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第267回

三菱地所(株) 関西支店 うめきた開発推進室 室長 菅沼健太郎氏


ついに着工、24年夏ごろ先行開業
大阪駅前に緑溢れる「街」を創出

2021/2/9

三菱地所(株) 関西支店 うめきた開発推進室 室長 菅沼健太郎氏
 JR大阪駅北側に広がる旧貨物駅跡地「うめきた」では三菱地所(株)ら12社が、2013年に先行開発区域「グランフロント大阪」を開業。商業施設、オフィス、ホテルなどで構成される同施設は、年間5000万人以上が来場し、大阪・キタエリアを代表する施設へと成長を遂げた。開業から7年余り。いよいよグランフロント大阪に隣接する「うめきた2期地区開発プロジェクト」が始動する。代表企業となる三菱地所の関西支店 うめきた開発推進室長の菅沼健太郎氏に伺った。

―― うめきた2期地区開発に着手した。
「うめきた2期地区開発プロジェクト」の完成予想イメージ
 菅沼 20年11月30日に行政手続き上の許認可が下り、12月1日に着工した。都市公園を中心に、南街区と北街区で構成され、24年夏ごろに先行まちびらき(一部の街区および一部の都市公園)を行い、27年度の全体開業を予定している。

―― 同プロジェクトの概要について。
 菅沼 中央に位置する都市公園は、敷地約4万5000m²で、完成後は大阪市が所有する。大阪市の寄附金を活用して整備する区域「うめきたの森」を含む、緑豊かな憩いの空間である「北公園」や、最大で1万人規模のイベントに対応できる「リフレクション広場」を中心に、多彩な活動がある賑わいの空間「南公園」のほか、道路と公園が連続するデザインを採用した広場空間「ステッププラザ」など、多様な市民活動を促す3つの広場空間を備え、レストランやミュージアム、イノベーション創出に寄与する機能も有した施設などを設置する予定だ。

―― 南街区や北街区は。
 菅沼 南街区は低層階に商業施設・MICE施設を設け、中高層階にはオフィスのほか、スーパーラグジュアリーホテルとアップスケールホテルを整備する。北街区は低層階に商業施設を導入し、中層階に中核機能を設置、高層階にはライフスタイルホテルが入居する予定。両街区の両端には、総戸数が約1200戸の都心型住宅を整備する。

―― 1期地区(グランフロント大阪)との違いや相乗効果について。
 菅沼 2期地区は『―「みどり」と「イノベーション」の融合拠点の実現―』をコンセプトに掲げ、緑と潤い溢れる都市公園を中心に、訪れる様々な人が新しい活動にチャレンジできる場や仕組みを作り、活力に満ちた創造的なライフモデル“Osaka MIDORI LIFE”を発信していくことを目指している。ハード面では来街者に1期地区と2期地区をデッキや地下レベルで接続し、安全で快適な歩行者ネットワークを形成する。ソフト面では中核機能を中心に、街での人々の活動や、公園内のアクティビティの中で、イノベーション創出に向けた実証実験やマーケティングなどが可能なプラットフォームを構築して、うめきた地区全体での一体的なエリアマネジメントを目指して連携していきたい。

―― 「みどり」の表現方法について。
 菅沼 単なる緑化にとどまらず、ウォーカブルな街づくりを推進し、都市公園も含め、「みどり」の価値を追求する。ランドスケープデザインはGGNを起用しており、公共とプライベートをつなげる場を創出したい。「みどり」は来街者が参加し、コミュニティー活動を繰り広げるような対話型を重視し、物販や飲食だけでなく、体験も提供することで、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上に努める。もちろん、イノベーションも謳っているので、ヒューマンデータの利活用も検討している。

―― イノベーションに関する取り組みは。
 菅沼 1期地区でベンチャー企業の集積に取り組んだが、2期地区ではそれを加速させ、ビジネスが生まれる場を創出したい。そのために、20年11月から「うめきた外庭SQUARE」で、先進的活動の実現に向けた先行トライアルを実施している。様々な実証実験を行い、そこで出た課題を認識し、克服できる場を提供することで、多様な参加者に空間を使いこなしていただきながら、新たな価値を共創していきたい。

―― 商業施設の位置づけについて。
 菅沼 多様なお客様に街を体験していただくため、商業施設は間口の広い顧客との接点になる。住民、オフィスワーカー、街を初めて訪れる来街者も、皆様が街全体を利用していただけるように、物販や飲食といった商業施設だけでなく、ホテルや公園といった別の用途も融合させ、次世代の体験価値を生み出していく。

―― 出店するテナントへの要望を。
 菅沼 社会は常に変化し続けることから、これからの街づくりは冗長性・柔軟性を備えていくことが重要だ。今後リーシング活動を進めるが、街のコンセプトに共感していただける方に入居いただき、ともに街全体を育てていきたい。

―― 3種類のホテルも導入する。
 菅沼 ホテル事業者は未定だが、5つ星級ホテル、ライフスタイルホテル、アッパースケールの宿泊特化型ホテルの計3ホテルを用意する。2期地区には、隣接してうめきた(大阪)地下駅が23年春に開業する予定で、うめきたは大阪だけでなく、関西エリア、ひいては日本の玄関口として、ビジネス客や訪日客を受け入れるホテルが必要不可欠だ。これらのホテルとともに、都市型スパやMICE施設も整備する計画で、事業者は都市型スパが(株)ラスイート、MICE施設は(株)コングレを選定している。

―― 2期地区が大阪に与える影響を。
 菅沼 グランフロント大阪は年間5000万人が訪れる施設へと成長したが、2期地区の完成で、新たに“みどり”の要素が加わり、キタエリアのイメージは多様性がさらに増す。1期の開業で、大阪全体のバランスが変化したが、2期の新しい要素を加えることで、うめきたのブランド価値をより高めたい。


(聞き手・副編集長 岡田光)
※商業施設新聞2377号(2021年1月5日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.350

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