商業施設新聞
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第239回

軒先(株) 代表取締役 スキマハンター 西浦明子氏


個人や法人に空きスペース提案
渋谷に新型ポップアップ

2020/7/21

軒先(株) 代表取締役 スキマハンター 西浦明子氏
 「個人事業主や零細企業の出店場所を作りたい」。その願いを具現化し、“軒先ビジネス”として展開しているのが、軒先(株)(東京都千代田区大手町2-6-1、Tel.03-6869-3111)だ。同社は軒先パーキングや軒先レストランといったサービスも展開し、最近は商業施設内へのポップアップストアの出店や、ポップアップスペースの開拓を含めた街づくり活動に参画している。代表取締役 スキマハンターの西浦明子氏に話を聞いた。

―― 貴社の沿革を。
 西浦 もともとは物販店を短期間で出店したいと思い、2008年に起業したが、気軽に出店できる場所がなかった。そこで、低リスクの出店場所を探し出して個人事業主や零細企業の出店場所を作りたい、その願いを具現化したのが“軒先ビジネス”である。こうして軒先ビジネスをスタートさせ、12年に車を停める軒先パーキング、18年には飲食店を間借りする軒先レストランというサービスも開始し、現在に至っている。

―― 軒先ビジネスとは。
 西浦 空きスペースを貸したいオーナーと、そのスペースを使いたい出店者を結ぶ、マッチングビジネスである。創業当初はレンタル契約や空いたスペースの貸し借りが中心であったが、現在はアイドルタイムに発生する空きスペースが基本だ。現状、個人事業主が多く、全体の3分の1はキッチンカー、3分の1がポップアップストアや駅構内の催事、残りの3分の1は企業のプロモーション案件となる。
 軒先ビジネスは個人事業主でも1日3000円~という低予算で店を開くことができるため、「週末だけ店を開きたい」「雑貨店だけ手がけたい」といったピンポイントの要求にも対応する。当社のサイトには常時、都内を中心に2000~2500件の物件を掲載し、顧客は個人事業主や法人を合わせて4000者を数え、うち8割がリピーターとなる。法人はホームセンターやドラッグストアからの引き合いが多い。

―― 軒先ビジネスのメリットとデメリットを。
 西浦 出店者のメリットとしては、空いているスペースを活用するので、初期投資を抑えて売り上げを伸ばすことができる。商業施設の場合も、大きなコストをかけずに出店できるのが魅力だ。オーナーも必要に応じてテナントを入れ替えることができる。
 一方、デメリットは人気の場所を押さえることができない点だ。1回の出店は2週間が限度であり、店舗を循環することで効果が生まれるため、出店者にはその点を理解していただいている。また、オーナーも空きスペースの賃料として、軒先ビジネスはあくまでも売り上げの補助的な役割として捉えていただいている。

―― 商業施設内における最近の取り組み事例は。
渋谷フクラス内に設けたポップアップストア
渋谷フクラス内に設けたポップアップストア
 西浦 19年12月に開業した「渋谷フクラス」の1階に、0.3坪のミニポップアップスペースがオープンし、その運営を行っている。このスペースは7時~11時、11時~15時、15時~20時、20時~23時の4つの時間帯に分けて様々な店舗が出店する、新しいポップアップストアとなる。同店では、昼は花屋や弁当店が出店し、夜は電子タバコ店や占い店が営業する。この時間帯で分ける新型ポップアップストアは、他の商業施設にも展開する予定だ。

―― 軒先レストランについて。
軒先レストランを活用した「有頂天うどん 水天宮前店」
軒先レストランを活用した
「有頂天うどん 水天宮前店」
 西浦 飲食店が営業していない空き時間のみ、他の出店希望者に貸し出すシェアリングサービスである。スタートして1年半が経過したが、首都圏を中心に350店が同サービスに登録し、うち常時50店程度が間借り飲食店を展開している。現状は副業ブームを追い風に、個人事業主が手がけるケースが多く、ランチ営業は全体の9割を占める。30日単位で出店できるため、リピート率は7割に達し、売り上げも年々伸びているサービスだ。今後も新規の個人事業主を中心に開拓していきたい。

―― 武蔵野市開発公社と吉祥寺ポップアップストアポータルの共同運営を開始した。
 西浦 吉祥寺が都市の均質化に飲み込まれず、将来にわたって賑わいを失わないために、街の魅力を高める一環として、街中でポップアップスペースを開発する。この取り組みには地域の個店やビルオーナーのほか、「キラリナ京王吉祥寺」といった商業施設も参画しており、街づくりの中でポップアップスペースを開拓するという画期的な取り組みだ。当社は主に出店者を募る役割を果たす。

―― 将来の展望を。
 西浦 今後は個人事業主に対して、出店場所の提供だけでなく、店舗運営のノウハウも提供したい。また、軒先レストランでは飲食店の開業パッケージの開発も視野に入れている。そして、軒先ビジネスが不動産としての収益だけでなく、マーケティングのツールとして活用していただけるように、今後もサービスの拡充に努めていく。


(聞き手・副編集長 高橋直也/岡田光記者)
※商業施設新聞2351号(2020年6月30日)(8面)

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