富山フューチャー開発(株)(富山市婦中町下轡田165-1、Tel.076-465-1888)は、富山市婦中町で大規模SC「フューチャーシティ ファボーレ」を運営しており、2019年10月には増床リニューアルを実施した。新装内容とその後の集客効果などについて、同社取締役 営業企画部長の前田展宏氏に聞いた。
―― ファボーレの増床リニューアルの特徴について。
前田 新規店86店に加えて、移転35店を合わせた121店(全171店のうち約70%)が新たに開店した。そのうち北陸初出店は16店、富山県初は17店、富山市初は21店だ。新館が増えただけでなく、本館(既存棟)も大幅リニューアルし、施設全体が大きく、新しく生まれ変わった。本館は通路位置の変更や、ゾーニングの変更で、多くのテナントに移転をお願いした。先行工事のテナントは約3カ月、他の多くのテナントは2カ月間休業し、協力をいただいた。敷地面積は変わらず、駐車場に新館を増築した。新館の1階は売り場とピロティ駐車場、2階はファッションやフードコート、3階は駐車場の構成とした。
―― 3本の柱を掲げてリニューアルに取り組んだ。
前田 1つ目は「ショッピングの充実(ファッション・キッズワールド)」、2つ目は「エンターテインメントの充実(食物販・飲食)」、3つ目は「ホスピタリティの充実(トキ消費)」だ。ファッション&ライフスタイルでは、H&Mやセレクトショップが集い、楽しく選べるファッションゾーンに生まれ変わった(新ブランドは18店)。富山県内最大級のユニクロのほかアパレルブランドは合計40店(以前は28店)となった。
―― エンターテインメントの充実について。
前田 フードコート&アミューズメントの2階には、広域集客の核となるTOHOシネマズ、およびタイトーステーションが入っており、アミューズメントと同等の集客力を持つ13店、約900席の大型フードコート「立山フードテラス」を新たに設置した。天気が良い日には立山を一望でき、家族や友人、カップルで楽しめる。
―― ホスピタリティ充実での具体施策は。
前田 ホスピタリティでは、太陽の広場に220インチの大型ビジョンを設置し、スポーツイベント鑑賞などのライブビューイングを楽しむことができる。80インチサイネージなども設置しており、子どもたちが楽しめるアメージングシアターのほか、eスポーツ大会やARスポーツなど最新のデジタルイベントを開催している。またファボーレパークは「青空オーケストラ」と題して、学生や地域の皆様のステージ発表の場として賑わいを創出している。
―― リニューアルに取り組んだ背景は。
前田 北陸新幹線が開通した15年に、富山県西部で3つの大型商業施設が開業した。これにより、当SCの売り上げ(約200億円)が年間3%減、翌年は2%減へとおよそ10億円が減少し、商圏が縮小化していった。
そのためリニューアルを決断し、予備工事を経て、18年10月に本格工事を開始、1期、2期、3期の工事スケジュールに分けて進め、1年後に完成した。
―― 集客や売り上げ面での効果は。
前田 19年10月から12月までの3カ月間の専門店売り上げは約2倍に増え、予想以上となった。ファッション、飲食の伸びが著しく、若いお客様が格段に増えた。ただし、オープン景気との見方もできるので、クリスマス・正月商戦が終わり、北陸が雪の季節になって客足が遠のきがちな1~3月の結果を見てみないと結果を判断しきれないと考えている。
―― 2カ月で客足は激増したが、次の課題も露呈した。
前田 来客の自動車も数多くなり、駐車場が足りなくなっている。土日曜日に駐車場が満車になってしまうため、別途敷地を確保し今春に向けて次の駐車場を整備中である。
―― 親会社の平和堂は、GMS改革としてショップ化に挑戦している。
前田 本館1、2階で展開するアル・プラザ富山は2000年の開業当初から出店している核店舗で、今回はファッション、ビューティ、雑貨など、専門性を高め新しいショップに生まれ変わっている。
―― 中長期展望について。
前田 今後、10年、20年へと地域一番の交流の場として、お役に立ち続けるために、街づくりの中核施設としてさらなる魅力を備え、地域の皆様にご支持いただける「地域一番店」施設を目指す。
(聞き手・笹倉聖一記者)
※商業施設新聞2331号(2020年2月4日)(1面)
デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.327