商業施設新聞
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第238回

(株)高麗貿易ジャパン 取締役社長 朴良基氏


韓国最新の食文化を紹介
両国の奥深い交流創出を

2020/7/14

(株)高麗貿易ジャパン 取締役社長 朴良基氏
 (株)高麗貿易ジャパン(大阪市中央区北浜1-5-10、Tel.06-6203-8877)は、韓国料理のビビンバをはじめ、スンドゥブやタッカンマリといった韓国食文化を日本で伝えている。同社取締役社長の朴良基(パク・ヤンギ)氏にお話を伺った。

―― 貴社を設立した経緯から。
 朴 当社は1985年に大阪事務所を設立し、86年に韓国政府系機関の100%出資で(株)高麗貿易大阪を設立した。韓国中小企業製品の広報のために、コリアプラザ(韓国商品展示売り場)を開設。89年に社名を(株)高麗貿易ジャパンに改称し、90年に東京支店開設と東京にコリアプラザをオープンした。
 98年アジア通貨危機の余波で経営難に直面し、資本民営化とともに、私が初代代表取締役に就任した。以降、韓国加工品輸入販売および日本国内開催各博覧会に参加、全国百貨店での韓国物産展開催、05年の「愛・地球博」参加などを通じて日本全国を舞台に営業を広げている。このような経験をもとに06年から韓国料理のビビンバをはじめ、スンドゥブやタッカンマリといったブランドを立て続けに売り出し、人気を博している。

―― 主な事業内容は。
(株)高麗貿易ジャパン 取締役社長 朴良基氏
bibimブランドの福岡市内天神店の様子
 朴 貿易(卸・小売り、輸出入の代行)をはじめ、外食事業、生産本部、イベント企画などがある。貿易では高麗人参、紅参製品、ゆず茶、韓国茶類、各種のキムチなどを扱っている。
 外食事業部は韓国料理「bibim」「タッカンマリコッキオ」のブランドを展開、生産本部はキムチ、各店舗のソース類を製造する。資本金は9500万円でパート、アルバイト含む従業員800人のうち、正社員が約80人となっている。

―― 日本でのビジネスは厳しい面もあるのでは。
 朴 そのとおりだ。常に新しい発想やチャレンジ・スピリッツで臨まなければ生き残れないと思う。我々は「お客様を喜ばせる会社」を目指し、時代とともに変化するビジネス環境に対応している。特に、先述の主な事業に加えて、ニュービジネスへの創造的な挑戦や時代のニーズに応えた当社ならではのサービスの向上を目指している。

―― 製品の認知に向けての取り組みは。
 朴 我々は長い間の信用を土台に、沖縄から北海道まで全国のドラッグストア6000店以上で販売する一方で、ECサイトを直営し、お客様に直接アピールしている。
 こうした取り組みが奏功し、売上高は18年に17億円、19年は前年比大幅増の22億円を達成した。20年はさらなる売り上げ増を見込んでおり、28億円程度を予想している。なお、当社の売上高には内部取引の生産本部から提供された材料を加算しないため、それらを含めると売上高はアップする。

―― 昨今の日韓関係についてどう思いますか。
 朴 日本でビジネスを展開している我々としては、日韓関係の行方は極めて敏感に影響する。現状で当社の売り上げや事業展開に特別な影響はない。しかし、10年ほど前の一時には当社の業績も非常に厳しかったこともある。
 あくまでも私見だが、日韓関係は隣国だからこそ生じる領土問題や歴史問題がある。これはヨーロッパや他の大陸にも存在する問題だ。むしろ日韓の経済交流は他の国々とは比較できないほどの奥深さがある。また、韓流ブームは現在は一服感があるとしても、韓流の底辺は粘り強い底堅さがある。さらに、当社の店舗に立ち寄る日本の多くの若者は、韓国文化を愛し、食べ物を愛し、人間同士で根強く交流していることが分かることから、当社は、日韓両国のさらなる奥深い交流を生み出すことをテーマに、常に新しいイニシアティブを創り出していきたい。

―― 最後に高麗貿易ジャパンの未来像は。
 朴 当社は、九州と関東を結ぶ関西の動脈として、東京支社や台湾支社を活用した事業拡大を進める。また、外食ブランドのM&Aをはじめ、他のジャンルも手がけるつもりだ。外食業には「お客様が納得できる店舗作り」を大切に考えており、フランチャイズも視野に入れている。そして、これまでのBtoBを足がかりに、BtoCも強めて、長期的にはIPOを視野に入れ、日韓の和気藹々の経済交流の懸け橋になっていきたい。

※このインタビューは4月7日の緊急事態宣言発令前に取材したものです


(聞き手・ソウル支局長 嚴在漢)
※商業施設新聞2339号(2020年3月31日)(5面)
シリーズ 日韓融和の架け橋目指す (下)

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