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介護ロボット市場は2035年に4000億円超、経済の成長エンジンに


経産省の北島明文氏「13年度から5重点分野で介護ロボットの開発支援」

2013/3/19

北島明文氏
北島明文氏
 (株)日本計画研究所主催の特別セミナーで、「シルバー事業+老人ホーム事業+ロボット事業まるごと戦略事例&ロボット介護機器導入に向けた課題整理『医療・介護ロボット施策の展開と大和ハウス工業の取組み』」と題して講演が行われた。第一部は経済産業省製造産業局産業機械課課長補佐(技術担当)の北島明文氏の「ロボット介護機器の現状と導入への課題と施策」、第二部は大和ハウス工業(株)顧問で大和ハウスライフサポート(株)取締役の広瀬元紀氏の「介護ロボット事業等福祉まるごと戦略」の2部構成。今回は第一部の北島氏のセミナー内容を紹介する。

■介護市場の現状と展望
 北島氏は、日本の人口構成、人口推移予測をもとに、後期高齢者は今後40年にわたり、2400万人まで増えるため、介護市場は経済成長のエンジンとなりうるとし、2000年に創設された介護保険制度は費用の9割が保険給付されることから、介護市場の動向は介護給付の動向とほぼ一致すると概説。介護保険の各サービスは基準価格が決められているが、福祉用具は介護保険適用がされれば、自由市場で価格が決まるという特徴を説明した。
 介護を受ける人口は、加齢とともに重度化することが不可避。また、介護給付は年平均8%で増加しており、10年度には7兆2536億円と7兆円を突破した。このため、1割負担を2~3割に増額できないかという議論が起こっていることを紹介した。
 介護市場においては、1人あたりの平均年間費用は25万円、年間6%で増加しているが、100万円の医療費と比較すると4分の1程度で単価は低い。世界の高齢者人口は、10年の6億2961万7000人(先進地域2億5010万5000人、開発途上地域3億7951万1000人)から、2060年には22億4994万6000人(4億7438万5000人、17億7556万1000人)に達する。この世界の高齢者人口に、単純に現在の日本の制度を適用すると仮定すれば、500兆円もの市場に達する可能性があるとした。

■福祉用具の世界
 介護保険における福祉用具の主な種目としては、自走用車いす、特殊寝台、床ずれ防止用具、体位変換器、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえ、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト、腰掛便座、特殊尿器、入浴補助用具、簡易浴槽、移動用リフトのつり具などがある。介護給付の対象としては、車いす(構成比12%)、同付属品(3.8%)、特殊寝台(14.1%)、同付属品(39.7%)、手すり(12.5%)、歩行器(7.0%)などが目立っている。09年に起き上がり補助装置(体位変換器)、離床センサー(認知症老人徘徊感知機器)、階段移動用リフト(移動用リフト)、自動排泄処理装置(特殊尿器)、入浴介助ベルト(入浴補助用具)、引き戸等の新設などが給付対象に追加されているが、「介護給付対象化に向けた流れ」のなかで、福祉用具の範囲、考え方を示し、給付対象化を目指した留意点などを提示した。

■サービスロボットの世界
 ロボット利活用への政策支援分野として、生活・福祉分野では、ライフイノベーションの先進技術として期待、介護労働者等の負担軽減、要介護者の自立支援・移動支援を挙げている。高齢者人口は05年から25年にかけて1070万人の増加が見込まれており、また介護現場の約7割の人が腰痛に悩まされているという現実がある。
 ロボットは、このほか公共・防災分野、製造業分野でも期待され、政策支援分野となっている。
 さらに、日本におけるロボットのトピックスとして、以下を取り上げた。
▽つくば市に生活支援ロボット安全検証センターを設立し、サービスロボットの安全認証の基盤となる安全検証試験拠点として稼働する予定
▽食事支援ロボット「マイスプーン」(セコム)は国内外で300台の販売実績
▽装着型歩行支援ロボット「HAL」(サイバーダイン)は、大和ハウスと連携して生産拠点を整備し、現在病院・介護施設160カ所にリース中。つくば市にはHALを用いた訓練スタジオ拠点を設置。ドイツへの本格進出を視野に現地法人を設置
▽アザラシ型アニマルセラピーロボット「パロ」(知能システム社)は、日本で1300台の販売実績。デンマークでは使用資格を定めて組織的に運用され、今後1000台が導入される予定。米食品医薬品局から医療機器に認定され、30台の販売実績
▽トヨタは13年までに、歩行アシストロボットなどの医療介護支援ロボット実用化を表明
▽パナソニックは病院業務支援ロボットの一環として、ロボティック・ベッドや薬剤搬送ロボットなどの事業化を目指し実証中。デンマークやシンガポールでも実証中
▽富士重工業は清掃ロボットで事業化など
 介護・福祉系ロボットの潜在市場予測は、15年が自立支援134億円、介護・介助支援33億円、20年に397億円、146億円、25年に825億円、414億円と推移し、35年には2206億円、1837億円とされている。ロボット介護機器の市場は、「まだ大成功の事例が少なく、参入余地がある市場」とし、今後の普及を促進するため、経済産業省の国際標準化への取り組みや評価研修手法の開発の様子を説明した。

■経産省、ロボット介護機器の開発を支援
 経済産業省では、ロボット介護機器開発・導入促進事業(新規)として13年度予算案に23.9億円を盛り込んでおり、5つの重点分野でロボット介護機器の開発を支援する予定である。5重点分野は、(1)移乗介助(ロボット技術を用いて介助者のパワーアシストを行う装着型の機器)、(2)移乗介助(ロボット技術を用いて介助者による抱え上げ動作のパワーアシストを行う非装着型の機器)、(3)移動支援(高齢者等の外出をサポートし、荷物等を安全に運搬できるロボット技術を用いた歩行支援機器)、(4)排泄支援(排泄物の処理にロボット技術を用いた設置位置の調整可能なトイレ、(5)認知症の方の見守り(介護施設において使用するセンサーや外部通信機能を備えたロボット技術を用いた機器のプラットフォーム)。
 開発のロードマップ(3年間のパッケージ)は、13年度上半期で採択、設計審査会を通過すれば下半期で試作実証、14年度の採択審査を経て試作実証、15年度の補助金採択審査、採択を受けて市販モデルの開発・実証、さらに公開実現、最終的に優良事例への導入支援・補助(検討中)となる。
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