11月13日、東急(株)および(株)東急モールズデベロップメントは、東京・南町田グランベリーパーク駅前に「グランベリーパーク」を開業する。全241店とグループ最大級で、さらに隣接する鶴間公園と一体的に開発した特徴的な商業施設となる。東急モールズデベロップメント(株)グランベリーパーク マネージメントオフィス総支配人の青木太郎氏に施設の特徴などを聞いた。
―― 事業の経緯から。
青木 この場所は「グランベリーモール」があった土地で、アウトレット、シネコンなどがある施設として集客してきた。ただ、世の中の関心や環境が変化したこともあり、2017年に閉鎖して再整備することになった。一方で、東急(株)は商業開発というより、街づくりを行う会社。同じ課題意識を持つ町田市と協定を結び隣接する鶴間公園と一体開発することで、相互の利用が進み、街全体が賑わうと考え、街区全体を再整備することになった。
―― 商業施設は特徴的なランドスケープデザインです。
青木 「グランベリーモール」を継承した低層のオープンモールで、中央に駐車場棟を配置し、敷地外周部の建物を分棟化することで、ぐるっと周遊できるようになっている。屋外には緑を散りばめ、歩くのが楽しくなる空間とした。公園の再整備においても商業施設と同じデザイナーを起用し、統一されたランドスケープとした。この一体整備を機に公園を含む街区全体を「南町田グランベリーパーク」とし、駅名も南町田グランベリーパークと変えた。駅構内に水辺や緑を設けるなど、電車を降りた瞬間から公園を感じられる空間にしている。
―― 施設内は想像以上に緑が豊かです。
青木 公園としての賑わいを目指し、施設のあちこちに緑を設けた。ピクニックができるような丘や広場もあるほか、冬にはスケートリンクを設ける計画がある。オープンモールであることを生かして四季を感じられるようにしたい。ペットと過ごすためにペットシャワー・トイレも3カ所設け、街の分断を防ぐために屋外通路は24時間通行できるようにしているのも特徴的な取り組みだろう。
―― スヌーピーミュージアムが話題です。
青木 12月に六本木から移転する形でオープンする予定だ。商業施設と公園をつなぐ「パークライフ・サイト」に整備される。カフェも設け、六本木の時と比べ、倍近い広さになるため世界観をいっそう表現できると聞いている。全国や海外からの来場客も多かったため、南町田でも広域からも足を運んでいただきたい。
―― 鶴間公園もリニューアルされましたが、どのような活用を想定しますか。
青木 例えば、各飲食店にはテイクアウト商品を用意していただいており、ぜひ公園でピクニックのように食べていただきたい。今年の夏祭りの日、公園が一時的に開放された際は、キッチンカーなどが出店し、本当に賑わっていた。公園の芝生でくつろいだり、時には寝転んだり、こんなに気持ちいいことは他にない。これこそがリアルの価値。施設と公園が融合する取り組みをどんどん仕掛けていきたい。
―― アウトドア店が充実するなど公園にマッチしたMDです。
青木 「モンベル」は店舗前にクライミングウォール、カヌーの試乗ができる池をつくるなど特徴的な店となった。カフェ併設の「スノーピーク」もあり、アウトドア用品を買ってすぐに公園で使うこともできる。キャンピングカーのレンタルができる「トイファクトリー」も出店し、この施設ならではの店舗構成となる。
―― 食関連も充実しています。
青木 施設はコンセプトを設けたエリアも配置し、そのうち「ギャザリングマーケット」ではライブ感溢れる新鮮な魚や肉などが揃う。イートインも多数設けており、ワクワクするゾーンに仕上がった。
飲食店では「KFC Restaurant」でチキンの手作り体験もできる。「THE CITY BAKERY」が2層で出店し、2階では本格的なレストランを展開する。ファミリー層が利用しやすいようにフードコートも設けるなど、旧施設と比べて飲食はかなり増えた。
―― 南町田グランベリーパークとして目指す姿は。
青木 この街区は国道16号、高速道路のインターチェンジに近接し、交通の要衝でもある。アウトレット店も100店ほどあり、週末は約20km圏・900万人ほどがターゲットとなる。我々としては商業施設を開発したが、この街を訪れる動機は公園でもいい。そのついでに買い物をするような感覚が南町田グランベリーパークらしい使い方。キャッシュレスにも積極的に対応しており、散歩の途中にもふらりと立ち寄ってほしい。11月13日の開業はまさにスタート地点。この施設の魅力をどんどん発信していきたい。
(聞き手・副編集長 高橋直也)
※商業施設新聞2319号(2019年11月5日)(2面)