商業施設新聞
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第165回

三菱地所リテールマネジメント(株) 取締役社長 古草靖久氏


「福岡ももち」など新規2施設受託
SCで豊かな時間提供に注力

2019/1/29

三菱地所リテールマネジメント(株) 取締役社長 古草靖久氏
 三菱地所リテールマネジメント(株)は、三菱地所グループの物件を中心に多彩な商業施設を運営する。今年は新たに新規2施設の運営を受託したほか、改装も積極的に行った。同社取締役社長の古草靖久氏に、今年の振り返りと来年に向けた取り組みを聞いた。

―― 運営する施設数は。
 古草 17の商業施設の管理・運営を行っている。このうち三菱地所関連物件が13物件で、それ以外が4物件。三菱地所関連物件の総貸付面積は36万m²、テナント数は延べ1200店に及ぶ。今年は福岡市に「MARK IS 福岡ももち」や、兵庫県西宮市に「Corowa甲子園」を開業した。また、今年開業5周年を迎えたMARK IS「静岡」「みなとみらい」、10周年の「南砂町ショッピングセンターSUNAMO」と「泉パークタウンタピオ」で改装を実施した。

―― 「ももち」の状況は。
 古草 11月21日に開業したが、売り上げ、来館者数ともに期待を上回って推移し、良いスタートダッシュを切れた。当社が天神で運営する商業施設「イムズ」と、既存のMARK ISの2つの運営ノウハウを結集した。

―― 天神ビッグバンなど、福岡は大型開発が予定されています。
 古草 福岡の競争の激しさは、一部で「第6次流通戦争」と言われていたほどで、今後も競争が予想される。一方で人口は増加し、インバウンドも増加している。
 「ももち」は都心に近く、海にも近いというリゾート感も併せ持つ。隣接にヤフオクドームやヒルトン福岡シーホークがあり、エリアにアメニティ機能を備える強みを持つ。その中に日常・非日常使いできる163店を揃え、「ユナイテッドシネマ」や「ZEPP」など、モノだけでなく滞在してコトを楽しんでいただく。

―― 商圏は。
 古草 近隣居住者から福岡西側エリアを中心とした中・広域を想定している。ドームでのイベントでは、九州中から来館が見込める。そのポテンシャルをどう活かすか。消費が多様化している中、楽しく幸せな時間を過ごしていただけるかに留意する。

―― 「Corowa甲子園」は。
 古草 GMSを一新し、55店で4月にオープンした。地下にスーパーを導入し、地域密着型SCとしてMDを構成して従前よりバラエティ感を出した。開業後天災の影響を受けたが、まずは地域の方に覚えていただくとともに、地域のニーズを掘り起こして愛される運営を目指す。

―― MARK ISの改装について、「静岡」から。
 古草 シリーズ第1号なので、この5年はブランドの定着を意識した。三菱地所と協働してMDの再編集を行った。我々は日々の運営の中で、お客様の顔が見えており、現場から見た最適なMDを考えた。今回、ファミリー層の来館、デイリー利用の強化ならびにサービス機能を強化するため25店を入れ替えた。

―― 「みなとみらい」は。
 古草 近隣にあるグループの「ランドマークプラザ」のMDとはうまくすみ分けつつ、エリアの新しい魅力発信に努めてきた。高感度アパレルなどを強化し、豊かな日常を過ごせる施設を目指した。

―― 19年に向けての取り組みは。
 古草 三菱地所グループはラグビーワールドカップ2019日本大会のオフィシャルスポンサーであることから、試合会場に近い当社運営の施設では関連プロモーションを検討している。「アクアシティお台場」では、今年はサッカーW杯の期間中パブリックビューイングを実施した。東京五輪競技会場エリアに位置していることから、スポーツをキーワードに来年もスポーツイベントを行っていく。

―― 来期の改装は。
 古草 来年4月、札幌の「マルヤマクラス」が開業10周年を機に10店程度のリニューアルを検討している。来年はよりEコマースの勢いが増すだろう。従って原点に立ち返り、リアル店舗の良さや買い物の楽しさ、消費によって作り出される豊かな時間が過ごせるように既存施設の魅力を高めたい。

―― 具体的には。
 古草 食事なら楽しい時間を過ごしていただくためにはどんなレストランが必要か。また、接客ロープレ大会を通じてテナントの接客力や提案力を高め、買い物の楽しさを引き出していくこともカギとなる。そのためにはテナントのES向上も含めて、人材育成をサポートする。

―― 人手不足の対応は。
 古草 掃除やモノを運ぶ運搬ロボットを「ももち」で新たに導入した。

―― 他の施設には。
 古草 まずは導入状況を検証したうえで今後検討していく。

―― 最近、SCの20年後の姿が議論されています。どうお考えですか。
 古草 先ほど申し上げた豊かな時間を提供することは、20年経ってもぶれないと思う。Eコマースでは満たされない部分はある。お客様が何を求めているかを踏まえて、PM会社として館を時代に合わせて運営していくことが重要だ。

(聞き手・編集長 松本顕介/副編集長 高橋直也)
※商業施設新聞2276号(2018年12月25日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.285

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