商業施設新聞
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第163回

(株)リビタ 取締役 ホテル事業部長 中瀬真実氏


遊休ビルを地域溢れるホテルに
“真の地元体験”など独自価値

2019/1/15

(株)リビタ 取締役 ホテル事業部長 中瀬真実氏
 (株)リビタは、既存の仏具店跡、美術館跡などをフルリノベーションし、「THE SHARE HOTELS(ザ シェア ホテルズ)」ブランドとしてホテルを運営している。ホテル内で地元の工芸作家などが集うワークショップやイベントを積極的に行うことで、旅行者は“真のローカリティ”を体験でき、多くのコミュニティも生まれている。取締役ホテル事業部長の中瀬真実氏に事業について聞いた。

―― ホテル事業に参入した経緯は。
 中瀬 当社はもともと住宅のリノベーションと運営を主力事業としており、その中でシェアハウスも手がけてきた。シェアハウスを運営する中で、空間をシェアするだけでなく、コミュニティをマネジメントするノウハウが培われた実感があった。一方で、地方を中心に遊休地が増えている中、日本では訪日客の増加でホテル需要が高まっている。我々のノウハウをホテルに活用すれば面白い施設ができると考え、ホテル事業がスタートした。1号店は2016年に金沢に出店し、いまでは函館、金沢、東京、京都に計5施設を展開している。

―― それぞれ従前はどんな用途だったのですか。
「HATCHi 金沢」では北陸の文化を発信する
「HATCHi 金沢」では北陸の文化を発信する
 中瀬 1号店の「HATCHi 金沢」は仏具店などが入ったオフィスビル、2棟構成の「HakoBA 函館」は銀行跡と美術館を活用したホテルだ。これらのビルを大幅に改装し、ダイニング、シェアキッチン、ライブラリー、ドミトリーやグループ用の個室などを設けている。

―― 1号店が金沢というのは珍しいですね。
 中瀬 観光地として盛り上がっていることに加え、当社に金沢の工芸作家など地域のプレイヤーとつながりが深い人間がいたためだ。実はこういった地域のつながりが我々の事業の根底にある。インバウンドが地方にも波及しているが、彼らは観光地を見るだけでなく、地域を感じ、体験したいというニーズがある。一方で、各地には地域を盛り上げたいプレイヤーがおり、共用部を活用して様々な取り組みを行うことで、旅行者は真のローカリティを感じられ、街も活性化する。

―― 2号店以降も地域色が強いエリアですね。
 中瀬 東京では銀座などにホテルが集中するが、我々は清澄白河に「LYURO 東京清澄」を出店した。清澄白河には有名コーヒー店が出店するなど、ここ数年ライフスタイル色が強まっている。我々の施設は隅田川沿いにあるため、テラスを設けることで気持ちのいい場所になった。施設内のダイニングにクラフトビールの醸造場を併設するなど都内でも少し違った体験ができる。

―― ダイニングやテラスなど、各施設は共有スペースが広いですね。
 中瀬 意識的に広く確保している。シェアキッチンでは宿泊者同士のつながりが自然と生まれるし、函館で寿司のワークショップを行った際は、地元の人にも参加していただき、様々なつながりを形成できた。ダイニングは地元の事業者を中心に誘致し、地元客、観光客など多様な層に利用していただいている。

―― 各施設ともコンセプトが異なり、まったく違う施設に仕上がっています。
 中瀬 ホテルごとにテーマを設けており、例えばHATCHi 金沢は「北陸ツーリズムの発地」として、金沢だけでなく北陸3県の文化を発信している。同施設では年80本ほどイベントやワークショップなどを行うが、福井県鯖江市の眼鏡や食に関するイベントなどを実施している。

―― カフェやダイニングをはじめ、内装のデザイン性が高いです。
 中瀬 内装も各地の特徴を表現している。清澄白河は川沿いという場所柄、客室の床や共用部の壁面はブルーを基調にしたエリアがある。また、各ホテルで地域の工芸品を用いるなどしている。
 もともとあった景観や街の記憶も大事にしたいと思っており、函館では旧ホテルの看板を館内に移設し、照明器具として再利用している。こういったデザインやブランドコンセプトを評価していただき、稼働率は各施設とも順調だ。

―― コンバージョンならではの面白みはありますか。
 中瀬 街づくりへの貢献がある。HATCHi 金沢は観光地である「ひがし茶屋街」に向かう道中の視認性が高い場所、函館は観光地の「金森赤レンガ倉庫」の近接地にある。時代とともに遊休地が生まれてしまうが、観光地などに活気がないと景観が寂しくなる。それを我々が再生し、コミュニティを創出することで街に賑わいを創出できるのは、この事業の醍醐味だ。

―― 今後の展開について。
 中瀬 600~1300坪程度の建物が運営に適していると考えており、今後も建物の取得・賃貸にこだわらず出店を進めたい。西日本での店舗が少なく、九州などは未出店ということもあって興味がある。20年までに10店体制を目指して開発を進めていきたい。

(聞き手・副編集長 高橋直也)
※商業施設新聞2274号(2018年12月11日)(7面)
 インバウンド4000万人時代 ホテル最前線 キーパーソンに聞く No.28

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