ミニット・アジア・パシフィック(株)(東京都台東区柳橋2-19-6、Tel.03-5839-2246)は、日本国内、アジアで「ミスターミニット」を展開している。靴修理から始まった事業も、今では鍵やハンコの作製、鞄、時計、スマートフォンの修理、クリーニングなど多岐にわたるサービスを手がけており、手仕事に関わるすべてを行う「サービスのコンビニ」を標榜する。特にクリーニングは、業界大手の(株)白洋舍と店舗展開において業務提携し、出店を拡大していく。同社代表取締役社長CEOの迫俊亮氏に聞いた。
―― 貴社の概要から。
迫 国内では、1972年に東京・日本橋の高島屋と三越に1、2号店を開業し、百貨店を中心に店舗展開をスタートした。その後、2006年に国内、アジア本社として、ミスターミニット発祥地であるベルギーの本社から独立。現在はアジア6カ国(日本、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア、中国)で、日本約300店、その他5カ国約300店の計約600店を運営している。16年度の当社単体売上高は157億3000万円だった。
―― サービスの内容は。
迫 元々、靴修理店として展開してきたが、私が社長になった4年前からその方向性を変え、もっと自分たちの可能性を広げ、もっとお客様に喜んでいただくという考えのもと、サービスを拡充してきた。現在提供しているのは、靴修理や靴磨き、鞄の修理やクリーニング、時計、スマートフォンの修理、合鍵やハンコの作製、証明写真などに加え、最近は白洋舍と業務提携し、クリーニングを導入した。今はあらゆるサービスを複合した複合店をメーンに出店を進めている。
手仕事に関わるサービス業において世の中に存在するものを全部やり、それをワンストップでできる店を我々はサービスコンビニと呼んで、このモデルを今後日本国内で広げていこうと考えている。
―― 白洋舍との提携について。
「ミスターミニットJRさいたま新都心ビル店」は
クリーニングを導入
迫 白洋舍は、信頼度やブランドの強さがクリーニング大手の中で圧倒的であり、また、当社と同じく手仕事へのこだわりをすごく大切にしている。ハイエンド需要にフォーカスしている会社なので、我々が大事にしたい手仕事へのこだわり、クリーニング業としてのお客様からのイメージや、品質に対する信頼であったり、一番我々がやりたいこと、求めるものと合っていた。
白洋舍と提携しているのは現在5店(7月31日時点)。この5店には、証明写真以外のサービスを導入している。このクリーニング導入タイプの店は20年度に100店体制を目指している。17年度は、もう10店くらいクリーニング導入タイプの店が出店できそうで、17年度末で約15店になる。先ほどの20年度に100店というのは、かなり見えている数字だと思う。
実際、クリーニングを入れることのメリットは大きく、従来の新店の2倍程度の売り上げとなっている。クリーニングで純粋に売り上げが増加し、さらに靴や時計の修理など他のサービスにも広がるといった相乗効果もある。クリーニングは、我々が扱っているサービスの中で一番利用頻度の高いサービス。例えば、靴修理だと2カ月に1回程度だが、クリーニングは週に1回だ。引き取りも合わせると2回の場合もある。圧倒的に顧客接点が多く、それが他のサービスの紹介にもつながっている。
―― 全体の出店は。
迫 全形態では17年度に40店の出店予定だ。当社の立地比率は、百貨店、量販店、駅が30%ずつ、10%が路面店となっているが、今後は路面店に注力する。標準の店舗サイズは25~50m²を想定し、クリーニングを軸に様々なサービスを導入した店舗形態とする。
路面店の立地は、住宅が密集している住宅街や、そこそこ規模があるような駅の近くなど。例えば、駅から30分離れたところ、ロードサイドなどは今は考えておらず、どちらかというと、都市型もしくは駅近くの大規模住宅エリアのような場所をイメージしている。また、周辺に自社競合したとしても成り立つ。
例えば、渋谷駅近辺でも駅に5店、百貨店に1店あり、さらに最近、白洋舎と組んだクリーニングを含めたサービスコンビニモデルの路面店を出店したのだが、売り上げを食い合うこともなく、新たな需要を獲得できている。ドミナント出店することで、今まで我々の店舗が生活動線になかったお客様にもアプローチできるようになっている。
(聞き手・若山智令記者/大塚麻衣子記者)
※商業施設新聞2209号(2017年9月5日)(7面)
商業施設の元気テナント No.222