商業施設新聞
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第197回

(有)NSPドクター 専務取締役 五十嵐修矢氏


カプセルホテルは今後も伸長続く
温浴などで差別化がカギ

2019/9/17

(有)NSPドクター 専務取締役 五十嵐修矢氏
 2020年の東京五輪の後も、継続的にインバウンドは伸びると予測されており、ホテルの新設はとどまる気配がない。その中でも着実に伸びているのがカプセルホテルで、特に近年は新規参入の事業者が増えてきている。こうしたカプセルホテル業界の現状と今後について、カプセルホテルのコンサルタントを担当する(有)NSPドクター(東京都台東区東上野3-15-13、Tel.03-5807-0820)専務取締役の五十嵐修矢氏に話を聞いた。

―― 貴社のカプセルホテル関連事業の概要を。
 五十嵐 我々は、主にこれまで宿泊業をやってこなかった事業者の方々に対し、カプセルホテルを新しく展開する際のコンサルタントや販促業務を行っている。これまでには埼玉県所沢市の「ザ・ベッドアンドスパ所沢」や、仙台市の「カプセルホテルとぽす」など、全国で7施設を手がけてきた。また今後手がけた4施設が開業する予定だ。

―― 近年のカプセルホテル施設数の動きは。
 五十嵐 ファーストキャビンやナインアワーズなど、有名カプセルホテルチェーンは拡大傾向にある。また、従来通常のホテルを運営していた事業者や、そもそも宿泊業をやっていなかった事業者などがカプセルホテルに新規参入する例も増えている。
 こうしたことから近年、施設数は増え続けており、2010年には全国で200施設程度だったものが、19年には350施設を超える規模になると見込んでいる。今後も、ビジネスホテルなどは頭打ちになる一方で、カプセルホテルについては伸び続け、25年ごろまでは増え続けるのではないか。最終的には全国で800施設程度まで伸びると予想している。

―― インバウンドの影響は。
 五十嵐 影響はあると思うが、インバウンドの増加が直接カプセルホテルの需要を牽引するというよりは、インバウンドの増加によりビジネスホテルなどから国内宿泊客が押し出され、その分がカプセルホテルに流れていくのではないか。

―― カプセルホテルの強みは。
 五十嵐 まず利用者にとっては、価格帯が安いのは何よりも利点だ。事業者にとっても、開業コストの安さや、施工期間の短さ、立地・建物に対しての柔軟性などは大きい。そして、付属施設やサービス、カプセルなどで施設独自の付加価値が付けやすいということは見逃せない。カプセルホテルはシンプルな分、付属施設による施設の魅力がアピールしやすい。広さや内装などでカプセルに付加価値をつけるのも、通常のホテルの客室でやるよりはずっと安く済む。

―― 今後のカプセルホテルに求められるものは。
 五十嵐 現在のカプセルホテルでは、施設ごとの差別化が非常に重要になってきている。この差別化において、有望な要素の一つが温浴だ。温浴はもともと宿泊業自体との親和性が高く、それはカプセルホテルでも例外ではない。我々が手がけた施設でも、先述の「とぽす」や京都の「スマートステイSHIZUKU京都駅前」では、温浴施設が非常に好評だ。
 また近年注目されているコワーキングスペースも、カプセルホテルと親和性の高い要素だ。昼は施設内のコワーキングスペースで仕事をして、夜はそのまま施設内のカプセルで眠るというスタイルは、コワーキングスペースをよく利用するフリーランスの方々に訴求できると考えている。京都や渋谷で展開している「ザ・ミレニアルズ」は、こうしたコンセプトのもとに作られた施設で、人気を集めているようだ。

―― 立地については。
 五十嵐 立地は、ただ人の流れが多いというだけではなく、宿泊需要があるかという点が最も重要だ。この点から考えると、例えば駅前やMICE施設の近くなど、滞在する需要がある場所が望ましい。また観光地においても、例えば修学旅行客などの団体宿泊需要にカプセルホテルで応えることができるのではないか。
 商業施設内への出店例も近年出てきているが、こうした例は今後増えていくと思う。特に駅前の商業ビルへの出店は立地的にもマッチしており、また商業施設側も集客に活用できることから、有望な選択肢だと考えている。

(聞き手・山田高裕記者)
※商業施設新聞2308号(2019年8月20日)(7面)
 インバウンド4000万人時代 ホテル最前線 キーパーソンに聞く No.52

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