商業施設新聞
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第256回

オリックス不動産(株) 投資開発事業本部 商業施設事業部長 戸崎聡氏


クロスゲート金沢を開業
「食」に特化し差別化図る

2020/11/17

オリックス不動産(株) 投資開発事業本部 商業施設事業部長 戸崎聡氏

 オリックス不動産(株)(東京都港区浜松町2-3-1、Tel.03-5776-3400)は、オリックスグループ内で不動産投資・開発事業や住宅開発、施設運営事業など不動産に関する幅広い事業を手がけている。8月1日には、金沢駅前に食物販・飲食店に特化した商業施設とハイアット2ブランドの宿泊施設、分譲マンションで構成する「クロスゲート金沢」を開業し、地元住民を中心に多くの人で賑わっている。開業1カ月の状況や今後の運営などについて、同社投資開発事業本部 商業施設事業部長の戸崎聡氏に話を聞いた。

―― クロスゲート金沢の開業1カ月の状況から。
2階飲食店フロアの様子
2階飲食店フロアの様子
 戸崎 クロスゲート金沢は1、2階に食をテーマに31店を集積した商業施設、その上にハイアット セントリック、ハイアット ハウスの宿泊施設を配置した複合施設で、商業施設の初月(8月)は、累計で20万人強のお客様にご来館いただいた。厳しい暑さの中だったが、多くの人に行列を作ってもらえたことは、地元の人々に期待されていると感じたし、元々のスタートが「地元の人のために駅前に賑わい施設を作る」という開発の考え方だったため、我々としては「やって良かった」というのが正直な感想だ。
 お客様は8~9割が石川県内や金沢市内の人である。昼間は近隣ワーカーのランチ需要に対応し、平日と休日の来館者も思ったほど差は出ていない。一方、このご時世どこもそうだと思うが、コロナの影響で夜の飲食のニーズが弱い。本来なら会食や接待などにご利用いただける店も用意しているが、そこが苦しい状況だ。コロナが落ち着いて元の状況が戻ってくれば、もう少し上向いてくると思う。

―― テナントの構成は。
 戸崎 1階の食物販を中心にカフェなどを備えたフロアと、2階の飲食店フロアで構成している。店舗数はおよそ半々ずつの計31店を展開し、金沢初、北陸初などの目新しいテナントは特に賑わっている。
 また、片町などの繁華街で営業している、地元で評判の店を導入したというのも特徴だ。誘致したテナントはすべて実際に食べた上で、出店要請をさせていただいたので、当社としても納得のテナント構成となっている。さらに、金沢市はクリエイティブな人たちに対する支援を積極的に行っていることもあって、テナントの経営者は若い人が多く、チャレンジ精神のあるテナントが多い印象だ。

―― リーシングは順調に進んだか。
 戸崎 地元の事業者としては「駅西口に新しい商業施設ができる」ということがイメージしにくく、興味はある・出店したい気持ちはあるが、どれだけの集客があるのか読めない部分もあり、検討の時間は長かった。金沢は東口の兼六園が街の集客の中心だが、クロスゲート金沢は兼六園の反対側に位置し、元々2000~3000坪の駐車場くらいしかなかった場所に賑わいを創出する施設を開発するという計画だったので、最初はイメージが湧かなかった。従ってテナントも慎重に検討する必要があったのだと思う。

―― 集客や運営について。
 戸崎 県をまたぐ移動に抵抗がある人やインバウンドが読めない中、集客は厳しくなると思う。8月は20万人強のお客様にご来館いただいたが、再度訪れてもらい、リピーターになっていただけるような施策を考え、実行することが必要だ。
 そしてリピーター獲得の施策は、すぐにでもやらなくてはいけない。施設側から発信するだけでなく、テナント側からの「こんなことはできないか」という意見や提案も聞いていきたい。施設とテナントは仲間なので、お互い協力しながら進めていく。

―― ホテルについて。
 戸崎 ホテルはインターナショナルホテルを誘致してほしいという要望に加え、長期滞在できるホテルが必要だという意見があったため、短期宿泊であればハイアット セントリック、中長期であればハイアット ハウスの2ブランドを用意した。

―― 金沢の人の流れについて。
 戸崎 今後、金沢は人の流れが変わる。その第1弾として機会をいただき、今回の複合施設を開発した。西口では現在、ホテルやオフィスなどの開発が進んでおり、その中で当社がそのトップバッターとなるものを整備した。
 また、既存エリアとの共存共栄も意識した。金沢市のマーケットを見ると、例えば香林坊エリアに「大和百貨店」がブランドショップを構え、若い人向けのファッションでは「金沢百番街」や「フォーラス金沢」がある。それらと共存共栄しながら、さらに滞留してもらえる施設を考えたときに、食の分野は需要と供給のバランスがまだ釣り合っていないという考えで現在のテナント構成となった経緯があり、サービス店や物販店に関してはリーシングをしなかった。そのあたりのニーズは既存のエリアに引き続き担っていただき、当社は食の分野を強化することで一緒になって西口を盛り上げていけるものを目指したいと思っている。

―― 最後に今後の意気込みを。
 戸崎 コロナの影響で楽観視できない状況の中、初月に20万人強のお客様にお越しいただいたということがあるので、そのお客様がまた足を運びたくなるような施設づくり、仕掛けを考えていきたい。オープン時だけの盛り上がりで終わるのではなく、また行きたいと思ってもらえるような施設としたい。


(聞き手・笹倉聖一記者/若山智令記者)
※商業施設新聞2367号(2020年10月20日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.342

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