片面プリント配線板の試作、製造メーカーである浜松基板工業(株)(浜松市中区高丘西1-1-52、Tel.053-436-5027)は、基板材料の廃材や端材を有効に活用して、レザークラフト定規の事業化を成功させるなど、ユニークな取り組みを強化している。今回もレザークラフトの様々な定規や楽器などの工芸品といった応用作品の展示を行い、積極的に来場者にアピールする。基板製造業者の新たな可能性を示すものとして注目される。
同社は1969年にプリント配線板の設計・製造企業として設立され、現在も片面板の試作・製造を手がける。大型車・重機などの片面板の試作製造などを行っている。材料は紙フェノール、FR-4、CEM-3などの材料を扱う。
2000年ごろから、前述の基板材料の廃材などを活用して革(レザー)工芸初心者向けの定規として試作したところ、好評を博し、現在では50点以上の種類を作り出している。なお、廃材・端材の加工にはNCマシンを使用する。定規の年間売上高は250万~300万円を誇る。特に点数が増えて以降は、ディストリビューターに営業を委託しており、製造も本業の基板の試作・製造が忙しくなってきたため、複数社の下請け企業とも連携しながら受注対応に追われている。
レザークラフト定規のオーダーが想定以上に増加した場合などは、本来基板製造用のFR-4ベースの材料を直接加工することで旺盛な受注増に対応しているという。
基板材料そのものを使用しているため、電子回路も形成できる。LEDなどの発光デバイスによる装飾機能を搭載した新たな作品も可能で、同社では様々な用途や工芸品への展開を検討。基材を活用できれば、何にでも取り組み、着物用特注ハンガー、漁網の補修具など、業種も選ばない。
(本紙2018年5月3日号5面 掲載)