商業施設新聞
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第139回

(株)タカヨシ 専務取締役 剱持健氏


産直で新鮮な野菜を提供
SCへの出店で拡大進む

2018/7/24

(株)タカヨシ 専務取締役 剱持健氏
 (株)タカヨシ(千葉市美浜区中瀬1-3、Tel.043-276-7007)が展開する産地直売所「わくわく広場」は、近年の食に対する意識の高まりを背景に、SCへの出店などで成長を続けている。最近はFCの募集も開始し、拡大をさらに進めていく。同社専務取締役の剱持健氏に、わくわく広場事業の強みや今後の展開について話を聞いた。

―― わくわく広場の概要から。
津田沼PARCOのわくわく広場
津田沼PARCOのわくわく広場
 剱持 わくわく広場は、登録した生産者の方が農産物を直接販売できる、農産品直売所だ。最大の特徴は直接納品のため商品が新鮮なこと、そして生産者の顔が直接見えることである。ここでは一般的な食品スーパーとは違った、生産者ごとに違うこだわりの野菜を買えるということで、食に対して意識の高いお客様に支持していただいている。
 生産者の方にとっても大きな利点がある。契約制ではなく登録制なので、納品時間や量、頻度の制限がなく、搬入や陳列、値段付けは生産者が直接行えるので、こだわりをアピールできる。また店舗への納品の際に、お客様と直接コミュニケーションをとり、固定客を獲得することも可能だ。加えて、近隣の店舗以外にも、全国の店舗に宅配便で商品を発送し、販路を拡大している生産者もいる。
 こうした農産物直売に加え、調味料などのグロサリーの販売も行っている。これは他の店舗と同様に我々が仕入れを行い販売するものだが、ここではいわゆるNBは基本的に取り扱わず、全国各地の特産品を集め、美味しいものを我々が厳選し販売している。

―― 事業の沿革、現在の出店エリアや出店先、店舗数は。
 剱持 当社が運営していたホームセンター内で、野菜を販売するところから始まった。単独の野菜直売事業「わくわく広場」として始まったのは2000年からで、当初は路面店が中心だったが、10年からSC内への出店を開始した。
 SC内への出店で事業展開は加速しており、18年1月時点で全111店のうち、80店程度がSC内出店となっている。商業施設の側からもテナントとしての評判は上々で、食に対する意識が高い客層を呼び込めるという期待を持たれている。
 出店エリアについては、基本的にはドミナント展開をしている。これは主に生産者の方の都合によるもので、やはり周りに十分な生産者の方がいて十分な商品の供給ができるエリアでの展開が中心となる。地域的には千葉県をはじめとした関東が一番多く、中部、近畿、四国や九州北部にも出店している。東北については、冬場の交通の問題などがあるので、出店には工夫が必要だと考えている。

―― SMなど、食品を扱うテナントとの競合については。
 剱持 我々は新鮮さにこだわっているので、新鮮な商品が揃えられなければ棚に商品が並ばないこともある。そういった時には、お客様は食品スーパーで買い物をするだろうし、そもそも我々が取り扱わない商品もスーパーには沢山ある。このように、新鮮さでは我々、品揃えでは食品スーパーといったように、すみ分けができると考えている。

―― FCの展開を始めた理由は。
 剱持 わくわく広場のビジネスモデルが固まってきたことで、事業展開を拡大したいというのが主な理由だ。18年初頭からFC事業者の募集を始めているが、すでに大手の小売業者などから打診をいただいており、想定よりも幅広い業態からの応募がある。FCの第1号店は18年の夏~秋にかけて出店する見込みだ。

―― 今後の出店について。
 剱持 直営店については、基本的に既存店の近くでドミナント展開を進めていきたい。FCについては、特に地域を限定してはいない。産直だけではなく市場などからの仕入れも活用したモデルをベースに、店舗の展開エリアを広げていきたい。
 出店の数や時期などについては現在中期計画を策定中で、今後具体的に決めていくが、将来的には500店、1000店と展開していきたい。

―― 最後に抱負を。
 剱持 我々の事業モデルは、我々だけが儲かればよいというわけではない。生産者の方には新しい収入の機会を、消費者の方には新鮮で美味しいものを、また施設のデベロッパーの方には新しい客層を呼び込む機会を提供していく。このように、すべての方が利益を得て、安心と笑顔が広がる世界をつくるというビジョンを実現できるような事業をこれからも展開していきたい。

(聞き手・山田高裕記者)
※商業施設新聞2250号(2018年6月26日)(5面)
 商業施設の元気テナント No.223

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