商業施設新聞
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第119回

東神開発(株) 営業本部 玉川事業部 副部長兼宣伝グループ グループ長 菊山みち氏


玉川高島屋S・C
百貨店と専門店が回遊性生む
来年開業50周年 SC再編を検討

2018/3/6

東神開発(株) 営業本部 玉川事業部 副部長兼宣伝グループ グループ長 菊山みち氏
 玉川高島屋S・C(東京都世田谷区)は、1969年の開業以来、周年に合わせた大規模改装や、新旧南館などの増築を行ってきた。2000年前後からは周辺の閉鎖店舗や空き地を活用し、「ガーデンアイランド」「マロニエコート」などを開業。本館を中心に面的な広がりを見せている。来年には開業50周年を迎える同施設を、今後どのように発展させていくのか。(株)高島屋グループで、同施設を運営する東神開発(株)営業本部玉川事業部 副部長の菊山みち氏に聞いた。

―― 15年に開業した二子玉川ライズの2期の影響は。
 菊山 開業前の14年度と比較し、客数で5%程度伸びた。売り上げも専門店は数%強伸長するなど、二子玉川ライズ2期開業でパワーアップし、街の集客力が増して、お客様にはうまく回遊していただいている。また、開業直後は新しい来街者も目立ったが、最近は落ち着いてきた。年代でみると40~50代と消費力のある層が多い。

―― 17年度の見通しは。
 菊山 上期も下期も昨年を上回っている。専門店も百貨店も秋ごろからアパレルの売り上げが戻ってきた。なお、百貨店を含めた全館売り上げは940億円の見通しだ。

―― 昨今、競合他社は百貨店事業を縮小しているが。
 菊山 今のところそのような話は聞いていない。全体として、百貨店と専門店がいい回遊性を生んでいる。

―― 回遊性を生み出す秘訣は。
 菊山 館全体の共同宣伝費を使ってプロモーションを実施したり、情報の発信の仕方も連動している。玉川店は2年前のフロアリニューアルの際に、専門店との境をなくし、内装のイメージを一体化させるようにした。
 またお客様へのご案内では、百貨店や専門店のスタッフの誰に聞いても同様のご案内ができるよう情報を共有している。免税カウンターでも専門店、百貨店いずれのお買い上げも一緒に免税の手続きができる。

―― 15年に増床した「マロニエコート」の状況は。
 菊山 マロニエコートの認知度がより高まり、本館や南館では難しい大型店に出店いただいている。最近の傾向として30代の若い世代がマロニエコートを目当てに来街することが増えている。「無印良品」「ギャップ」などを利用されて、道路を渡って「ロンハーマン」を見て、本館に戻り食料品を買ってお帰りになるパターンが目立つ。飲食店が1店退店したが、後継テナントに「シェイクシャック」が決まった。

―― 本館、南館の改装などは。
 菊山 昨年末に南館4階にフレンチトーストの店がオープンした。
 なお、玉川高島屋S・Cは19年で開業50周年を迎える。50年ということで、MDの再編も検討している。併せて、回遊性をより高める施策や、館の鮮度の維持などトータルの見直しを段階的に図っていく。

―― ES(従業員満足)向上の施策は。
 菊山 設備的な面は少しずつグレードアップさせている。休憩室をきれいにしたり、スマホを見ながら食事する方が多いので、一人席にコンセントや、WiFiを設置したり、居心地が良いようにリニューアルを行っている。館が古いため、整備が追いつかないことがあるが、化粧室の水回りに歯磨きコーナーの設置や、うがい薬を用意するなど、細かい点の改善を行っている。
 また、毎回8~10人の店長に集まっていただく店長ミーティングで、経営への直接的なリクエストや、普段感じている点をお話しいただく機会をつくっている。

―― 新たな商業開発は。
 菊山 南館の裏に「柳小路」を展開している。昼のショッピングセンターとは対照的な、街の横丁のような落ち着いた雰囲気を持つ路面店で展開している。かつてこの地が三業地で、芸者さんがいた夜の街をイメージしている。同地で新たな開発として、延べ760m²の施設を計画しており、2月ごろに着工し、18年下期にオープンする見込みである。

―― 開業50年を迎えますが、足りない機能は。
 菊山 モノを売るだけの施設であってはいけないし、お客様に一層喜んでいただける施設、環境、サービスを、50周年に向けて組み立てていく。

(聞き手・編集長 松本顕介)
※商業施設新聞2229号(2018年1月30日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.250

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