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工場立地動向調査、11年は869件・1021万m²、
件数は10%増も面積は4年連続減少
2012/7/2
経済産業省は、2011(平成23)年1~12月期の工場立地動向調査(速報)をまとめた。これによると、立地件数は869件で、10年の786件に比べ10.6%の増加となった。調査を開始した1967年以降、過去最低であった2010年は上回ったが、過去4番目に低い水準。立地面積は1021万m²で、10年の1072万m²に比べ4.8%の減少となった。工場立地件数は4年ぶりに前年を上回ったが、工場立地面積は4年連続して減少となった。
工場立地件数および工場立地面積の低迷は、海外経済の減速や、円高の進行などによる企業の国内設備投資計画の凍結・見直しや海外投資の拡大、東日本大震災の影響などが要因と考えられる。
なお、半期ごとでは、上期(1~6月)が403件、421万m²に対して、下期(7~12月)が466件、600万m²となっており、工場立地件数、工場立地面積ともに増加している。また、下期の工場立地件数を前年同期と比較すると、7.4%増となった。
東日本大震災により災害救助法の適用を受けた7県(東京都を除く、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県および千葉県)での工場立地件数は130件(前年142件、前年比8.5%減)、同7県における工場立地面積は156万m²(前年366万m²、前年比57.5%減)であった。
立地件数を移転立地と移転でない立地(自社の既存工場の全部または一部を廃止する計画を伴わない新規立地)の別に見ると、移転立地件数は321件となり、移転でない立地件数は547件となった。移転でない立地件数の割合は63%で、前年から1.7ポイント増加した。
企業規模(資本金規模)別立地件数は、資本金1000万~5000万円未満の企業による立地件数が374件となり全体の43.6%を占めた。
借地による立地件数は166件で、前年の143件に比べ16.1%の増加となった。全立地件数に占める借地による立地の割合は19.1%で、前年から0.9ポイント増加した。
工業団地への立地件数は426件で、前年の307件に比べ38.8%の増加となった。また、全立地件数に占める工業団地への立地割合は49.0%で、前年から10.0ポイント増加した。
県外立地(本社所在都道府県以外への立地)件数は319件、県内立地件数は550件で、全立地件数に占める県外立地の割合は36.7%となり、1990年の37.3%以来の高い割合となった。
立地件数を業種別に見ると、多い順に
(1)食料品製造業155件(構成比17.8%)、(2)金属製品製造業100件(同11.5%)、(3)輸送用機械器具製造業64件(同7.4%)、(4)生産用機械器具製造業61件(同7.0%)、(5)プラスチック製品製造業59件(同6.8%)となった。立地件数が多い業種の内訳のうち特徴的なものを見ると、(1)食料品製造業では水産食料品(28件)、パン・菓子類(22件)、その他の食料品(65件)、(2)金属製品製造業では建設用・建築用金属(26件)、その他の金属(25件)、(3)輸送用機械器具製造業では自動車・同部品(50件)、(4)生産用機械器具製造業ではその他の生産用機械(31件)、(5)プラスチック製品製造業ではその他のプラスチック製品(25件)となった。また、立地件数が前年比で増加した業種は、(1)金属製品製造業(前年72件→100件)、(2)飲料・たばこ・飼料製造業(同26件→46件)、(3)生産用機械器具製造業(同47件→61件)であった。
立地件数を地域ブロック別に見ると、件数の多い順に(1)東海146件(構成比16.8%)、(2)関東内陸131件(同15.1%)、(3)南東北92件(同10.6%)となり、これらの地域で全体の42.5%を占めた。また、立地面積では、上位から順に(1)東海183万m²(構成比17.9%)、(2)関東内陸144万m²(同14.1%)、(3)北九州106万m²(同10.3%)となり、これら地域で全体の42.3%を占めた。
立地件数の前年比では、増加件数が多い順に(1)東海22件増(前年124件→146件)、(2)北九州17件増(同43件→60件)、(3)近畿臨海13件増(同64件→77件)となった。一方、関東内陸26件減(前年157件→131件)、南九州14件減(同46件→32件)の2地域では立地件数が減少した。
立地面積の前年比では、増加が多い順に、(1)北九州69万m²増(前年36万m²→106万m²)、(2)近畿内陸38万m²増(同55万m²→94万m²)、(3)関東臨海29万m²増(同41万m²→70万m²)となった。一方、関東内陸172万m²減(同316万m²→144万m²)、南東北60万m²減(同145万m²→85万m²)などの地域が前年比で大幅な減少となった。工場立地1件当たりの立地面積で見ると、北九州(1.76万m²/件)、北東北(1.55万m²/件)、北陸(1.44万m²/件)で大きく、南九州(0.79万m²/件)、山陰(0.88万m²/件)、南東北(0.93万m²/件)で小さくなっている。
立地件数を都道府県別にみると、立地件数の多い順に(1)兵庫県(56件)、(2)愛知県(43件)、(3)静岡県(37件)、(4)埼玉県、岐阜県(各36件)、(6)新潟県(35件)、(7)長野県(34件)、(8)群馬県、福岡県(各33件)、(10)三重県(30件)となった。立地件数の前年比増減を都道府県別にみると、増加の多い順に(1)岐阜県(19件増)、(2)岩手県(13件増)、(3)山梨県、京都府、兵庫県(各12件増)となった。
立地面積を都道府県別にみると、多い順に(1)福岡県(80万m²)、(2)兵庫県(64万m²)、(3)愛知県(53万m²)、(4)静岡県(47万m²)、(5)岐阜県(44万m²)となった。立地面積の前年比増減を都道府県別にみると、増加が多い順に(1)福岡県58万m²増(前年23万m²→80万m²)、(2)岐阜県29万m²増(同15万m²→44万m²)、(3)兵庫県24万m²増(同40万m²→64万m²)となった。一方、茨城県152万m²減(同190万m²→38万m²)、宮城県40万m²減(同71万m²→31万m²)、愛知県33万m²減(同86万m²→53万m²)、福島県26万m²減(同34万m²→7万m²)などの地域が前年比で減少となった。
工場立地1件あたりの立地面積が大きかったのは、上位から順に(1)秋田県(2.99万m²/件)、(2)福岡県(2.43万m²/件)、(3)石川県(2.25万m²/件)、(4)茨城県(2.11万m²/件)、(5)徳島県(1.97万m²/件)であり、一方で、1件あたりの立地面積が小さかったのは、(1)大阪府(0.24万m²/件)、(2)島根県(0.42万m²/件)、(3)長崎県(0.46万m²/件)、(4)鹿児島県(0.49万m²/件)、(5)東京都(0.50万m²/件)であった。
工場立地における立地地点選定に際して、事業者が最も重視した項目は、(1)本社・他の自社工場への近接性、(2)市場への近接性、(3)関連企業への近接性であった。新設立地に当たって重視した項目は、「最も重視した」「重視した(複数回答)」ともに「本社・他の自社工場への近接性」が最も多かった。「重視した」では、「工業団地である」との回答も多かった。また、立地に当たって「国・地方自治体の助成」「地方自治体の誠意・積極性・迅速性」を「最も重視した」もしくは「重視した」と回答した企業が、665社中、それぞれ100社(15.0%)、99社(14.9%)あった。
海外立地を検討した企業は47社(前年17社)あり、これらの企業が最終的に国内での立地を選択した理由は、「最も重視した」では「良質な労働力の確保」が6件、「重視した」では「関連会社への近接性」、「国・県・市・町・村の助成・協力」、「対事業所サービス業の充実」などが多かった。
研究所の立地件数は5件で、前年比で12件の減少となった。都道府県別にみると、茨城県、神奈川県、長野県、大阪府、長崎県で各1件となった。研究開発機能の付設予定件数は179件で、前年比で13件の減少となった。地域別では東海(39件)、近畿内陸(20件)、関東内陸(19件)の順となった。
外資系企業(外資比率50%以上の企業)の工場立地件数は8件で、前年比で1件の減少となった。地域別にみると、関東臨海が3件、関東内陸が2件であった。