(株)オンデーズ(東京都品川区東品川2-2-8、Tel.03-5715―3233)は、日本のみならず、ベトナムや台湾、マレーシア、オーストラリアなど、世界中で計330店のメガネストアを運営している。メガネのデザインだけでなく、レンズの追加料金のかからないシンプルプライスを採用し、さらに他店のフレームでも受け付けているレンズ交換など、ファッション性と安心感を両立したサービスが好調だ。同社の足元の状況や今後の展望などについて、代表取締役の田中修治氏に話を聞いた。
―― ブランドの概要から。
田中 オンデーズは「メガネのファストファッション」をコンセプトに、様々なファッション性に対応した自社ブランドを複数展開している。バリエーションが豊富な自社企画商品を多く揃えることで、「誰が来ても楽しめる」ことを目指している。そのおかげで客層の幅も広いが、一番多いのは30代後半~40代の男性だ。
―― 足元の状況は。
田中 現在の国内店舗数は133店ほどで、海外店舗を含めると毎週末に新店がオープンし好調だ。路面店の店舗面積は30~40坪が中心だが、SCでは小さいところで10坪、大きいところで70坪の店舗もあり、様々な立地に出店できるのも強みだ。店舗面積が広い場合は、イオンタウンユーカリが丘店のように、カフェスペースを併設している。
―― SCへの出店が多いですね。
田中 店舗の99%はSCといっても過言ではない。社長に就任した当時はすでに他社がSCにテナントとして入っており、違う方面からのアプローチとして路面店を出店した。しかしこれが失敗して、改めてSCの集客性の高さなどを実感し、SC中心の出店にしている。
―― 今はSCの中でメガネ店が複数出店していることもあります。
田中 高齢化社会によってメガネの需要が向上しているほか、今後メガネを使う可能性の高い40代が一番人口の多い層となっており、SC自体の来館者が減ってもメガネの使用者は増えていくだろう。また各低価格メガネブランドも誕生から10年以上経ってブランドが確立されたので、需要を食い合うことなく各社が成立している。それもあって当社は競合他社を気にすることなく、顧客の求める商品の提供を真摯に行っている。他社と差別化を図るよりも、自分たちのアイデンティティーやポリシーを追求することを大事にしている。
―― オンデーズのポリシーとは。
田中 オンデーズで一番大切にしていることは「安心」だ。そのためにスピーディな商品提供や、良心的な価格、各種保障類、スタッフの教育に力を入れている。このすべてを網羅しなければ「安心」は提供できないと考えており、誰かにオンデーズを勧めるときに「安心」を理由にしてもらえることを目指している。大量消費・大量生産の時代はすでに終わり、価格競争を行うのも意味がなくなってきている。消費者の思考も変化し、「安ければいい」からサステイナビリティーなどといったブランド提供価値を重要視するようになっており、当社でもフレームを長く使っていただくためのレンズ交換サービスが好評をいただいている。
また、人事に関しても「本気で取り組む人を全力で応援する」というポリシーのもと、オンデーズ独自の社内立候補制度などを採用している。投票制にして昇進のプロセスを明確にすることで、より公平かつ透明性を重視した労働環境を整えることで、従業員のモチベーション向上にもつなげている。この制度は日本だけでなく、海外の店舗でも共通だ。
―― 海外店舗について。
田中 海外店舗は好調に拡大しており、日本の3倍のペースで出店している。シンガポールには30店ほどあり、ほとんどのエリアに出店したのですでに出店する場所がないほどだ。さらに、新たにインドに進出し、海外での拡大を進めている。
―― 米国や欧米への進出は。
田中 今のところ考えていない。米国・欧米では、国の保険でメガネが購入できたり、視力検査も眼科でないとできないため、現地のメガネ店は調剤薬局に近い存在だ。法律や保険制度が日本に近くなければ出店する意味があまりない。
―― 今後の展望は。
田中 20年2月期末までに50店出店を目指していたが、現時点ではそれを超す勢いで店舗を拡大している。日本国内では東京・大阪を中心に出店を進め、特に東京都内で店舗数を拡充していく。さらに新業態も検討していくほか、価格帯の更新も検討している。東京だけで考えても所得の格差ができており、日本全国で同一の値段で販売し続けられるとは思わない。地域特性に合わせた価格帯などを提案して、「みんなが安心して買える、働ける、取引できる」を目指していく。
(聞き手・副編集長 高橋直也/新井谷千恵子記者)
※商業施設新聞2326号(2019年12月24日)(5面)
デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.231