オートモール併設型のショッピングセンターを展開する(株)トヨタオートモールクリエイト(名古屋市中村区平池町4-60-12、Tel.052-541-5360)は、運営するSC「カラフルタウン岐阜」において、増床や改装を計画している。2020年の開業20周年に向けて、さらなる成長を模索する同SCの現状や今後の展望について、同社取締役の市野和之氏に話を聞いた。
―― 開業から現在に至るまでの過程を。
市野 カラフルタウン岐阜は00年11月に開業した。規模は敷地13万4000m²、延べ12万m²で、店舗数は約130店を数える。年間来場者数は、03年にピークとなる850万人を超えたが、周辺の競争激化やリーマン・ショックの影響により、一時は2割減の700万人まで落ち込んだ。
そのため、11年度にリニューアルを実施した。岐阜県初出店となる「スーパースポーツゼビオ」を誘致したほか、イベント広場を「フードテラス」に刷新。子供向けや女性向けのトイレを充実させ、総合インフォメーションカウンターの前には「みんなのトイレ」も設置した。
また、開業時は「イトーヨーカドー」に1棟全部を賃貸していたが、15年度に2階のみ返却していただき、1階にイトーヨーカドーを集約した。2階の増床部分(約1万3000m²)では、「アカチャンホンポ」をリニューアルし、「ジョーシン」は新店としてオープンした。さらに、16年度には「ニトリ」や「フィットハウス」といった大型店の誘致にも成功。2階にあったレディースゾーンも再構築を行い、1階および2階のメーン動線沿いに移転した。こうした2階の増床や回遊性の向上により、年間来場者数は再び増加に転じ、17年度は809万人に、18年度は開業時を上回る815万人を記録している。
―― カラフルタウン岐阜の特徴について。
市野 0歳~小学6年生を対象とする「キッズクラブ」が強みだ。12年からスタートした企画で、平日に来場するか、もしくは土日のイベントに参加すると、キッズクラブカードにスタンプを1個押してもらえる。スタンプを集めることで、カプセルトイなどのサービスを無料で受けることができる。また、会員であれば誰でも誕生日会イベントに無料で参加できる。
会員数は19年度に2万人を超える見込みであり、スタンプカードを集めると、15枚目からカードの色が黄色から赤色に変わるため、それをステータスと捉えるお子様も多い。当SCの近隣には、マンモス校と呼ばれる小学校が3校もあり、今後5年は児童数が増加傾向にある。これらの小学校に在籍するお子様に多く来場していただいているのが、強みとなっている。
―― 客層は。
市野 30~40代のファミリー層を中心に来場していただいており、平日は母と子供、土日はそれに父や祖父母を加えた3世代ファミリーの来場が目立つ。その一方で、アパレル店は多く揃えていないため、10~20代の女性の集客が弱く、これは課題と言える。来場者の在住エリアは岐阜市が35%と多く、次いで羽島市の20%となり、愛知県の一宮市が15%と3番目に位置する。
―― GMSの苦戦が目立つ中、イトーヨーカドーの存在について。
市野 2階を返却いただく前は施設内競合も起きたが、最近はMDの議論を深めており、核店舗としての機能を強めている。食品は鮮度が高く、良い商品を取り揃えているし、衣料品も体操着のような学童用品など、専門店ではできない品揃えを実現している。今後も全国展開しているGMSの強みを発揮していただきたい。
―― 19年は増床も計画している。
市野 敷地内で営業していた中古車センターが18年8月に閉店したため、その跡地を利用して、カラフルタウン岐阜の新しい“顔”を作る。「エンジョイ・ラーニングモール」をコンセプトに掲げたオープンモールで、約1万6000m²の敷地に、広場を囲うように複数の店舗を整備する。
テナント構成は「モンベル」のほか、ペットショップ、キャンピングカーの展示場、スポーツサイクル、カフェ、フィットネスや英会話教室などを予定しており、同モールで年間20万人の来場増を見込む。これは20年の開業20周年に向けた取り組みの第1弾となる。
―― 第2弾以降の計画は。
市野 20年に本館を対象とするリニューアルを計画している。まだコンセプトやターゲットは決まっていないが、(1)デイリーユースの強化と、(2)中学生・高校生を中心としたティーンズの取り込み、の2つを選択肢として考えている。とりわけ、(1)では当SC内に「フードコート」と「フードテラス」が存在するため、これらを集約し、新たな食物販店の導入・充実も検討している。
―― 業績および年間来場者数の見通しを。
市野 18年度は全館売上高が約150億円(オートモールを除く)、年間来場者数は815万人を記録したが、19年度は全館売上高が160億円、年間来場者数は830万人を見込んでいる。20周年以降は全館売上高180億円を目指しており、オートモールと合わせて、250億円のSCに成長できるように、施設づくりに励んでいきたい。
(聞き手・岡田光記者)
※商業施設新聞2295号(2019年5月21日)(1面)
デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.298