(株)ジャムコは、4月1日付で生産子会社の(株)新潟ジャムコ、(株)中条ジャムコ、(株)宮崎ジャムコの3社を新潟ジャムコを存続会社とする吸収合併を実施し、新たに(株)ジャムコエアクラフトインテリアズ(新潟県村上市坪根字上坪根341-1)として再出発した。
同社本社工場は旧新潟ジャムコの工場で、同社最大の工場となっている。敷地面積は5万7000m²、工場の延べ床面積は1万9000m²、9月1日現在647人の従業員が働いている。航空機の内装部品であるギャレー(厨房設備)、ラバトリー(化粧室)、コンソールおよび構造材料のハニカムコアの生産を行っている。
B棟エリアに検査および倉庫エリアがあり、協力工場などで生産された部品の検査をここで行う。検査エリアには30人ぐらいのスタッフがおり、検査エリア以降には不良部品がいかないようにしている。また、ここで受け入れた部品を工程ごとに小分けする作業も行い、製造現場で部品を探す手間を省き効率化に貢献している。
ハニカムコアパネルに壁紙を貼って圧着する工程では、横河電機と共同開発した装置を導入。また壁紙を切断する工程では、以前はアルミの型紙を使用して壁紙を切っていたが、デコラカットマシンを導入し、手作業によるミスなどを防ぎ効率化を推進した。
ハニカムパネルをカットするNCカット工程では、木材をカットするのと同じ機械でハニカムパネルをカットしている。この工程も従来は手作業で行っており、自動化が進んでいる。
工場1階にはギャレーを生産するムービングラインがある。まず、シーリングの工程で水や埃の侵入を防ぐコーキング材を塗布する。その後、配線、配管工程を経て、部品を付けていく。1工程は8時間で終了し、作業を終えると次の工程へと渡す。ムービングラインでは別々のラインで生産した部分を機体に乗せた段階できちんと動くかを確かめるため、検査工程では機体に乗せた状態にセットアップしてテストを実施。このテスト終了後に出荷される。
2階にはラバトリーの生産ラインがあり、90分タクトで動くボーイング787向けのラインと150分タクトで動く777、767向けのラインがある。90分タクトのラインでは定時で1日5個の生産が可能。150分タクトのラインは定時で1日3個の生産。28工程があり、投入から完成まで10日間がかかる。
ラバトリーは壁紙を貼る工程からスタートし、構成する6枚のパネルを組み立てて部品を取り付けていく。以前はバッチ生産で1人の作業員がすべての工程を担当しており、全ての作業を覚える必要があったが、現在は1タクト分の作業を担当するにとどまっており、作業を覚える時間が従来の2年間から9カ月に短縮し、効率化を図った。
ジャムコでは、11年度からスマートファクトリー化を推進しており、同工場では16年にデジタルワークシートを導入した。作業員1人1人にパソコンを渡して作業者がログインして、作業工程などをチェックする。これにより紙による作業手順書などを廃止でき、年間92万枚のペーパー削減につながった。
同工場では、製造ラインの自動化の検討も行っているが、手作業の部分が多いため投資が見合わないとしており、DX化をさらに進めていくことで効率化を図っていく方針。同工場に対する具体的な設備投資は現状計画されていない。同工場の将来についてジャムコエアクラフトインテリアズ 取締役工場長の鎌田文彦氏は「生産技術部を10月1日に立ち上げて効率化を図っている。グローバル生産体制のマザー工場として効率化を追求した工場としていきたい」と語った。
(編集長 植田浩司)