(株)エムアイエスが展開するコインランドリーチェーン「マンマチャオ」は、現在店舗数が583と600店に迫り、WASHハウスと業界2強の一角を占める。今後も積極的な出店を継続していくとともに、様々な取り組みも展開する。代表取締役社長の三原淳氏に聞いた。
―― コインランドリー市場をどう見ていますか。
三原 需要に対して店舗が足りない状況だ。コインランドリーは従来、学生が主要顧客だったが、今日では、女性の社会進出とライフスタイルの変化で、主婦層の利用が増大し、2013~14年ごろに大きくブレイクした。また、法改正で設備の即時償却も大きかった。
当社の売り上げもそのころ拡大し、17年度売り上げは30億円に達した。
―― 貴社の概要を。
三原 当社は2000年9月に創業し、現在583店で、うち24店が直営だ。東京、神奈川で約200店を超える。スタンドアローンのビルイン型が8割を占めるが、他業種との併設店が50店程度ある。
―― 特徴は。
三原 「エコランドリー」を標榜する。当社は活性水で洗濯するため、洗剤数滴で、すすぎも1回で済み、洗濯時間も19分で終了する。他社は洗剤を大量投入するので何回もすすぎが必要だし、消費電力も大きく、ランニングコストに響いてくる。なお当社の仕上げ材は天然由来成分を使用しており、業界初のSDGsに認定された。女性の社会進出の分野でもSDGsを認定取得できた。
―― そのほかには。
三原 10年前からいち早くキャッシュレス化の流れに対応し、各種電子マネーに対応するため、後付けユニットを開発しあらゆる洗濯機種に装着できるようにした。デジタルサイネージを導入し、使用方法の説明や、ニュース・天気予報、広告配信も行っている。
またパートが売り上げを回収するシステムとし、前回集金した時から今回集金した累計金額が逐次メールで来る。不正も防げる。
さらにマンマチャオの店舗をGPSで検索できるアプリを開発中で、来店ポイントも貯められる。ポイントが貯まったら、クオカードを送るサービスを開始した。
―― トラブルへの対応は。
三原 すべての洗濯機と乾燥機、両替機をインターネットでつないでいる。お金を入れても作動しない時は、別の洗濯機の使用を促し無料で稼働させる作業をコールセンターのスタッフが行う。返金が発生した際は店舗の両替機で行う。500店にこのシステムが入っている。後で返金するとトラブルを招きやすいし、現地に到着してもすでに当該のお客様がいないことが多く、コストもかかる。
さらには、全国に修理網を持ち、自社で一時修理対応している。様々なメーカーを扱っているが、修理をメーカーに対応させると時間がかかる。他社はそれぞれのメーカーに回すが、当社は自社で受ける。電気制御が増えているため、エラーも多い。故障でなくフリーズで、再起動で作動できることも多い。
―― 出店の立地は。
三原 第1種住専、低層中高層地域は出店できない。第1種住居や第2種中高層地域は可能だが、50m²以下に制限されるため、店舗面積は50m²以内が多い。標準的な店舗で、洗濯機2台、洗濯乾燥機7台、洗濯乾燥機一体型2台で、2000万~3000万円でつくれ、低コストも特徴だ。子会社に不動産会社、建設会社も持っており、立地から建設まで対応できる。
最近は工場で製作し、洗濯機据え付け、配管も不要のパッケージ店舗をトラックで持ってきて設置するビルトイン型を、コンビニやドラッグストアの駐車場、コインパーキング敷地内に出店する事例も増えている。
―― 他業種と併設は。
三原 コンビニ、スーパー、ドラッグが多く、コンビニとの併設店は当社が最も多いだろう。コンビニは雨の日に売り上げが落ちるが、逆にコインランドリーは雨の日は利用者が増えるなど相性がいい。トイレを借りたり、ちょっとした小腹の足しや、両替でコンビニの来店頻度が上がる。
―― カフェ併設は。
三原 話題にはなるが、運営は大変。自前でカフェをやるのは反対だ。コインランドリービジネスの良い点は、無人経営で人件費がかからず、労務管理が不要な点。しかし、カフェを入れた瞬間に人件費が発生し、コストに合わない。
―― 洗濯の時間つぶしに有効では。
三原 お客様は店内で待たない。30分の乾燥時間でもどこかに買い物などで外出するし、出入りは多く、洗濯物をはたいたりと、決して居心地はよくない。前述のとおり、コンビニの方が使い勝手がいい。
―― 今後の展望を。
三原 22年ごろに店舗1000店、売り上げ60億円を目指す。出店は首都圏と関西を中心とする。年間150店くらい作ればいけるだろう。また、M&Aや海外展開も視野に入れており、エリアはASEANを検討している。
(聞き手・編集長 松本顕介)
※商業施設新聞2316号(2019年10月15日)(7面)
シリーズ 拡大するコインランドリー No.3