商業施設新聞
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第162回

小田急電鉄(株) 生活創造事業本部SC事業部長 中島良和氏


地域ニーズに合わせたSC追求
20年先見据え何をすべきか検討

2019/1/8

小田急電鉄(株) 生活創造事業本部SC事業部長 中島良和氏
 新宿から小田原間に多彩なSCを展開する小田急電鉄(株)生活創造事業本部SC事業部。神奈川県央などはSC激戦区間も少なくないが、選ばれる沿線を目指し、地域需要に合ったSCの追求やエリアマネジメントにも力を入れていく。事業部長の中島良和氏に聞いた。

―― 貴社で運営している商業施設は。
 中島 「ミロード」「フラッグス」「コルティ」「ビナウォーク」「アコルデ」、大半の駅にある小型の「マルシェ」などがある。「小田急ハルク」や「小田急百貨店」では百貨店に館を賃貸している。

―― 総賃貸借面積は。
 中島 54万8000m²で、テナント数はマルシェを除き、約950店に上る。

―― SCの特徴は。
「ODAKYU 湘南 GATE」の外観イメージ
「ODAKYU 湘南 GATE」の外観イメージ
 中島 小田急線は新宿~小田原間を走り、その距離は120kmに及ぶ。さらに藤沢や片瀬江の島、東京・多摩センター駅を結ぶ。SCは都心から郊外、地域ごとに需要も変わるので、地域ニーズにどれだけ応えていくかが一番のポイント。地域ごとに特徴づけをして、お客様に何度でも来ていただけることを目指している。

―― 最近、新宿のSCで食を強化しました。
 中島 7月に「新宿ミロード」7~9階のレストランフロアを10年ぶりに改装した。若い女性に受け入れられるよう共用部をスタイリッシュモダンとしたり、日本初出店の台湾スイーツなどニーズに合ったテナントを誘致した。
 また小田急ハルクの飲食フロア「ハルチカ」で、開業以来初めてフロアを一新した。見通しを良くし、狭いながらも居心地のいい空間づくりやビストロを導入した。昼需要の拡大や女性など新しい客層を獲得できた。

―― 郊外では。
 中島 「相模大野ステーションスクエア」A館4階とB館5階の計1200坪を改装した。視認性の悪かった動線をわかりやすくし、休憩スペースやカフェを導入した。A館4階に展開していたブランドはECに流れやすく、相模大野あたりでは、ファッションは都心で買いたい需要が強い。従ってファッションを縮小し、大型雑貨店を誘致したことで、客層が広がり、来店客数も伸びた。

―― 新百合ヶ丘駅でも改装に積極的です。
 中島 エルミロードで数年にわたり行ってきた改装が、1階のグランドフロアを実施し完了した。アパレルから食物販に変更したところ入館客数が増えた。
 さらに「小田急アコルデ新百合ヶ丘北館」3階を11月27日にリニューアルオープンした。従前はレンタルCDや書店だったが、カフェや雑貨、飲食店など飲食や美容、健康などを中心とした10店からなる店舗構成と、共用部を刷新した。

―― 今後のリニューアル計画は。
 中島 本厚木ミロードの地下の食品フロアの改装を予定しているほか、大規模なところでは小田急百貨店藤沢店を「小田急湘南ゲート」とし、2019年3月にオープンする。「湘南」を前面に出して、“湘南の香り”がするテナントの導入や店づくりを行う。なお、地下の食料品売り場と1階に化粧品、婦人服・服飾、靴・バッグといわゆる百貨店の得意な分野は残す。

―― 周辺は大型SCが増えています。
 中島 かつて藤沢駅前には多くの百貨店があったが、大半が閉店するなど、地盤沈下している。だがJRの乗降客が増え、昼間人口も増加し、合計すると40万人あり、期待はできる。

―― 積極的にリニューアルする背景は。
 中島 新宿のSCにしても相模大野にしても、従来ならここまで大がかりに行わなかったかもしれない。昨今の厳しい状況の中で新しい価値をお客様に提供し、選んでいただくSCになる。

―― 今後の強化は。
 中島 広範囲から人を集める駅と、近所に住んでいる方にご満足いただける駅と2つのパターンに分けてそれぞれ個性を出していく。ただ、郊外に多い準拠店駅は厳しさもある。お客様のニーズの拾い上げを、特別にプロジェクトを立ち上げて研究している。
 生活創造事業本部まちづくり推進部がエリアマネジメントを進めている。商業施設は街づくりのカギとなることから連携している。新百合ヶ丘駅では、月1回「しんゆりマルシェ」を開催しているし、小田急電鉄が厚木市に全面協力し、本厚木駅でハロウィーンを開催した。街と一体になることが、今後重要なテーマだ。こうすることでお客様と接点が増えてくる。モノを売るだけの商売から脱却していかないと非常に厳しい。

―― SC売り上げは。
 中島 17年度は対前年で2.7%増を達成した。18年度は1.1%増を見込む。17年度に開業したビナウォークに新たに「ビナガーデンズテラス」が貢献している。ビナウォークだけで同9.1%増と伸長している。

―― 今後の抱負を。
 中島 住んでいただける魅力的な沿線にすべく、SC事業部では楽しい空間を創出するのみならず、ウオンツを引き出し街の魅力の最大化を図る。それを目指してリニューアルを行ってきているし、駅を中心に人が集うことをやっていきたい。
 もうひとつは、これから10年先、20年先のSCがどうあるべきか。あるべき姿に向けて、この2、3年で何をすべきかを今年度の後半から来年度にかけて集中的に考えていきたい。潮目は完全に変わっているからだ。

(聞き手・編集長 松本顕介)
※商業施設新聞2273号(2018年12月4日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.282

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