしたことを背景に主要デベロッパーが施設開発に乗り出している。本連載ではデベロッパー各社の取り組みをインタビューで紹介する。


(聞き手・特別編集委員 松本顕介)
※商業施設新聞2380号(2021年1月26日)(1面)
 デベロッパーに聞く ロジ革命 わが社の戦略 No.1

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