商業施設新聞
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第233回

(株)ハングリータイガー 統括本部長 中藤満氏


神奈川にこだわる出店立地
中計で人財育成と定着率強化

2020/6/9

(株)ハングリータイガー 統括本部長 中藤満氏
 牛肉100%・ラグビーボール型のハンバーグステーキを熱々の鉄板で運び最終調理を行う「ハングリータイガー」。1969年に横浜・保土ヶ谷に1号店を出店し、昨年50周年を迎えた。その間、O-157やBSEにより、横浜を中心に神奈川県内に30店以上あった店舗は3店にまで縮小を余儀なくされた。しかし地域に愛されてきたブランドは出店を再開し、現在10店にまで戻してきた。(株)ハングリータイガー(横浜市保土ヶ谷区仏向町991―1)統括本部長の中藤満氏に、今後の展開などを聞いた。

―― 創業50年ですが、スタイルは不変ですね。
 中藤 牛肉100%のハンバーグを提供するスタイルは1969年の創業当時からであり、革新的だった。かつ1種類のハンバーグソースにこだわってやり続けてきたパイオニアを自負する。

―― 店舗は一時期30店にまで広げます。
 中藤 東京・馬込や、千葉・新浦安にも店舗を構えた。神奈川は西は国府津まで広げたが、BSE禍などで閉店した。残ったのが本店と若葉台店と、相鉄ジョイナス店で、その他は中華系レストランのチェーン企業に、社員と店舗を譲渡した。

―― 出店再開は。
 中藤 おかげさまでその後順調に売り上げが回復。地域の方に大変愛されていたことを痛感した。閉店から3年後、日野店を出店した。かつての洋光台店が繁盛店だったので、その近くに出店した。言い換えれば、多くのご来店があった場所で、閉店のためご迷惑をおかけした地域から出店した。

―― 現在の体制は。
 中藤 昨年10月にハンマーヘッド店をオープンして10店になった。

―― 19年11月22日にJR大船駅東口近くに新業態「TORAのお肉屋さん」を出店しました。その狙いは。
 中藤 50周年を迎えて、悲願だったのが新しい柱の創出。同店はいわゆる「肉バル」で、アルコールの需要を狙う。試験的に木曜日を定休日とするとともに、従業員が週休2日を取れるようにした。また、「一毛作」で運営し、夜だけの営業としてスタッフを抑え、手間がかからないオペレーションを確立する。平日は17時からの営業で、仕込みをしても終電前で十分帰れる。

―― 手応えは。
 中藤 手探りでゼロから始めた割にはまずまずで、今後も常連がつくようにやっていきたい。あえて〝ハングリータイガー色〟を出さなかったが、「TORA(虎)=ハングリータイガー」が徐々に広まっている。50年横浜でやってきた信頼の賜物。ブランドの重みと歴史を感じる。

―― 中長期の計画は。
 中藤 22年に売り上げ30億円を目指す。改めてチェーン店の体をなしてきたので、ガバナンスを強化する。ただ、かつての三十数店時代のマニュアルや評価制度が時流にそぐわない面がある。育成と定着率の向上、採用を促す魅力ある給与体系の2本立てとする。外食産業への不信感がまだ強いので、人が集まりにくい。当社はスタンドアローンの店舗は大晦日と元日は休日にしたが、商業施設では館の休日があるので今後交渉していく。

―― 出店戦略は。
 中藤 かつての三十数店の中で売り上げが高かったところ、もしくはお声がけいただいて条件が良いところに出店する。ただ、人材育成できてからとなる。年に1店程度出店したい。今秋、横浜市内で路面店の出店を予定している。

―― 立地は神奈川にこだわる。
保土ヶ谷本店
保土ヶ谷本店
 中藤 そのとおり。16年にFCで名古屋に出店したが、うまくいかなかった。独特の文化や好みの違いがあり、加えて距離があると細かな指導が伝わりにくく、当社のような業態は簡素化オペレーションは向いていない。生ハンバーグの流通の問題もあり、そうなるとおのずと神奈川県内の立地になる。

―― 商業施設とロードサイドでは。
 中藤 できればロードサイドに出店したい。当社の店舗は、天高で窓が大きく野外でBBQを楽しんでいるかのような感覚がコンセプト。なお、郊外立地なら80席前後で100坪、駐車場含めて400坪が出店基準。駅から10分程度で歩ける場所がベストだ。
 ただ、以前、川崎駅近くに店舗があった。川崎駅は積極的にやりたい。広告宣伝も兼ねてフラッグシップ店としたい。商業施設内の出店になるだろう。また、東横線沿線にも店舗がないので、興味がある。

―― メニュー作りは。
オリジナルハンバーグステーキ
オリジナルハンバーグステーキ
 中藤 ハレの日需要が中心なので、良い思い出とともにハングリータイガーの味も記憶されている。それを求めて来店されるので、なかなか変えられない。前の方が良かったというお叱りを受けることもある。今ある商品のブラッシュアップがメーンになる。お客様からの支持に応えるためにも手を抜かず、愚直に混ぜ物無しのハンバーグを作り続けていく。
 一方で、8割はリピーターのお客様。リピート率を上げることに注力するが、リピーターの年齢も上がってきているので、新たなその2割の顧客層をさらに広げていかなければいけない。

(聞き手・編集長 松本顕介)
※商業施設新聞2344号(2020年5月12日)(8面)

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