商業施設新聞
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第241回

(株)カウンターワークス 代表取締役CEO 三瓶直樹氏


ポップアップを多角化
全国各地で賃貸ビジネス開始

2020/8/4

(株)カウンターワークス 代表取締役CEO 三瓶直樹氏
 ポップアップストアの出店支援を行っている(株)カウンターワークス(東京都目黒区上目黒1-26-9、Tel.03-6420-0773)が業容の拡大を進めている。店舗物件は従来の路面店、繁華街、百貨店、ショッピングモールに加え、エキナカ物件も新たに開発。2019年には、商業施設内に賃貸スペースを設けるなど、出店者へのサービス拡充に努めている。ポップアップストアの現状や今後のサービス展開について、代表取締役CEOの三瓶直樹氏に話を聞いた。

―― ポップアップストアの現状について。
 三瓶 古くは百貨店やGMSの催事から始まったとされ、最近になってその名称が定着した。近年、ポップアップストアが増える背景には、①商業施設における空床の増加や集客力の担保、②インターネット業界の競争激化、の2つが挙げられる。
 ①では地方の百貨店やショッピングモールにおいて、空床が増えており、デベロッパーは空床を埋めるために新たなテナントを誘致するが、契約金や保証金といったリスクが高く、中小企業やEC企業は出店に及び腰だ。その結果、テナントは資本のある企業に限られ、どの商業施設も似通ったテナント構成になる。消費者に新鮮味を感じてもらうためにも、ポップアップストアの需要が増えている。
 ②に関してはテナント側の事情がある。中小企業やEC企業は、出店意欲は旺盛だが、ネット上でも競争が激しくなっている。これまでは楽天市場やヤフーショッピングといったサイトのみであったが、最近はBASEやSTORES.jpといった低コストでオンラインストアを作れるサイトが増え、爆発的にオンラインストアが増加した。
 eコマースの市場規模はここ5年(2012~17年)で成長率が約2倍を記録したが、テナント数は約30~40倍に増えているのが実情だ。10年前よりネットで集客するためのコストも上がっていることから、テナント側もポップアップストアに注目している。

―― 最近の傾向を。
 三瓶 百貨店や商業施設のデベロッパーが、ポップアップストア専用の売り場を広げている。これは季節商材の販売など、ポップアップストアがその場所を利用する柔軟性が上がったためだ。中小企業やEC企業は出店意欲が依然として高く、もはやポップアップストアは、マイノリティゾーンからボリュームゾーンへと移行しつつある。そのため、今後は施設の空床や共用部だけでなく、トラフィックの多い一等地でも、ポップアップストア専用の売り場を設けるといった動きが一部あり、より加速していくだろう。

―― 貴社が手がけるサービスについて。
 三瓶 当社はポップアップストアなどのスペースを、簡単にオンラインで検索・予約できるサービス「ショップカウンター」を展開している。ショップカウンターは出店を希望するテナントが当社サイトに掲載している物件の写真を見て申し込み、物件のオーナーが、そのテナントの出店を決める仕組みだ。
 当社はそのマッチングだけでなく、出店先選定やVMDの相談にも応じる。掲載物件は1200件を数え、路面店や繁華街のビルインもあるが、うち200件は百貨店やショッピングモールの物件だ。エリアは全体の7割が首都圏で、残りは名古屋、大阪、京都、福岡となる。

JR大崎駅の構内に設けた「スキマストア」(現在は撤収)
JR大崎駅の構内に設けた
「スキマストア」(現在は撤収)
―― JR東日本グループとエキナカ出店の実験を進めている。
 三瓶 19年11月に、JR東日本リテールネットとJR大崎駅の構内で、新型ポップアップストア「SUKIMASTORE(スキマストア)」の展開を行った。エキナカ物件は初めて手がけたが、検証を終え、出店基準の高さと、顧客の足の速さを改めて思い知った。顧客の足の速さに関しては、高単価な商品よりも、手ごろな価格でさっと買える、スイーツのような商材と相性が良い。実験中には1日に15万~20万円を稼ぐ店舗もあった。
 スキマストアは、3月にJR代々木駅にも設置しており、スイーツ店や雑貨店が出店した。いずれも店舗面積は3m²で、精算はSuicaなどの交通系ICやクレジットカードが中心となり、完全キャッシュレスの店舗だ。同じ什器を使用し、レジも用意していることから、将来はスキマストアの量産も視野に入れている。なお、前述の実験は、20年内に3~4駅で行う計画だ。

マルイ有楽町内の「ポップアップナウ」
マルイ有楽町内の「ポップアップナウ」
―― 19年3月からテストを進める新サービスもある。
 三瓶 19年12月に有楽町マルイの4階に、D2C(direct to consumer)ブランドやクリエイターが手軽に、かつ安価に出店できる「POP-UP NOW(ポップアップナウ)」を設けた。これは従来のサービスと異なり当社が場所を賃貸し、販売員も動員、小売機能を提供する仕組み(オプションにより変動)で、出店したいテナントは商品のみ供給する画期的なサービスである。これにより、D2Cをはじめとした新興ブランドや、直販を多く手がけていないメーカー、クリエイターも手軽にポップアップストアを開設できる。
 有楽町マルイの場合、レディース向けフロアに店舗を設けているので、そのターゲットに合う商材(審査有り)なら出店可能である。出店期間は2週間単位で対応しており、有楽町マルイのほか、「新宿ミロード」(現在は終了)「ルクア イーレ」「神戸ハーバーランドumie」京都「The CUBE」「相模大野ステーションスクエア」の計5カ所で展開中だ。ポップアップナウは商業施設内のほか、路面店などへの展開も視野に入れている。

―― 最後に抱負を。
 三瓶 当社はこれらのサービスに加え、19年12月に開業した「東急プラザ渋谷」においてDX推進データプラットフォーム「adptOS」の提供も開始している。最近はデジタルに絡むテナントが増えているので、こうしたデータの提供も必要になるだろう。その一方で、ショップカウンターは掲載物件が年々増加しており、ここ3~4年で5000件に到達すると見込んでいる。今後もサービスの拡充に努め、いずれはIPOを狙っていきたい。

(聞き手・岡田光記者)
※商業施設新聞2345号(2020年5月19日)(7面)

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