商業施設新聞
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第131回

(株)ナインアワーズ 代表取締役 油井啓祐氏


「高級感」より「高品質」を追求
20年には約50店へ拡大

2018/5/29

(株)ナインアワーズ 代表取締役 油井啓祐氏
 現在「高級カプセルホテル」と呼ばれる、高級感ある施設が人気のカプセルホテル業界で、独自の道を進んでいるのが(株)ナインアワーズ(東京都港区西新橋3-23-5、Tel.03-6721-5963)だ。シャワーと睡眠、身支度の機能に絞ったサービスと、高品質かつ近未来的なデザインが好評を博しており、近年新店展開を加速している。同社の戦略や今後の展開について、代表取締役の油井啓祐氏に話を聞いた。

―― 貴社の沿革などについて。
 油井 元々私はベンチャーキャピタルの会社に勤めていたが、1999年に父が経営していた秋葉原のカプセルホテルを継ぎ、経営者になった。それから10年間の経営を通じてカプセルホテル運営に関するノウハウなどを学び、継いだカプセルホテルを廃業したあと、2009年にナインアワーズを立ち上げた。18年3月末の時点では全国に6施設を展開している。

―― 「ナインアワーズ」ブランドについて。
 油井 業態としてはカプセルホテルの一つと見られているが、我々はシャワー、睡眠、身支度という一連のトランジットサービスを24時間提供する、独自のカテゴリーにある宿泊施設と位置づけている。
 設備もシャワーや睡眠に必要かつ高品質なものだけを揃え、それ以外のものは極力省いている。ただし、3月に開業した竹橋店に設けたランニングステーションのように、店舗ごとに独自の設備を備える例もある。今後はそういった設備も備え、デイユースのお客様にも訴求していく。

―― 昨今のカプセルホテル業界をどう見ていますか。
 油井 カプセルホテル業界への新規参入や、様々な新業態が増えているが、私はカプセルホテルの市場のピークはすでに過ぎ去っており、マーケットは飽和状態だと考えている。私が本格的にカプセルホテルを始めようと思った05年ごろには、全国で500近くの施設があったが、それから7~8年後に改めて調べてみると半数近くに減っていたくらいで、インバウンドなどによる一時的な隆盛はあるかもしれないが、おそらくこれからも減っていくと思っている。

―― そうした中での生き残り策、差別化戦略は。
 油井 カプセルホテルというカテゴリーで見れば衰退していくのかもしれないが、我々のナインアワーズはカプセルホテルを同業とは考えていない。便宜上カプセルホテルとは呼んでいるが、従来のカプセルホテルとはそもそも根幹が違うものなので、特別に差別化といった意識を持つ必要もないと考えている。リピーターのお客様も、こういった施設のコンセプトに共感している方が多いのではないか。

―― 「高級カプセルホテル」と呼ばれる業態についてどう思いますか。
 油井 いわゆる「高級カプセルホテル」は、我々が目指しているものとは違うと考えている。ナインアワーズを作る時に、デザインチームとずっと議論していたのは、本当に「豊か」というのはどういうことかということ。表層的に高級化するということは、我々はしない。簡易的に短時間滞在する施設が高級である必要性はないはず。
 我々は「高級感」を出すのではなく、アメニティや寝具の品質を上げるといった方策で、お客様に上質な睡眠を提供する「高品質」を目指す。

―― 今後の出店エリアや業態について。
 油井 出店エリアは東京や大阪、名古屋といった大都市圏が中心だ。ナインアワーズブランドでは現在、5月に出店予定の赤坂に続いて、蒲田、新大阪、浅草を開業予定。出店の形態については、駅や空港で展開する、機能を絞ったタイプの施設と、竹橋店のようにデイユースにも訴求する、プラスアルファの機能を持ったタイプの2種類で展開していく。
 また既存のカプセルホテルをリノベーションする事業にも取り掛かっており、4月にはサウナを備えた「℃」ブランドの2号店を五反田で展開する。
 出店ペースは今後拡大する予定だ。18年中は案件の計画を進めていく段階と位置づけており、19~20年で一気に新設を進めていく考えだ。20年までには、全部で50店前後を展開したい。
 海外展開も視野に入れており、20年には展開していきたい。形態としては、1つの都市に集中的に、直営で施設を多数作っていくといったものになると思う。

―― 最後に目標などを。
 油井 我々は事業展開について、目標ありきとは考えていない。ナインアワーズのコンセプトが社会に浸透し、受け入れられていくことを目指して事業を展開していきたい。

(聞き手・山田高裕記者)
※商業施設新聞2241号(2018年4月24日)(7面)
 インバウンド4000万人時代 ホテル最前線 キーパーソンに聞く No.22

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