商業施設新聞
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内
第105回

(株)ユニモール 取締役 営業部長 岩田春子氏


利便性を追求した都市型地下街
19年にBエリアで改装検討

2017/11/21

(株)ユニモール 取締役 営業部長 岩田春子氏
 名古屋駅から地下鉄桜通線・国際センター駅までを結ぶ地下街「ユニモール」。この地下街を管理・運営するのが(株)ユニモール(名古屋市中村区名駅4-5-26、Tel.052-586-2511)である。名駅地区の商業集積が進む中、同社はニーズの掘り起こしやMDの見直しを行い、“都市型地下街”としてさらなる進化を遂げようとしている。同社の取締役 営業部長を務める岩田春子氏に話を聞いた。

―― 地下街「ユニモール」の沿革を。
 岩田 1970年11月に開業し、89年7月に延伸した後、2014~15年にかけて大規模なリニューアルを実施した。同リニューアルは『ONとOFFをつなぐ』をコンセプトに掲げ、地下街全体をA~Dの4つのエリアに分割して改装を行い、Bエリアは14年9月、Cエリアは15年4月、A・Dエリアは15年9月に開業し、グランドオープンを迎えた。あわせて、スプリンクラーや防火防煙シャッターの更新、通路およびトイレの美化なども実施し、より安心で快適な都市型地下街に進化した。

―― 改装後の状況は。
88店が出店する地下街「ユニモール」
88店が出店する地下街「ユニモール」
 岩田 16年度(17年3月期)は「大名古屋ビルヂング」が開業した影響もあり、老若男女を問わず、多くのお客様にご来店いただいた。また、飲食店のテレビ番組が放映されたことで、来店客数は前年度を上回り続け、16年度の飲食店売上高は前年度比110%となった。
 しかし、17年度に入り、「JRゲートタワー」の開業が近づくにつれ、飲食店の売り上げは落ち着き、開業後は、ユニモールとタカシマヤ ゲートタワーモールに並行出店することになったアパレル店の4店では、差別化が難しかったためか想定以上に売り上げを落としたため、アパレル系全体で3~5%落ち込んだ。
 このように厳しい状況ではあるが、14~15年の改装でアパレル店を減らし、雑貨・サービス店を充実させたことで前年実績は確保しており、17年度は通期で前年度並みを見込んでいる。

―― ユニモールの強みについて。
 岩田 名駅地区にオフィスが相次いで完成し、昼間人口が増えており、これらのサラリーマンやOLに向けたMDを強化しているのが強みだ。
 例えば、飲食店をより充実させたり、テイクアウトに対応する店舗を増やしたりなどしている。また、利便性の追求にも注力しており、ATMコーナーや外貨両替専門店を配置することで、飲食のついで需要に対応。地下街なので、昼間だけでなく、夜間も安心して利用していただけるのが強みだ。

―― 逆に、弱みや課題を挙げると。
 岩田 名古屋は観光資源に乏しいため、インバウンドの取り込み不足は弱みとして感じられるが、今後もそれほど増えないと思っている。むしろ、地下街を通るお客様の足を止め、いかにして店内に呼び込むか。それが大きな課題である。ユニモールの通行量は年間2000万人(16年度実績)と多いうえ、平日はサラリーマンやOL、土日祝日はファミリー層と客層も異なるため、一部の店舗では、平日と土日祝日で店内のディスプレーを変えている。

―― 不足している業種は何でしょうか。
 岩田 これまで女性向けの店舗を数多く誘致してきたが、これからは男性客のニーズも掘り起こしたい。通行量の2000万人のうち、男性客が半分以上を占めるため、メンズ雑貨店や男性向けサービス店を中心に、遊び心のある店舗や、こだわりのある店舗を導入していく。

―― 今後の展開について。
 岩田 19年9月にBエリアの15店が契約満了を迎えるため、MDの見直しを行う。17年内に方向性を決め、18年よりリーシング活動を本格化する予定だ。Bエリアは、14年の改装時に『ベーシックカジュアルファッション』をMDコンセプトに掲げていたが、19年の改装ではファッションにとらわれず、バラエティーに富んだエリアに仕上げたい。業種は物販店が中心となり、メンズ関係の店舗も導入を考える。今後もオフィスワーカーの利便性を重視しながら、都市型地下街として、さらなる進化を遂げていきたい。

(聞き手・岡田光記者)
※商業施設新聞2217号(2017年10月31日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.239

サイト内検索