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第20回

プレス工業川崎工場、操業78年の長男工場、デフアッセンブリーの組立を受託


2018/4/10

プレス工業川崎工場
プレス工業川崎工場
 創業93年目を迎えるプレス工業(株)において、川崎工場(川崎市川崎区塩浜1-1-1)は操業78年と同社の中で一番古い長男工場となっている。古くなっている設備も多いが、大切にメンテナンスをしながら使用しており、プレス機は60年近く稼働しているものを大切に使っている。主に三菱ふそうトラック・バス(MFTBC)向けの大型商業車のフレームの生産を行っており、その他建機の重りになる外側の部品なども生産している。

角堂博茂社長
角堂博茂社長
 同社の工場は、川崎工場のほかに宇都宮工場、藤沢工場、埼玉工場、尾道工場がある。関東圏の4工場は、宇都宮工場で一括加工した大型のサイドレールをユーザーに近い各工場でフレームに組み立てて納品する体制。川崎工場は、以前はいすゞ自動車に納入していたが、08年にいすゞが藤沢工場に生産を移管したため、プレス工業もいすゞ向けの生産を藤沢工場に移管しており、現状川崎工場ではMFTBC向けのアクスルの組み立てを中心に行っている。

 11年の東日本大震災を機に耐震検査を実施。基準に満たなかった事務棟、厚生棟を解体し、更地を緑地化。14年12月にはブロック塀をアルミフェンス化した。

 18年8月にはMFTBCから受注したデファレンシャルアッセンブリーの組み立てを開始する。フレームの穴あけを宇都宮工場に移管し、空いたスペースにラインを導入し対応する。現状、デフは組み立てられたものが納入されている。

 製品は、宇都宮工場から納入されたサイドレールに穴あけ、組み立て、検査を行い、顧客に発送する。

 溶接ラインでは、部品の溶接・組み立てを行っており、同じ仕様のラインが2ラインある。80%程度のものがどちらのラインでも製造できるようになっており、リスク分散にも備えている。溶接機のデータをパソコンに取り込み自動的に保存する取り組みも実施している。

 また、溶接後のアクセルケースの不良をチェックする装置を独自開発して使用している。従来は、アクセルケースをお湯につけて、気泡の有無を目視で確認していたが、アクセルケースにヘリウムガスを充填し、その漏れの有無により不良の有無を確認する装置を開発し、導入している。今後は、この装置を他工場にも展開することを検討している。

 大型アクスル加工ラインも量産ラインとあらゆる製品に対応できるラインの2ラインがある。ユニットで組み立てる部品の加工をまず行っており、硬さが要求される部分の焼入れやベアリングを装着するための精度向上などの加工などを行う。ラインの照明は水銀灯からLEDに転換。焼入れ装置の電源も従来は2台の装置で1つの電源をシェアしていたが、電源を含めて一式で入れ替えを行い、装置1台ごとに電源を設置した。

 組立工程では、インド製の部品がここ1~2年で入ってきている。前軸の取り付けラインは、高さがあり、MFTBCから移管したものをそのまま使用。後軸の取り付けラインはフラットにして人の移動が可能なようにした。

 塗装ラインは4台のロボットにより実施。プレス機の前後の搬送装置は社内で製作し、プレス機をコンベアでつなぐことで人員を削減した。

 同社では、16年から全社でものづくり意識改革活動、5S活動を開始しており、全員で意識改革を実施している。川崎工場では、全社で取り組む半年前の15年後半からこの活動を開始している。安全面、品質面では効果が出ているが、コスト面ではまだこれからの段階だとしている。

 川崎工場では、現状の設備をできるだけ使っていく方針だが、増強が必要な場合は宇都宮工場で実施する方針。アッセンブリーに特化していく方向で、川崎工場での大型投資は行わない方針だ。

(編集長 植田浩司)

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