商業施設新聞
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第144回

南国殖産(株) 取締役社長 永山在紀氏


鹿児島中央駅周辺を市内の軸に
中央町再開発ビルは21年1月完成へ

2018/8/28

南国殖産(株) 取締役社長 永山在紀氏
 南国殖産(株)(鹿児島市中央町18-1、Tel.099-255-2111)は、2011年に全線開業した鹿児島中央駅周辺で、オフィスビルやホテルなどが入った複合ビルを開発する総合商社だ。最近では、「中央町19・20番街区第一種市街地再開発事業」や鹿児島市の交通局跡地でのホテルや病院などを複合開発施設「キ・ラ・メ・キ テラス」など今後の市内において中心的な役割を担う開発に携わっている。これまでの鹿児島中央駅周辺の変化を踏まえ、今後の展開について同社取締役社長の永山在紀氏に話を聞いた。

―― これまでの鹿児島中央駅周辺での開発概要について。
 永山 当社はまず、09年3月にオフィスビル「南国センタービル」を竣工した。そして九州新幹線の全線開業(博多駅~鹿児島中央駅)から1年後の12年に高速バスのターミナル、ホテル、飲食店などを複合した「鹿児島中央ターミナルビル」を完成させた。この隣接する2つのビルは外観に統一性を持たせていることで、鹿児島の玄関口を象徴するツインタワーとして認知してもらえるよう工夫を凝らしている。さらに、16年にはオフィスビル「南国アネックスビル」も竣工させた。当社は鹿児島の個性と活力があふれ、人が集まる街づくりを意識し、鹿児島中央駅周辺での開発に取り組んできた。

―― 鹿児島中央駅周辺はどう変化してきたか。
 永山 当社が開発した3つのビルが竣工した後、駅周辺では賃貸マンションなどが建ち始め、街並みは変わりつつある。また、JR九州の「アミュプラザ鹿児島」は集客力を高めてきているので、駅周辺が明らかに変化してきているという印象だ。
 さらに、駅周辺は鹿児島市の商業・飲食が中心だった天文館地区と路線地価においても、差がなくなってきた。将来的には、鹿児島中央駅周辺が鹿児島市内の中心となるだろう。
 そのため、当社としても、駅周辺でオフィスやビジネスホテルの開発も検討している。

―― 中央町一番街の再開発は。
中央町19・20番街区第一種市街地再開発ビルのイメージ
中央町19・20番街区第一種市街地
再開発ビルのイメージ
 永山 当社は「中央町19・20番街区第一種市街地再開発事業」において、特定業務代行業者の代表構成員として参加している。建物は24階建ての複合ビルで、1~7階に商業施設、5~6階に座席数約500席の多目的ホールやクリニックモールを配置。また、8~24階には210戸の分譲マンションを建設する。すでに着工しており、21年1月には完成する予定だ。
 商業施設については、18年秋からコンセプト作りやリーシングを進めていくつもりだ。小売業は今、ネット通販に押されており、Eコマース、リアル店舗双方が好調なテナントを選んでいきたい。それとともに、再開発ビルにはJR鹿児島中央駅と接続するペデストリアンデッキも建設するので、相乗効果が期待できるテナントを誘致したい。

―― 中央駅前の再開発と同時に市の交通局跡地でも開発を進めている。
 永山 コンパクトシティをコンセプトに病院、商業、オフィス、マンション、外資系ホテル、エネルギーセンターなどを複合開発する「キ・ラ・メ・キ テラス」と呼ばれる施設を計画中だ。商業には地元経済連グループのスーパーマーケットをはじめとした物販、飲食を、上層部には会議室を併設したコールセンターや大学のサテライトも入居可能なオフィス・サービス系施設も備える。外資系ホテルには227室で、マリオット・インターナショナルが展開するホテルブランド「シェラトン」が出店する。今まで鹿児島県内には、外資系のホテルがなかった。温泉を併設し、これを機に、富裕層のインバウンド需要を取り込みたいと思う。
 一方で、病院で急性期の今給黎病院と慢性期の高田病院が移転新築してくる。21年度中にはすべての施設が完成する予定だ。

―― 今後の抱負を。
 永山 当社は、「地域総合商社」として、事業の軸であるエネルギー事業とともに社会インフラとしての都市開発を同時並行して進めていく。特に都市開発において、雇用に重点を置いて取り組み、前述した「シェラトン」のホテルの経営の責任を担う新会社では、200人分の雇用を創出しようと思っている。その点で、中央町で開発したオフィスビルや交通局跡地での開発も地方創生のモデルケースになるのではないかと思う。

(聞き手・北田啓貴記者)
※商業施設新聞2255号(2018年7月31日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.269

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