商業施設新聞
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第268回

大和リース(株) 取締役常務執行役員 流通建築リース事業部 事業部長 コインパーキング事業部 事業部長 森内潤一氏


大津京、りんくうなど多数展開
「歩車の分離」など独自工夫

2021/2/16

大和リース(株) 取締役常務執行役員 流通建築リース事業部 事業部長 コインパーキング事業部 事業部長 森内潤一氏
 「Frespo(フレスポ)」「BiVi(ビビ)」「BRANCH(ブランチ)」というブランド名で商業施設を展開する大和リース(株)(大阪市中央区農人橋2-1-36、Tel.06-6942-8011)。公園×商業施設の取り組みも盛んで、2019年に「ブランチ岡山北長瀬」や「ブランチ大津京」を開業し、20年には「泉南りんくう公園(SENNAN LONG PARK)」をオープンするなど、開発実績を着実に積み重ねている。公園×商業施設の取り組みについて、取締役常務執行役員の森内潤一氏に話を聞いた。

―― 公園×商業施設の取り組みについて。
 森内 19年6月に開業した「ブランチ岡山北長瀬」が始まりだ。同施設は岡山操車場の跡地に整備した複合商業施設であるが、JR北長瀬駅が至近にあり、かつ同施設の東側では「(仮称)岡山西部総合公園」の整備が計画されていることから、駅、SC、公園の3つを重点テーマに設定し、開発を行った。公園は14万m²の規模を誇り、現在、岡山市が整備を進めており、23年度の完成および供用開始を目指している。この施設と並行して進めていたのが、19年11月に開業した「ブランチ大津京」である。

―― ブランチ大津京の開発ポイントについて。
公園を戦略的コンテンツとして取り入れた「ブランチ大津京」
公園を戦略的コンテンツとして取り入れた
「ブランチ大津京」
 森内 「公園の中の商業施設」を事業コンセプトに掲げ、敷地内に近江神宮外苑公園(ブランチパーク)を整備するなど、公園を戦略的コンテンツとして取り入れた複合商業施設である。公園を整備するにあたって、歩行者と自動車の分断を図る“歩車の分離”を導入した。具体的には、駐車場と売り場(店舗)の距離を空けるため、敷地の中央に売り場と公園を設け、その周囲に駐車場を配置する施設づくりを行った。

―― 大津京における公園の運用方法は。
 森内 スポーツとコミュニケーションの2つをテーマに実施している。スポーツでは「3on3(スリーオンスリー)」やアウトドアフィットネスといった地域スポーツを開催し、コミュニケーションでは、まちが元気になる仕掛け・演出を考える拠点「まちづくりスポット大津」を中心に活動している。
 まちづくりスポット大津は20年10月に設立した「NPO法人まちづくりスポット大津」を核とし、ハッシュタグ大津京のシェアスペースやシェアオフィスの運営を行う。これらの取り組みによって、ブランチ大津京は単に買い物をする場所にとどまらず、スポーツを楽しみ、コミュニケーションの幅が広がる施設として認知され、公園を持つ理由づけにもなる。

―― 開業後の状況について。
 森内 20年はコロナ禍で営業を自粛する施設も多かったが、おかげさまで、ブランチ大津京は多くのお客様にご来場いただき、流行りすぎて逆に密が起こっていた。客層は幅広いが、特に小さな子どもを連れた家族が多く来場した。しかし、車を所有する世代が顧客対象となるため、小学生は来場するものの、中学生、高校生、大学生といった若者は来場頻度が少なかった。

―― 20年には泉南りんくう公園をオープンした。
 森内 個人的にはパークソリューションと呼んでいるが、ブランチ大津京とは逆に、公園を主眼に置き、商業施設を戦略的コンテンツとして取り入れた施設である。全長2kmの同施設は、インスタ映えする夕日が魅力で、飲食店、アスレチック施設、グランピング、サッカー場に加え、全国では珍しい合宿所も整備した。
 民間活力の取り組みは多種多様に存在するが、公園は生まれ変わることで地域が活性化する。現状はわずかな敷地しか利用されていないものの、Park-PFIを導入すれば、10倍の投資が期待できる。当社もこれまでに泉南りんくう公園のほか、花博記念公園鶴見緑地や大宮交通公園で再整備を実施しており、直近では千葉県木更津市の鳥居崎海浜公園で、レストランやカフェ、マルシェなどを開業する予定だ。いずれはこれらのパークソリューションを、パークソリューション事業として発展させていきたい。


(聞き手・副編集長 岡田光)
※商業施設新聞2378号(2021年1月12日)(3面)

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