商業施設新聞
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第198回

(株)ロフト 代表取締役社長 安藤公基氏


「提案」する生活雑貨店を展開
20年度に中国初出店へ

2019/9/24

(株)ロフト 代表取締役社長 安藤公基氏
 (株)ロフト(本部=東京都千代田区九段北4-2-6、Tel.03-5210-6210)は、「提案」する生活雑貨店として国内の雑貨業界をリードし、全国に120店を展開している。マーケットや客層に合わせた商品構成、売り場づくりに定評があり、ファンも多い。2020年度(21年2月期)には中国に直営店を初出店し、次世代の成長エンジンと位置づける。同社代表取締役社長の安藤公基氏に聞いた。

―― 足元の状況から。
 安藤 1Qの売り上げは前年比、予算比ともにクリアした。前年比は3.6%増、予算比は1.2%プラスで、既存店も前年を超えた。営業利益は現在、予算に対して大幅プラス、前年並みとなっている。前年に対しては、銀座店増床分の投資を含んでおり、これが利益を若干押し下げているが、この後十分に取り返す見込みがついている。

―― 客数、客単価は。
 安藤 インバウンド需要の高い店を中心に、一時的に客数減、客単価減の流れが続いていた。客単価減はいわゆる爆買いで、中国人顧客のまとめ買いが客単価を押し上げていた。だが、中国の法規制などが厳しくなり、個人の爆買いが減少。これで上がっていた客単価が少し落ち込んだが、全体的には文具領域の復調などで客数は回復基調にある。

―― 現在の店舗数と19年度の出店は。
 安藤 現在、国内は計120店(直営101店、FC19店)を展開している。19年度(20年2月期)は、上期に6店(FC1店含む、移転除く)を出店。下期は4店を開業予定のため、数年ぶりの2桁出店で、期末は計124店が見込まれる。

―― 出店エリアの考え方は。
 安藤 全国を対象としており、ドミナントはあまり意識していない。どうしても都市の規模やマーケットの大きい場所に店舗が多いが、例えば地方でも集客がしっかりできる商業施設や、当社と相性の良い業態のテナント構成などが合致する場所なら、どこでも出店しようと考えている。

―― クランク導線導入の背景は。
 安藤 競争が激しさを増してきた14年ごろから導入を始めた。08年ごろまでは大型店も順調に出店しながら、標準店の多店舗展開を進めていたが、Eコマースの伸長や大型商業施設のリニューアルなどによるリアル店舗の競争激化が起こる中で、定型的な売り場だけではお客様に飽きられると思っていたからだ。クランク導線は時間消費型売り場を演出したもので、常にお客様の目線に我々がアピールしたい売り場什器や商品編集拠点があり、什器は従前のゴンドラや定番のテーブルではなく、アイランド型円形のサークル什器、アブストなどの組み合わせ什器などを配置し、VMDの強化を図った。
 今、新店はこうした売り場づくりを積極的に導入し、マーケットに勢いがあって、リニューアルにより数字が伸びそうな店は年に2、3店程度を改装している。改装は、店のマーケットポテンシャルを見て優先順位をつけている。“ゆくゆくは全店に”ではなく、あくまでマーケットの動向を注視しながら判断していく。一方、今のビジネスモデルでは、170~180店がロフト業態の店舗数の限界点とも感じているので、スクラップ&ビルドを含む改装のペースは今後上がっていくかもしれない。

―― 銀座増床、コスメロフト開業について。
19年4月に増床オープンした「銀座ロフト」
19年4月に増床オープンした
「銀座ロフト」
 安藤 銀座ロフトの増床で最も大きいのは客数の伸び、新しいお客様が増えたことだ。これにより、売上高前年比は19年5月が70%増、6月が50%増となった。近くで無印良品の旗艦店が開業した効果も大きいが、お互いに並木通り2丁目を盛り上げようという考えで、今のところ客数増という成果が実現できている。顧客年齢層は40歳前後の女性客が増え、それ以外の年代も銀座らしい成熟したお客様や、海外のお客様が増えた。
 コスメロフトは、19年4月に開業した新小型業態店で、1号店の表参道店は基準フォーマットよりもやや大きめで、通勤通学のついでに立ち寄るお客様に加えて、観光来街客も見込める店として広告塔的な存在だ。今後の出店では30~40坪で、ふらっとターミナル立地中心に出店する。本格的な展開は20年度から。

―― その他の新しい取り組みは。
 安藤 20年度に中国へ直営店を出店する計画だ。前述のコスメロフトと中国直営店を次世代成長へのトライと考えている。海外はタイ・バンコクにFC4店があるが、直営店は初の挑戦。まずは成都に1号店を出し、成都と上海を中心にマーケットを見極め、自信がついたら広げていきたい。場所は、まずは大型商業施設へのテナント出店となる。

―― 最後に抱負を。
 安藤 店舗面では、中期計画として22年度までに国内約140店を目指し、中国約6店を展開したいと考えている。売り場や店づくりでは、今やっていることをより進化成熟させ、商品が持つ魅力をもっとお客様に伝えるとともに、顧客第一という社是に今一度立ち返り、商品を選んで編集するだけでなく、商品のストーリーなどをしっかりとお客様に伝わるようにしていきたい。

(聞き手・若山智令記者)
※商業施設新聞2309号(2019年8月27日)(5面)
 商業施設の元気テナント No.230

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