商業施設新聞
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第250回

積水ハウス(株) 開発事業部 事業部長 柳武久氏


「W」など都市型で4ホテル計画
地方では15ホテル開業へ

2020/10/6

積水ハウス(株) 開発事業部 事業部長 柳武久氏
 住宅デベロッパーの積水ハウス(株)(大阪市北区大淀中1-1-88、Tel.06-6440-3111)は近年、マリオット・インターナショナル(マリオット)と協業し、新規ホテルの開発を加速している。9月に4施設目の「モクシー大阪新梅田」をオープンしたほか、10月以降に「Trip Base(トリップベース)道の駅プロジェクト」が順次開業する予定だ。ホテルも含めた開発事業の責任者である柳武久氏に話を聞いた。

―― マリオットと協業し、ホテルの開発を進めています。
9月1日にオープンした「モクシー大阪新梅田」
 柳 2010年に大阪の御堂筋沿いに「セントレジスホテル大阪」を、14年に京都の鴨川沿いに「ザ・リッツ・カールトン京都」を、18年に愛知のセントレアに「フォーポイントバイシェラトン名古屋 中部国際空港」を開業しており、20年は9月に大阪の福島エリアに「モクシー大阪新梅田」をオープンした。10月以降はTrip Base道の駅プロジェクトも順次開業する予定だ。

―― マリオットと協業する理由を。
  当社は住宅メーカーであるが、家の中でくつろぐという点では、ホテルに通じる点もあり、住宅とホテルの親和性は高い。また、当社は住宅という“日常”で安全・安心を提供しているのに対し、マリオットはサプライズの要素もあるが、ホテルという“非日常”の空間で、おもてなしやくつろぎを提案している。互いに日常と非日常の相反するものを提供しているが、お客様に部屋や空間でくつろいでほしいという考えは一致しているため、ホテル開発では強固なパートナーシップを構築している。

―― 貴社のホテル開発における特徴は。
  3つの開発スキームを有するのが強みだ。ひとつはデベロッパーとして開発する仕組みで、商業施設やオフィスのほか、セントレジスホテル大阪が入居する「本町ガーデンシティ」が良い例だ。もうひとつは、SPCを組成してホテルを開発する仕組みで、近々開業するTrip Base道の駅プロジェクトが、代表的な例と言える。そして、フォーポイントバイシェラトン名古屋 中部国際空港のように、土地所有者の依頼を受けて、ホテルの建設から運営まで担当する仕組みもあり、これらの3つの開発スキームを駆使し、今後も新規ホテルの開発を進めていく。

―― 今後のホテル開発計画について。
  マリオットと協業して進める計画では、今後、都市型ホテルを4施設開業するほか、地方ではTrip Base道の駅プロジェクトが21年度内に15施設をオープンする。都市型ホテルは21年2月に日本初上陸の「W大阪」、22年春に「コートヤード・バイ・マリオット名古屋」と「ウェスティンホテル横浜」、23年3月に「ザ・リッツ・カールトン福岡」がオープン予定だ。
 先日開業した「モクシー大阪新梅田」は、宿泊に特化したライフスタイルホテルであり、当社としてもモクシーにふさわしい立地があれば、国内で展開を目指したい。なお、モクシー大阪新梅田の開発は、シンガポールのデベロッパーであるファーイースト・オーガニゼーションとの日本で初めての協業でもある。

―― 日本のホテル市場について。
  新型コロナウイルス感染症の影響により、今は厳しい状況が続いている。短期的に見ると、移動の制限があるため、当社としては新型コロナウイルス感染症対策をより強化していく。しかし、18年に14億人が海外旅行に出かけ、同年の訪日外客数が3100万人を記録したように、新型コロナウイルス感染症は一過性のものであり、長期的な視点に立てば、日本のホテル市場は拡大する可能性を秘めている。


(聞き手・岡田光記者)
※商業施設新聞2364号(2020年9月29日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.341

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