パンケーキブームの火付け役「Eggs'n Things」が新業態のカフェ「Eggs'n Things Coffee」を立ち上げ、来期以降に積極出店する意向だ。2010年の日本上陸以来、コンセプトであった「朝食文化」を根付かせ、ファンを開拓してきた。着実に店舗を広げているが、新フォーマットを得たことで、次のステージに突入する。EGGS'N THINGS JAPAN(株)(東京都港区六本木7-2-29、Tel.03-6447-0380)の村上卓也代表取締役社長にお話を伺った。
―― カフェの概要を。
村上 2018年12月に高崎駅西口直結のファッションビル「高崎OPA」に1号店をオープンした。従来のフルサービスとは異なり、前会計のセルフカフェ形式となる。1974年にハワイで誕生し、世界展開しているが、カフェは世界初の店舗だ。パンケーキやエッグスベネディクトといった定番メニューに加え、屋号に「コーヒー」と掲げるように、1杯ずつ抽出したハワイのコナコーヒーなど、ドリンクにも注力する。なお、メニューのカテゴリーは落とさず、カテゴリー内のメニュー数を絞り、売れ筋を集めた。一部商品をのぞき、テイクアウトが可能だ。
―― カフェ開発の経緯を。
村上 レストランタイプの中でも小型店の効率が良かったが、小型化すれば出店を増やせるわけではない。よりカジュアルに自由に、多くの方々に楽しんでもらえる形を模索した結果、カフェという形態となった。また、以前から「どうにかしてパンケーキを持って帰りたい」というテイクアウトの要望も強かった。
―― カフェのフォーマットについて。
村上 カフェ業態も従来同様、お客様にくつろいでいただくことが第一。強みであるフードがなくては差別化できないと思っているので、テイクアウト専門店やドリンク特化型はあまり考えていない。なお、当社はテラスのイメージが強く、テラス席があればベターだが、必須ではない。カフェは幅広い場所に出店できるようなフォーマットになったと思う。
同店を含め数店の動向を見て、データ分析を行い、物件に応じてフォーマットを少しずつ調整しながら、「勝ちパターン」を探していきたい。
―― ターゲットは。
村上 当社は20~30代の女性向けと思われているが、ファミリー層や50~60代も多く、老若男女幅広い客層に利用いただいている。カフェで、客層の幅がさらに広がると見ているが、特定の顧客層に特化しているわけではない。
―― 18年までに20店を掲げていました。
村上 数字ありきではないが、無事達成することができた。21店目を新業態で出店でき、“目標の次”を新しい形で始めることができた。これから、第二ステージに突入し、さらにブランドを広げ、進化させていきたい。
―― 業態ごとの役割は。
村上 自宅や職場から近い身近な場所にはカフェ、一等地にはレストランを出していく。まずカフェで気軽にブランドを体験し、認知していただければ。そして、より深く世界観が味わえるレストランへと相互送客し、両業態を楽しんでもらいたい。そういったブランディングを進めていく。
―― 既存店の状況は。
村上 パンケーキブームもあり、以前は新店を出せば行列ができた。オープン景気の反動で、既存店は苦戦していた。18年春に社長に就任したが、ミッションのひとつに既存店のてこ入れがあった。既存店は立て直し、底を打った。
―― 今後の展開について。
村上 カフェ形式で積極的に出店を進めるつもりだ。すでに3月に1店決まっており、さらに関西で2店ほど具体的な話が進んでいる。このところ1年に1~2店のペースだったが、18年度下期だけで3店をオープンとなり、来期はそれを上回るペースとなるだろう。物流の問題もあるので、関東・関西を中心としながら、好立地があればエリア外でも無理のない範囲で検討していきたい。
なお、今までカジュアルレストランタイプは「一等地戦略」でやってきた。しかし、一等地は賃料が上がり、条件が徐々に厳しくなってきている。もちろん、チャンスがあればレストランタイプも出店するつもりだが、カフェのスピードが速いだろう。
―― 具体的な立地は。
村上 関東・関西を固める。そのほか、広島などの政令指定都市や北海道、沖縄といった観光地など集客性のある立地を想定している。ファミリーの利用が多く、親和性が高いのは商業施設内だが、「ここがベスト」ということはない。時代やニーズに合わせ、1軒1軒を作り上げていきたい。
(聞き手・大塚麻衣子記者)
※商業施設新聞2279号(2019年1月22日)(8面)
経営者の目線 外食インタビュー